毎年9月になると、給与から引かれる厚生年金保険料の額が変わることがあります。
これは標準報酬月額の見直しによるものです。4月から6月の報酬月額を基に決め直す「定時決定」という仕組みがあります。
決まった額は9月から翌年8月までの各月の標準報酬になります。この時期の働き方が、1年間の保険料に効いてくるわけです。
この記事では、標準報酬月額の定時決定と随時改定、公的年金の2階建て構造、2026年度の年金額、厚生年金の受給額分布について解説します。
1. 標準報酬月額は毎年9月に見直される
保険料や年金額の計算に使う標準報酬月額は、一度決めたら固定というわけではありません。
日本年金機構によると、毎年9月に4月から6月の報酬月額を基に標準報酬月額の改定が行われます。これが定時決定です。
手続きとしては、事業主が算定基礎届を提出することで行われます。
1.1 4月から6月の報酬が9月以降の基礎になる
具体的な決め方は次のとおりです。
毎年7月1日現在で使用される事業所において、同日前3カ月、つまり4月・5月・6月に受けた報酬の総額をその期間の総月数で除して得た額を報酬月額として標準報酬を決定します。いずれの月も支払基礎日数17日以上が対象で、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上です。
そして決まった額は、9月から翌年8月までの各月の標準報酬になります。この時期の残業が多いか少ないかで、1年間の保険料が変わってくるということです。
1.2 大きな変動があれば年の途中でも改定される
年に一度の見直しとは別に、途中で変わる場合もあります。
被保険者の報酬が昇給・降給等で固定的賃金に変動があり、継続した3カ月間に受けた報酬総額を3で除して得た額が、従前の標準報酬の基礎となった報酬月額に比べて「著しく高低を生じた場合」において、厚生労働大臣が必要と認めたときに改定されます。これが随時改定で、事業主が月額変更届を提出します。
このほか、資格取得時の決定、育児休業等終了時の改定、保険者決定という方法もあります。育児休業等終了時の改定は、被保険者からの届出によって育児休業等終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、その翌月から新しい標準報酬月額に改定するものです。
自分の標準報酬月額がいくらになっているかは、勤務先の担当部署か年金事務所で確認できます。
なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
2. 国民年金と厚生年金でできた「2階建て」の年金
公的年金の基本的な仕組みのデータは、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」で詳しく解説されているため、要点を引用して確認しておきましょう。
公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。1階部分の国民年金は、原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、保険料は所得にかかわらず一律(2026年度は月額1万7920円)。保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額(2026年度は月額7万608円)を受け取ることができます。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所に勤務し一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入します。保険料は収入に応じて変動し、受給額は加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます。
出所:LIMO「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」
このように、同じ「公的年金」でも1階部分と2階部分では加入対象も保険料の決まり方も異なるため、老後に受け取る年金額には大きな個人差が生じます。


