公的年金は2カ月に1度まとめて振り込まれます。来月10月もその支払いがある月にあたり、夫婦それぞれが年金を受け取っている世帯では、二人分が同じ時期に口座へ入ります。世帯としてひと月あたりいくら入ってくるのかを確かめるには、ちょうどよい時期といえるかもしれません。

60歳代から70歳代へと進むにつれて、家計を支える柱は働いて得る収入から公的年金へと移っていきます。ただ、統計でよく目にする「平均年金月額」は、あくまでひとり分の数字です。世帯として入ってくる金額は、夫婦それぞれが現役時代にどの制度に加入していたかという組み合わせで決まります。この記事では、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額、厚生年金と国民年金それぞれの平均月額と受給額の分布、そして65歳以上・夫婦のみの無職世帯の収入25万4395円・支出29万6829円という家計収支を順に確認します。そのうえで、夫婦の年金の組み合わせを4通り並べると世帯の月額がいくらになり、支出29万6829円との差がどうなるのかを独自に試算します。

菅原 美優
暮らしのお金は世帯の単位で出ていきますので、入ってくる側も同じ単位でそろえておくと、見え方が変わってきます。まずは、ひとり分の統計がどうなっているところから順に見ていきます。

なお、70歳代の貯蓄・年金・家計に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!
【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!

1. 【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額の平均2416万円と中央値1178万円、その間にある開き

まずは、70歳代の世帯がどれくらいの金融資産を持っているのかを確かめます。J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」から見ていきます。

ここでいう金融資産保有額には、預貯金のほかに株式や投資信託、生命保険なども含まれます。反対に、日常的な出し入れや引落しに備えている普通預金の残高は含まれていません。手元にあるお金のすべてではなく、老後に向けて置いてある資金の量を見た数字だと考えると分かりやすいかもしれません。

70歳代の貯蓄額(二人以上世帯)1/4

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額の分布

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

この調査で示された「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額は2416万円です。ただ、平均という数字は一部の大きな金額に引き上げられやすい性質があり、そのまま多くの世帯の生活水準を表しているとは限りません。金額の小さいほうから並べたときにちょうど真ん中に来る中央値は1178万円で、平均とのあいだには1000万円以上の開きがあります。

世帯ごとの分布は次のとおりです。

  • 金融資産非保有:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

いちばん割合が大きいのは3000万円以上の25.2%で、4世帯に1世帯がこの層にあたります。その一方で、金融資産を保有していないと回答した世帯も10.9%あり、100万円未満の4.5%、100~200万円未満の5.1%、200~300万円未満の3.7%と、まとまった額に届いていない層も一定の厚みで存在しています。1000~1500万円未満が11.1%、2000~3000万円未満が12.3%というように、中間の層にもかたまりがあります。

この開きは、努力の量の違いというより、前提の違いから生まれている部分が大きいと考えられます。退職金の有無や金額、現役時代の収入の履歴、相続を受けたかどうか、健康状態によって医療や介護にどれだけ費用がかかってきたか。どれも本人の意思だけで決まるものではありません。公的年金の受給額も、現役時代の加入状況によって個人差が生じます。貯蓄が少ない世帯にとっては、年金収入だけで生活を組み立てるのが難しい場面もあるでしょう。

70歳代の貯蓄と年金、家計の全体像については、次の記事でくわしく解説されています。
【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!

菅原 美優
この分布を見て、自分の世帯がどこに入るのかを気にされる方は多いのですが、位置そのものよりも、その位置がどういう経緯でできたのかのほうが、これからの見通しには関わってきます。退職金があったかどうか、片働きだったか共働きだったか、途中で働き方が変わったかどうか。同じ位置にいても、経緯が違えば毎月入ってくる金額も違ってきます。次の章からは、その入ってくる側にあたる年金の統計を見ていきます。

2. 【厚生年金】ひとり分の平均月額15万289円と、男女で分かれる受け取り方

ここからは、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金の平均年金月額と受給額の分布を確認します。

厚生年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」2/4

厚生年金の平均年金月額と月額階級別の受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生年金の被保険者は第1号から第4号まで区分されていますが、ここで取り上げるのは、民間企業などに勤めていた方が受け取る「厚生年金保険(第1号)」です。以下、記事内では「厚生年金」と表記します。

※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には、国民年金の月額部分も含まれています。

2.1 厚生年金の平均年金月額|全体・男性・女性のひとり分

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

全体の平均は15万289円ですが、男女に分けると男性16万9967円、女性11万1413円で、5万円以上の差があります。厚生年金の額は、勤めていた期間の長さと、その間の報酬の水準によって決まる仕組みです。出産や育児、家族の介護などで働き方を変えた期間があると、その分が反映されにくくなります。この差は、いま受け取っている世代が現役だった時期の働き方の傾向が、そのまま金額として残っているものと見ることができます。

2.2 厚生年金の月額階級別受給権者|ひとり分の広がりを人数で確かめる

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

人数が集まっているのは9万円台から19万円台にかけての階級で、いずれも90万人を超えています。上は30万円以上、下は1万円未満まで階級が用意されており、ひとり分の金額としてかなりの幅があることが分かります。平均の15万289円は、この幅のなかにある一点にすぎません。

菅原 美優
この階級の表を見るときに、ご自身の見込み額がどのあたりに入るかだけで終わってしまうと、世帯としての姿は見えてきません。夫婦のどちらもこの表に載る場合もあれば、片方だけという場合もあります。どちらの形かによって、世帯に入ってくる金額の組み立て方が変わります。次は、もうひとつの土台にあたる国民年金を見ていきます。

3. 【国民年金】ひとり分の平均月額5万9310円と、男女差の小ささ

続いて、厚生年金の加入期間がなかった方が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の月額を見ていきます。出所は前章と同じ資料です。

国民年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」3/4

国民年金の平均年金月額と月額階級別の受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

3.1 国民年金の平均年金月額|全体・男性・女性のひとり分

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

全体の平均は5万9310円で、男性6万1595円、女性5万7582円と、男女の差は4013円にとどまります。厚生年金で5万円以上あった男女差が、ここではほとんど生じていません。国民年金の額は報酬の水準ではなく保険料を納めた月数によって決まるため、働き方や収入の違いが反映されにくい組み立てになっているからです。

3.2 国民年金の月額階級別受給権者|6万円台に集まる分布

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

6万円以上~7万円未満に1715万5059人が集まっており、他の階級とは人数の桁が違います。階級の数そのものも8つと少なく、厚生年金の表と並べると分布の形がまったく異なることが分かります。国民年金は、受け取る額の幅が狭い代わりに、水準そのものが低めのところでそろっているという特徴があります。

菅原 美優
厚生年金と国民年金では、金額の幅の広さがまるで違います。相談の場では、この2つを同じ「年金」という言葉でひとまとめにして考えていたために、夫婦で足したときの金額が思っていたのと違った、というお話を伺うことがあります。どちらの制度に何年入っていたのかは、ねんきん定期便や年金事務所で確かめられます。次は、出ていく側にあたる家計の数字を見ていきます。

4. 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】収入25万4395円と支出29万6829円の内訳

入ってくる側を見たところで、出ていく側も確かめておきます。総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の家計収支を取り上げます。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支4/4

65歳以上の夫婦のみの無職世帯における収入と支出の内訳

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

4.1 《収入》25万4395円|うち社会保障給付は22万8614円

この世帯のひと月の収入は25万4395円で、そのうち主に年金にあたる社会保障給付が22万8614円を占めています。収入の大半が公的な給付でできている構造です。

4.2 《支出》29万6829円|消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円

ひと月の支出は29万6829円です。内訳は、日々の暮らしに使う消費支出が26万3979円、税金や社会保険料にあたる非消費支出が3万2850円に分かれます。消費支出の費目別の金額は次のとおりです。

  • 食料:7万8964円
  • 住居:1万7739円
  • 光熱・水道:2万3540円
  • 家具・家事用品:1万1237円
  • 被服及び履物:5354円
  • 保健医療:1万7941円
  • 交通・通信:3万1325円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万6538円
  • その他の消費支出:5万1341円
    • うち諸雑費:2万2047円
    • うち交際費:2万3257円
    • うち仕送り金:1135円

非消費支出3万2850円の内訳は、直接税が1万2547円、社会保険料が2万296円です。年金を受け取る側になっても、税や保険料の負担が消えるわけではないという点は、見落とされやすいところです。

  • 直接税:1万2547円
  • 社会保険料:2万296円

4.3 《家計収支》|ひと月4万2434円の不足

  • ひと月の赤字:4万2434円
  • エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.9%
  • 平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):119.2%

収入25万4395円に対して支出は29万6829円ですので、ひと月あたり4万2434円が足りない計算になります。年間に直すとおよそ51万円で、その分は貯蓄から補うことになります。

ここで押さえておきたいのは、この4万2434円という数字が、収入の側の前提によって動くという点です。家計調査が示しているのは平均としての姿であり、収入25万4395円のうち22万8614円を占める社会保障給付の金額は、その世帯が夫婦でどのような加入の組み合わせだったかによって変わります。

菅原 美優
「ひと月4万2434円の不足」という数字だけが独り歩きすることがありますが、これは平均の収入と平均の支出を引き算した結果です。相談の場では、支出のほうを平均に近づけようとするより、まず自分の世帯の収入がこの平均とどれくらい違うのかを確かめるところから始めたほうが、話が進みやすいと感じています。

5. 世帯の年金額は、ひとり分の平均ではなく、ふたり分の組み合わせで決まる

ここまで、厚生年金と国民年金の平均月額を、それぞれひとり分の数字として見てきました。ただ、暮らしのお金は世帯という単位で出ていきます。入ってくる側も同じ単位でそろえると、見えてくるものが変わります。

夫婦の年金の組み合わせは、大きく分けると3つの形があります。ひとつは、片方が会社勤めで厚生年金、もう片方が国民年金という形。もうひとつは、二人とも厚生年金の期間があるという形。そしてもうひとつが、二人とも国民年金という形です。同じ「70歳代の夫婦」であっても、どの形にあたるかによって世帯に入る金額は変わります。

下敷きとした資料では、「厚生年金の男性平均月額を受け取る夫」と「国民年金の女性平均月額を受け取る妻」という組み合わせの場合、二人分の年金受給額は月額22万7549円になるとされています。この22万7549円という金額は、先ほど見た家計調査の社会保障給付22万8614円と近い水準にあります。家計調査が示す「ひと月4万2434円の不足」という姿は、おおよそこの形の世帯を思い浮かべた場合の姿だと考えると、つかみやすいかもしれません。

裏を返せば、組み合わせが変われば不足の大きさも変わります。二人とも厚生年金の期間があった世帯と、二人とも国民年金だった世帯とでは、同じ支出でも家計の見え方がまったく違ってきます。これは現役時代の働き方や加入状況によって生じる差であり、どの組み合わせが望ましいという話ではありません。

また、不足分を補う手立てを考えるときに、値動きのある資産で運用する方法が話題にのぼることもあります。運用には価格変動リスクがあり、時期によっては元本割れが生じる可能性もありますので、生活に使う予定のある資金と、当面使う予定のない資金を分けて考える必要があります。どの方法が適しているかは世帯の状況によって変わりますので、この記事はあくまで数字を並べて確かめるところまでにとどめます。

厚生年金と基礎年金を合わせて月15万円を超える方がどれくらいいるのか、2026年度の年金額がどうなっているのかについてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
来月、6月15日支給分から年金が増える!厚生年金+基礎年金「月15万円(年180万円)」を超える人はどれくらい?2026年度最新金額と106万円の壁見直しを解説

菅原 美優
ご夫婦でお越しになった場面では、それぞれのねんきん定期便を並べて足し算をしていただくことがあります。数字を足すだけの作業ですが、世帯として入ってくる金額がその場で見えるので、そこから先の話が具体的になります。次の章では、平均の数字を使って、この足し算を4通り並べてみます。

6. 【独自試算】夫婦の年金の組み合わせ4通りで世帯の月額はいくらになり、支出29万6829円との差はどうなるか

ここまで確認してきた平均年金月額を使って、夫婦の年金の組み合わせを4通り並べてみます。世帯としてひと月にいくら入り、65歳以上・夫婦のみの無職世帯の支出29万6829円との差がどうなるのかを、足し算と引き算で確かめる試算です。

前提は次のとおりです。これは平均どうしを足し合わせた目安であり、実際の受給額は現役時代の加入状況によって一人ひとり異なります。

  • 使う数字は、この記事で確認した厚生年金・国民年金の平均年金月額と、家計調査の支出29万6829円だけにとどめる
  • 厚生年金の月額には国民年金の月額部分が含まれている(前掲の注記のとおり)
  • 支出29万6829円は「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の平均であり、70歳代の夫婦にそのまま当てはまるものではない
  • 加給年金や振替加算などの上乗せ、就労による収入、税や社会保険料の個別の扱いは考えない
  • 物価の変動、医療や介護にかかる費用の増減、収入の変化も考えない
  • 組み合わせの違いは、現役時代の働き方や加入状況によって生じるものであり、どの組み合わせが望ましいという話ではない

組み合わせ①:厚生年金の男性平均16万9967円 + 国民年金の女性平均5万7582円

  • 世帯の年金月額 = 22万7549円(下敷きとした資料に記載のある金額と一致)
  • 支出29万6829円との差 = 6万9280円の不足
  • 12カ月分に直すと 83万1360円の不足

組み合わせ②:厚生年金の男性平均16万9967円 + 厚生年金の女性平均11万1413円

  • 世帯の年金月額 = 28万1380円
  • 支出29万6829円との差 = 1万5449円の不足
  • 12カ月分に直すと 18万5388円の不足

組み合わせ③:国民年金の男性平均6万1595円 + 国民年金の女性平均5万7582円

  • 世帯の年金月額 = 11万9177円
  • 支出29万6829円との差 = 17万7652円の不足
  • 12カ月分に直すと 213万1824円の不足

組み合わせ④:厚生年金の全体平均15万289円 + 国民年金の全体平均5万9310円

  • 世帯の年金月額 = 20万9599円
  • 支出29万6829円との差 = 8万7230円の不足
  • 12カ月分に直すと 104万6760円の不足

4通りを、世帯の年金月額の大きい順に並べ直すと次のようになります。

  • ②厚生年金(男性平均)+厚生年金(女性平均):28万1380円/支出との差は1万5449円の不足
  • ①厚生年金(男性平均)+国民年金(女性平均):22万7549円/支出との差は6万9280円の不足
  • ④厚生年金(全体平均)+国民年金(全体平均):20万9599円/支出との差は8万7230円の不足
  • ③国民年金(男性平均)+国民年金(女性平均):11万9177円/支出との差は17万7652円の不足

4通りを並べて見えてくるのは、次の3つです。

1つ目は、いちばん多い②の28万1380円と、いちばん少ない③の11万9177円との開きが、ひと月あたり16万2203円になるという点です。この開きは、③の世帯の年金月額11万9177円そのものを上回っています。ひとり分の平均だけを見ていると5万円前後の男女差ですが、世帯の単位でそろえると差の大きさが変わって見えてきます。

2つ目は、4通りのいずれも支出29万6829円には届いていないという点です。もっとも近い②でも1万5449円の不足で、年間に直すと18万5388円になります。ただし、支出29万6829円のうち26万3979円が消費支出、3万2850円が非消費支出という内訳でしたので、消費支出26万3979円だけと比べれば、②は1万7401円上回る計算です。税や社会保険料の分をどう見るかで、届く・届かないの印象は変わります。

3つ目は、不足の大きさが組み合わせによって2.5倍以上開くという点です。①の6万9280円と③の17万7652円では、年間の不足額が83万1360円と213万1824円になります。仮に同じ支出水準が続いたとして、この差がそのまま貯蓄の減り方の差になっていきます。前の章で見た貯蓄額の中央値1178万円と平均2416万円という開きと、この年金の組み合わせによる開きは、それぞれ別の要因から生じているものですが、どちらも「70歳代の平均」というひとつの数字ではとらえきれない部分だといえます。

この試算は、平均どうしを足して支出の平均を引いただけの目安です。実際の受給額は加入していた制度と期間、報酬の水準によって変わり、支出のほうも住まいの形や健康状態で大きく動きます。組み合わせの違いは現役時代の働き方や加入状況によって生じるものであって、どの形が望ましいというものではありません。ご自身の見込み額はねんきん定期便やねんきんネットで確認できますが、記録の内容や見込み額の読み方に迷う場合は、年金事務所などの窓口でご確認ください。