65歳以上の無職世帯は、夫婦のみで月4万2434円、単身で月2万9980円の赤字が出ています。

その一方で、子や孫の生活費や学費を出しているという人もいるでしょう。

扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかかりません。ただし、預金に回すと扱いが変わります。

この記事では、贈与税がかからない財産と、65歳以上・無職世帯の家計収支、公的年金の仕組みと平均月額について解説します。

1. 生活費や教育費の援助には、贈与税がかからない

子や孫にお金を渡すとき、すべてに贈与税がかかるわけではありません。

国税庁によると、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものには贈与税がかからないとされています。

ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、治療費、養育費その他子育てに関する費用などを含みます。教育費とは、学費や教材費、文具費などです。

1.1 預金に回すと課税されてしまう

ただし条件があります。

贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度、直接これらに充てるためのものに限られると明記されています。

したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。まとめて渡して手元に置いておくと、扱いが変わるということです。

生活費や教育費の援助には、贈与税がかからない1/4

扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産は贈与税がかからないが、預金や株式の買入資金に充てた場合は課税されることと、香典や祝物も対象外であることを示した図

出所:国税庁タックスアンサー「No.4405 贈与税がかからない場合」をもとにLIMO編集部作成

1.2 香典や年末年始の贈答も対象外

日常のやりとりについても示されています。

個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるものには贈与税がかかりません。

そのほか、法人からの贈与により取得した財産には贈与税ではなく所得税がかかります。相続や遺贈により財産を取得した人が、相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産も、贈与税がかからない財産として挙げられています。

どこまでが「通常必要と認められるもの」なのかは事情によって変わります。判断に迷う場合は、税務署の相談窓口で確認してみてください。

なお、65歳以上世帯の家計収支や年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

2. 夫婦世帯と単身世帯、月の生活費を並べて見る

65歳以上・無職夫婦世帯の家計収支の数字は、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から引いて押さえておきます。

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入の合計が25万4395円(うち公的年金などの社会保障給付が22万8614円)、支出は消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円を合わせて29万6829円。単純計算で毎月約4万2000円が不足し、この収支差が続くと1年間で約50万円、10年間で約500万円の不足となります。

出所:LIMO「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」

単身世帯の家計収支の数字も、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から引いて押さえておきます。

65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。

出所:LIMO「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」

3. 収入がすべて年金という世帯は41.3%にのぼる

年金だけで生活するシニアがどのくらいいるのかも見ておきます。

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」で、高齢者世帯(※)の所得構成を確かめます。

高齢者世帯全体では「公的年金・恩給」61.3%、仕事による収入である「稼働所得」25.9%、「財産所得」5.8%という構成です。

これは全体の平均にあたる数字になります。

「公的年金・恩給を受給している世帯」で見ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」の世帯は41.3%です。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

3.1 依存度100%から20%未満まで、世帯の内訳

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成2/4

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%

4割以上の世帯が、公的年金だけで生活しているということになります。