「新NISAを始めたほうがいいのはわかっているけれど、うちの貯蓄でこの先足りるだろうか」—30〜40歳代の子育て世代なら、そんな迷いを抱える方も多いのではないでしょうか。
迷いの正体をつかむには、まず現在地を知ることです。同世代の二人以上世帯がどれくらい貯めているのかを平均と中央値で確かめ、そのうえで、少額から始める新NISAの考え方をみていきましょう。
今回は、30〜40歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を確認し、「月3万円を40年」続けるとどうなるかをみていきます。
退職を間近に控えた世代からは、「若いうちから、時間をかけておけばよかった」という声がよく聞かれます。まとまった資金ができてから動き出しても、運用に充てられる年数は限られてしまうからです。
30〜40歳代の強みは、なんといっても時間です。金額の大小より、早く始めて長く続けられるかが、後々の差になります。まずは同世代の現在地から確かめてみましょう。
なお、年代別の貯蓄額に関する詳しい解説は、下記の記事もあわせてご参照ください。
- 30〜40歳代二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値
- 月3万円を40年続けると、元本1440万円が年3%試算で約2752万円(金融庁NISA活用事例)
- 積み上げるのは金額の大きさより「年数」
1. 【30〜40歳代二人以上世帯の平均貯蓄額】中央値はいくらか?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 30歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 30歳代二人以上世帯:平均1096万円/中央値311万円
30歳代は平均1096万円・中央値311万円。貯蓄のない世帯が17.6%ある一方、2000万円以上も12.5%と、この年代から差が生まれ始めます。
1.2 40歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)
- 40歳代二人以上世帯:平均1486万円/中央値500万円
40歳代は平均1486万円・中央値500万円。教育費と住宅ローンが重なる時期で、2000万円以上は21.3%、貯蓄のない世帯は18.8%です。どちらの年代も平均が中央値を上回り、実感に近いのは中央値のほうです。
2. 新NISAは「月3万円を40年」で約2752万円—積み上げるのは金額より年数
貯蓄の現在地が見えたところで、これから積み上げていく方法に目を向けます。金融庁が公表している新NISAの活用事例をもとに、少額を長く続けた場合の数字を確かめましょう。
2.1 つみたて投資枠で月3万円を40年—元本1440万円が約2752万円に
「まとまったお金がないと投資は始められない」—そう感じて、口座を開いたまま止まっている方もいるのではないでしょうか。
金融庁が示す新NISAの活用事例には、長期間にわたって少額で積立投資を続けたい方に向けたパターンがあります。つみたて投資枠を使い、月3万円を40年間続けるという設定です。
投資元本は3万円×12カ月×40年で1440万円(※手数料は除く)。運用利回りが一律で年3%だった場合、元本と運用損益を合わせて約2752万円になると示されています。投資元本の約1.9倍です。
2.2 増えたのは「年数」—老後資金づくりに時間を味方にする
裏を返せば、増えた約1312万円は、毎月の積立額を上げてつくった部分ではありません。月3万円は40年間変えていません。積み上げたのは金額ではなく年数です。
「もっと多く積まないと意味がない」と思っていた方には、見え方が変わる数字かもしれません。老後資金づくりでは、いくら積むかと同じくらい、いつ始めるかが結果を左右します。
ただし年3%は一律で置いた仮定で、金融庁も将来の運用成果を保証するものではないと注記しています。手数料等も考慮されていません。それでも、30〜40歳代のいまから始めれば、40年という年数を味方にできます。
3. 編集部からのアドバイス
30〜40歳代二人以上世帯の貯蓄は、平均で30歳代1096万円・40歳代1486万円、中央値で311万〜500万円でした。中央値からみると、これからの積み増しが大きなテーマです。時間を味方にする3つのポイントをお伝えします。
一つ目は、「続けられる金額」を先に決めることです。月3万円が難しければ1万円でもかまいません。大切なのは金額の大きさより、途中でやめずに年数を積むことです。
二つ目は、積立を「自動」にすることです。証券口座やNISAの自動積立を設定すれば、相場や気分に左右されず、意志の力に頼らず続けられます。
三つ目は、金融庁のつみたてシミュレーターで、自分の金額と年数を当てはめてみることです。40年でなくても、いまの年齢から何年続けられるかを入れると、目標が具体的になります。
退職金というまとまった資金を前にして、「もっと早く、少しずつでも始めておけば」と振り返る声は、シニア世代の資産運用ではよく聞かれるものです。資金が用意できても、運用に充てられる年数までは後から取り戻せません。
月3万円を40年という事例が教えてくれるのは、増やしたのは金額ではなく年数だということ。30〜40歳代のいまは、その年数をいちばん長くとれる時期です。無理のない額で自動積立を設定し、あとは続けることに集中しましょう。
相場が上下しても淡々と続けた人ほど、時間を味方にできます。まずは今日、続けられる金額を一つ決めてみてください。
4. まとめにかえて
今回は、30〜40歳代二人以上世帯の平均貯蓄額(30歳代1096万円・40歳代1486万円)と中央値(311万〜500万円)を確認しました。平均は一部の世帯に引き上げられるため、実感に近いのは中央値のほうです。
そのうえで、金融庁のNISA活用事例から、月3万円を40年続けると元本1440万円が年3%試算で約2752万円になるパターンをみました。増えた部分をつくったのは、金額の大きさではなく年数でした。
年3%はあくまで仮定で成果を約束するものではありませんが、30〜40歳代のいまなら、年数という最大の武器を長く使えます。家計から無理なく出せる金額を一つ決め、自動積立に設定するところから始めてみてください。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 金融庁「NISAの活用事例」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
LIMO編集部貯蓄解説班

