2026年10月に、社会保険の加入要件であった「月額8万8000円以上(いわゆる年収106万円の壁)」が撤廃される予定です。これにより、週20時間以上働くパートやアルバイトの方(学生などを除く)も社会保険に加入しやすくなります。
保険料が引かれて手取りが減ることに不安を感じる方も多いですが、社会保険にはそれを上回るほどの「手厚い保障」というメリットがあります。
筆者もファイナンシャルプランナーとしてご相談をお受けするなかで、病気やけがで働けなくなったときの収入減少に不安を抱える方に多くお会いしてきました。いざという時の公的な備えを知っておくことで、心にゆとりを持って治療に専念できるようになります。
この記事では、社会保険に加入することで得られる大きなメリットの一つ「傷病手当金」について、支給される4つの条件や金額の決まり方を分かりやすく解説します。
1. 10月から「106万円の壁」撤廃で社会保険加入の対象者拡大!医療保険の手厚いメリット
これまで、パートやアルバイトの方が勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するには、労働時間だけでなく「月額8万8000円以上」という賃金要件の壁がありました。
2026年10月にはこの要件が撤廃されるため、より多くの方が社会保険の対象となります。ご自身で社会保険の健康保険に加入する最大のメリットは、将来の年金が増えることだけでなく、現役時代の「働けなくなるリスク」に備えられる点です。
業務外の病気やけがで長く仕事を休んだときに収入を支えてくれる「傷病手当金」や、出産で仕事を休む際の「出産手当金」など、いざという時に自分と家族を守る強力なセーフティネットが手に入ります。
2. 傷病手当金、受け取るための「4つの条件」
病気やけがで休んだら必ずもらえるわけではなく、傷病手当金を受け取るためには以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
2.1 ①業務外の病気やけがであること
全国健康保険協会は、業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であることを1つ目の要件としています。健康保険給付として受ける療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも、仕事に就くことができないことについての証明があるときは支給対象になります。自宅療養の期間も対象です。
一方で、業務上や通勤災害によるものは労災保険の給付対象となるため、傷病手当金の対象にはなりません。美容整形など病気と見なされないものも対象外です。
2.2 ②仕事に就くことができないこと
2つ目は、仕事に就くことができないことです。この判定は、療養担当者の意見等を基に、被保険者の仕事の内容を考慮して行われます。
同じ病名でも、就いている仕事によって判断が変わることがあります。医師の意見が前提になる部分です。
2.3 ③連続する3日間仕事を休み、4日目以降にも休んだ日があること
3つ目の要件には、独特の数え方があります。
連続する3日間が待期になる
業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間が待期とされ、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
全国健康保険協会は、待期には有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係ないとしています。連続していることが条件で、途中で出勤すると数え直しになります。
勤務中に発生した場合の起算日
就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて、仕事に就くことができない状態となった場合には、その日を待期の初日として起算されます。
その日は途中まで働いていても、待期の1日目として数えられるということです。
2.4 ④休業した期間について給与の支払いがないこと
4つ目の要件は収入の有無です。
差額が支給される場合がある
休業した期間について給与の支払いがないことが要件です。生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は傷病手当金は支給されません。
ただし全国健康保険協会は、給与の支払いがあっても傷病手当金の額よりも少ない場合は、その差額が支給されるとしています。全額が出ているかどうかで判断されるわけではありません。
任意継続では対象にならない
任意継続被保険者である期間中に発生した病気やケガについては、傷病手当金は支給されません。
退職後に健康保険を任意継続している方は、この点に注意が必要です。退職前から続いている場合の扱いとは分けて考えることになります。