65歳以上の無職世帯は、夫婦のみで月4万2434円、一人暮らしで月2万9980円のマイナスが出ています。

この不足を補うために、現役のうちから積み立てを始めておきたいところです。

勤務先を通じて使える制度が財形貯蓄です。一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の3種類があり、積立期間も使いみちも違います。

この記事では、財形貯蓄の3種類の違いと、65歳以上・無職世帯の家計収支、公的年金の仕組みと平均月額について解説します。

1. 財形貯蓄は3種類。積立期間と使いみちが違う

老後の不足に備えるなら、勤務先を通じて積み立てる方法もあります。

厚生労働省によると、財形貯蓄制度には一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があり、利子等に対する非課税措置や財形持家融資を利用できるといったメリットがあります。

いずれも賃金からの控除、つまり給与天引きによって事業主を通じて積み立てる仕組みです。

1.1 使途自由な一般財形貯蓄と、目的が決まった2つ

3種類の違いは、期間と使いみちに表れます。

一般財形貯蓄は3年以上の期間にわたって積み立てる、目的を問わない使途自由な貯蓄です。契約時の年齢制限はなく、複数の契約もできます。ただし利子等の非課税措置はありません。

財形年金貯蓄は55歳未満の勤労者が1人1契約で5年以上積み立て、60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって年金として受け取ることを目的とした貯蓄です。財形住宅貯蓄は同じく55歳未満・1人1契約・5年以上で、持家取得または持家の増改築(リフォーム)等を目的としたものになります。

財形貯蓄は3種類。積立期間と使いみちが違う1/4

一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の積立期間と年齢要件、使いみち、利子等の非課税措置の有無を比べた表

出所:厚生労働省「財形貯蓄制度」をもとにLIMO編集部作成

1.2 積立を止めると非課税が受けられなくなることもある

始めたあとの扱いにも違いがあります。

一般財形貯蓄は、積立の中断について勤労者財産形成促進法上の特段の制限はないとされています。一方で財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、最後の給与天引による預入日から次の預入等が無いまま2年が経過すると、利子等に対する非課税措置が受けられなくなります。

また、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している勤労者であることが要件です。月々1000円から積み立てられる点もあわせて案内されています。

なお、財形貯蓄を始めるには勤務先で制度が導入されている必要があります。使えるかどうかは、職場の人事や福利厚生の担当部署に確認してみてください。

次に、65歳以上世帯の家計収支や年金の平均受給額に関する詳しい解説をしていきます。下記の記事より一部を引用・参照しており、本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

2. 65歳以上・無職世帯は毎月いくら使っているのか

65歳以上・無職夫婦世帯の家計収支のデータは、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から引用して確認します。

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入の合計が25万4395円(うち公的年金などの社会保障給付が22万8614円)、支出は消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円を合わせて29万6829円。単純計算で毎月約4万2000円が不足し、この収支差が続くと1年間で約50万円、10年間で約500万円の不足となります。

出所:LIMO「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」

単身世帯の家計収支のデータも、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から引用して確認します。

65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。

出所:LIMO「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」

3. 年金だけで暮らす高齢者世帯は4割を超える

では、年金だけで生活するシニアはどのくらいいるのでしょうか。

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」で、高齢者世帯(※)の所得構成を見ておきます。

高齢者世帯全体では「公的年金・恩給」が61.3%を占めます。仕事による収入である「稼働所得」が25.9%、「財産所得」が5.8%と続きます。

もっとも、これは平均をとった数字にすぎません。

「公的年金・恩給を受給している世帯」だけで見ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」という世帯が41.3%あります。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

3.1 総所得に占める「公的年金・恩給」の割合で世帯を分けると

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成2/4

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%

つまり年金受給世帯のうち4割以上は、公的年金だけで家計を回していることになります。