4. 継続適用届出書を提出できない人もいる

一時的な出国であっても、この特例を使えない場合があります。

4.1 国外転出時課税の適用を受ける人は対象から外れる

国税庁の法令解釈通達では、所得税法第60条の2第1項の規定の適用を受ける方は継続適用届出書を提出できないとされています。国外転出をする場合の譲渡所得等の特例、いわゆる国外転出時課税の対象になる方です。

この場合、出国の日の属する年分の所得税について、その特例を受ける確定申告書を提出しているかどうかは問わないとされています。適用対象になるかどうかで判断される点に注意が必要です。

4.2 国外転出時課税は1億円以上の対象資産と5年超の居住が要件

国税庁によると、国外転出時課税の対象になるのは、対象資産の価額等の合計額が1億円以上であることと、国外転出をする日前10年以内において国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年を超えていることの、両方にあてはまる方です。

対象資産には有価証券などが含まれます。株式や投資信託をまとまった額で持っている方は、自分がこの要件にあてはまらないかを先に確かめておきましょう。

国外転出時課税は、2つの要件の両方にあてはまる場合に対象となります2/2

国外転出時課税は、2つの要件の両方にあてはまる場合に対象となります

出所:国税庁「No.1478 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」をもとにLIMO編集部作成

5. 出国が決まったら金融機関に確認しておく

制度として用意されていても、手続きの実際は口座のある金融機関を通すことになります。

5.1 取扱いの有無は金融機関によって異なる

金融庁は、この特例の取扱いの有無等については金融機関によって異なるとし、具体的な手続きを含めた詳細は口座開設先の金融機関に問い合わせるよう案内しています。

出国の日が決まったら、まず自分の口座がある金融機関に、継続適用届出書を扱っているかどうかを聞くところから始めるとよいでしょう。

5.2 帰国したときに出す書類もあわせて聞いておく

出国のときの手続きだけを済ませて、帰国後の手続きを忘れてしまうと、期日を過ぎてNISA口座が廃止されることになります。

帰国届出書の様式や提出先、必要な添付書類までを出国前に聞いておくと、帰国後に迷わずに済みます。海外にいる間の連絡先をどう届け出るかも、あわせて確認しておきたいところです。

6. まとめにかえて

転任の命令等による一時的な出国であれば、出国の日の前日までに継続適用届出書を提出することで、NISA口座で保有している上場株式等の非課税を続けられます。ただし、出国中に取得した上場株式等をNISA口座へ受け入れることはできません。

非課税の適用が続くのは、帰国届出書を提出する日と、継続適用届出書を提出した日から5年を経過する日の属する年の12月31日の、いずれか早い日までです。

国外転出時課税の対象になる方は、この特例を使えません。辞令を受け取ったら、まずは口座のある金融機関に問い合わせて、出国前に出す書類と帰国後に出す書類を書面で確かめておきましょう。

参考資料