公的年金に上乗せする部分を、ひとり暮らしの世帯はどれだけ用意しているのでしょうか。

総務省の全国単身世帯収支実態調査(令和6年)の結果表が、2026年8月28日に更新されました。単身世帯が受け取っている企業年金・個人年金給付は年6万5000円、資産として持っている年金型貯蓄は59万6000円です。

筆者はファイナンシャルプランナーとして、ライフプラン設計の相談に携わってきました。この記事では、公的年金以外の備えがどれだけあるかを見ていきましょう。

1. 【単身世帯の年金】年間の平均は公的年金「17.5万円」で上乗せの私的年金など「6.5万円」

まず、収入の側から確認します。

1.1 公的年金は年17万5000円

総務省の調査によると、単身世帯の年間収入額419万8000円のうち、公的年金や恩給による収入の平均は年17万5000円となっています。
この調査の対象となっている世帯主の平均年齢は44.5歳です。つまり、すでに年金生活を送っている高齢者だけでなく、現役で働いている世代(年金受給額がゼロの世代)を多く含むため、全体の平均金額としては小さく出ています。

1.2 上乗せ部分は年6万5000円

公的年金とは別に、会社などが用意する「企業年金」と、ご自身で準備する「個人年金」の給付が平均で6万5000円計上されています。内訳を見ると、企業年金が2万5000円、個人年金が4万円です。

公的年金とは別に計上される部分があります1/2

公的年金とは別に計上される部分があります

出所:総務省「全国単身世帯収支実態調査(令和6年)所得に関する結果」をもとにLIMO編集部作成

公的年金17万5000円に対して、ご自身で準備している上乗せ部分は6万5000円というバランスになります。両方をあわせると年24万円の収入となります。あくまで現役世代も含めた全体の平均ですが、公的年金以外にも備えを持っている方が一定数いることがわかります。

2. 【貯蓄の中身】年金型貯蓄は約60万円。備え方の男女差とは

次に、これから受け取る側の準備を見ます。

2.1 年金型貯蓄の残高は59万6000円

同調査の家計資産に関する結果を見ると、単身世帯の貯蓄現在高(貯金の総額)は平均1489万1000円です。そのうち、「年金型貯蓄(老後資金を目的として積み立てている金融商品など)」は59万6000円となっています。

これは貯蓄全体に占める割合の4%程度にすぎません。預貯金の769万9000円、株式や投資信託などの有価証券538万5000円と比べると、年金型として目的を定めて置いているお金は比較的少ない傾向にあるようです。

2.2 生命保険などは160万4000円

年金型貯蓄とは別に、生命保険などが160万4000円あります。老後に向けた備えという意味では、こちらも関わってくる部分です。

貯蓄をどこに置いているかを見ると、公的年金の上乗せとして意識して積んでいる部分は限られていることが分かります。

企業年金は男性が多く、個人年金は女性が多くなっています2/2

企業年金は男性が多く、個人年金は女性が多くなっています

出所:総務省「全国単身世帯収支実態調査(令和6年)所得に関する結果・家計資産・負債に関する結果」をもとにLIMO編集部作成

3. 男女で異なる「上乗せ」の作り方

将来への備え方を男女別に見ると、少し違った傾向が見えてきます。

  • 企業年金:男性2万9000円、女性2万円
  • 個人年金:男性3万円、女性5万1000円

企業年金による給付は男性の方が多く、個人年金による給付は女性の方が多い結果となっています。勤め先を通じて用意される部分は男性が厚く、ご自身で契約して用意する部分は女性が厚いという特徴がうかがえます。

3.1 年金型貯蓄も女性が多い

資産の側でも、年金型貯蓄は男性51万9000円、女性68万1000円で女性が上回ります。生命保険などは男性129万8000円、女性194万円です。

一方で有価証券は男性733万7000円、女性324万1000円と逆になります。同じ老後に向けた準備でも、選ぶ手段が分かれています。

村岸 理美

ライフプランを立てるとき、最初に確かめたいのは勤め先に企業年金があるかどうかです。単身世帯は上乗せを自分ひとりで決めることになるので、出発点をはっきりさせておきたいところです。