預貯金の利子からは、受け取る前に税金が差し引かれています。
国税庁によると、預貯金や公社債などの利子には原則として15.315%の所得税および復興特別所得税と、5%の地方税がかかります。ただし障害者等に該当する方については、一定の手続きにより元本350万円までの利子が非課税になる制度があります。これは、マル優制度と呼ばれ、障害者手帳の交付を受けている方や遺族年金を受給されているなど一定の条件を満たした方のみが利用できる制度です。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、年金や保険のご相談を受けてきました。この記事では、対象になる方と手続きを確認していきます。
1. 障がい者や遺族年金受給者などの非課税貯蓄
まず、利用できる方の範囲を確認します。制度を利用できるのは、国税庁によると「国内に住所のある個人で障害者等に該当する人」に限られます。大きく分けて以下の2パターンです。
1つ目は、身体障害者手帳の交付を受けている方や、障害年金を受給されている方などです。
2つ目は、遺族基礎年金や寡婦年金を受給されている妻や、児童扶養手当の支給を受けている児童の母などです。
法律上、遺族年金等による対象者が女性(妻や母)に限定されるケースがありますが、手帳の有無だけで決まるわけではありません。
また、令和3年4月からは対象が広がり、労災保険に基づく複数事業労働者傷病年金を受給している方も追加され、複数の職場で働いていた方も対象となりました。
2. 元本350万円までの利子が非課税に!2つの枠を活用
次に、いくらまでが対象になるのかを見ていきます。
2.1 マル優は元本350万円まで
障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度、通称マル優では、預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託および一定の有価証券が対象です。
非課税となるのは、これら4種類の貯蓄の元本の合計額が350万円までの利子です。1つの金融機関ごとではなく、合計での判定になります。
2.2 国債と地方債には別枠「特別マル優」がある
障害者等の少額公債の利子の非課税制度、通称特別マル優では、国債および地方債の額面の合計額が350万円までの利子が非課税になります。
国税庁は、これはマル優とは別枠になっていると明記しています。両方を使えば、合わせて700万円分の利子が非課税になる計算です。
3. 「非課税貯蓄申告書」の手続きが必要!対象であっても自動的に非課税にならない
対象であっても自動的に非課税にはならず、ご自身で手続きが必要です。
3.1 最初の預入までに申告書を出す
マル優を利用するためには、最初の預入等をする日までに非課税貯蓄申告書を、金融機関の営業所等を経由して税務署長に提出する必要があります。そのうえで、原則として預入等の都度、非課税貯蓄申込書を金融機関の営業所等に提出しなければならないとされています。
提出の際には、身体障害者手帳や年金証書、個人番号カード等の一定の確認書類を提示する必要があります。すでに預けてある分にさかのぼって適用されるものではないため、順番が大切になります。
遺族年金を受け取っている方から、税金の相談をいただくことがあります。年金そのものの話に集中してしまいがちですが、預貯金の利子の扱いも一緒に見ておくと選択肢が増えます。
