3. 30歳代に多い「教育にかかる費用は気になるのに、毎月いくら使っているかは分かっていない」というご相談。IFA・木村 悦朗が伝えたいこと

まとまった資金が手元にあるからこそ、どこにどれだけ置いておくか迷うというご相談は、30歳代の方から寄せられることが少なくありません。個人が特定されないよう、内容は一般化しています。

3.1 30歳代に多いお悩み相談は「教育にかかる費用は気になるのに、毎月いくら使っているかは分かっていない」

30歳代(ご相談者)
夫婦で貯めてきたまとまった資金があり、そのうちの一部は預金に置いたままにしています。関心はもっぱら教育にかかる費用のほうに向いていて、そちらばかり調べていました。ただ、話をしているうちに、毎月の生活にかかる費用をきちんと把握できていないことに気づきました。

貯めることはできているのに、その資金をどう振り分けるかで止まってしまう。相談の場では、こうした形のご相談を受けることがよくあります。将来かかる費用のほうに関心が向いているときほど、足元の支出は後回しになりやすいものです。

3.2 【IFA・木村 悦朗が回答】足元の支出を数えてから、資金に役割を持たせる

木村 悦朗
教育にかかる費用がどのくらいかかるかが、まずは気になるというお考えについてはよく理解ができます。但し、「教育にかかる費用を先に見積もらないと、資金の振り分けは決められない」と考えてしまう前に、まずは今のご生活の中で「何にいくら使っているか」を先に把握しすることが大切です。貯まった資金をひとかたまりで考えるのではなく、使う目的ごとに分けて考え、目的ごとに置き場所と期間を変えることが、迷いの少ない振り分けにつながります。

3.3 ポイント1:いま何にいくら使っているかを先に把握する

将来かかる費用の見積もりから入ると、数字が大きいぶん不安のほうが先に立ちやすくなります。順序としては、いま何にいくら使っているかを確かめるところからです。毎月の生活にかかる費用がおおよそ見えてくると、手元の資金のうちどこまでを動かさずに置いておきたいかという線が引けるようになります。相談の場では、収入と支出の見通しを図にして、教育にかかる費用と生活にかかる費用が時期ごとにどう重なるのかを見えるようにする、という進め方をとることがあります。金額の大小を評価するためではなく、置き場所を決めるための材料をそろえる作業だとお考えいただければと思います。

3.4 ポイント2:資金は使う目的ごとに分けて考える

手元の資金をひとかたまりとして眺めていると、増やすべきか守るべきかという二者択一になりやすくなります。そこで、資金を目的ごとにいくつかの層に分けて考えるという整理の仕方があります。近く使う予定のある資金、元本の安定を優先する資金、値動きを受け入れて収益を狙う資金というように、役割ごとに分けておく形です。教育にかかる費用のように使う時期がある程度見通せるものは、その時期から逆算して層を決めやすくなります。どの層をどれだけ厚くするかはご家庭によって変わりますので、割合を先に決めるのではなく、それぞれの資金が何のためのものかをはっきりさせておくことが先になります。

3.5 ポイント3:目的ごとに置き場所と期間を変える

層に分けたあとは、それぞれに向いた置き場所と、動かさずにおく期間を考えます。近く使う予定のある資金は、必要な時期に金額が減っていては困りますので、値動きのない形で置いておくという考え方が中心になります。反対に、当面使う予定のない資金は、値動きを受け入れながら時間をかけるという選択肢を持つことができます。ただし、値動きのある形には元本割れとなる可能性があり、目減りした状態がしばらく続くこともあります。教育にかかる費用については、いつ、どのくらいの期間にわたって必要になりそうかという見通しを立てておくと、どの層から取り崩すかも決めやすくなります。制度や税制の取り扱いは改定されることがありますので、その点は関連する窓口や専門家にお確かめいただきながら進めていただくのが確かです。

相談の場では、割合を決める話から始めても、結局は「この資金は何のためのものか」という整理に行き着くことが少なくありません。適した分け方はご家庭の状況によって変わりますので、個別の判断については専門家に確かめながら進めていただければと思います。

4. まとめにかえて

公的年金は国民年金と厚生年金という2つの層でできており、会社員や公務員が受け取るのはその合計です。1階部分は納めた期間で決まるため差が小さく、2階部分は働き方と報酬によって積み上がるため、人による差が表れやすくなっています。

厚生年金で月15万円以上を受け取っている割合は男女で大きく開いており、老後の土台がどのくらいの高さになりそうかは、人によってかなり違います。手元の資金にどこまでの役割を持たせるかを考えるうえでは、まずご自身の見込み額を確かめておくことが手がかりになります。

また、同じ金額でも預金に置くか運用に回すかで20年後の目安は変わりますが、値動きによっては元本を下回る可能性もあります。今回示した数字はいずれも一定の前提を置いた目安であり、将来の成果を保証するものではありません。適した振り分けはご家庭の状況によって変わりますので、個別の判断については専門家に確かめながら進めていただければと思います。制度や税制の取り扱いは改定されることもありますので、最新の内容は関連する窓口でご確認ください。

参考資料