新NISAで積み立ててきた資産を、いつどう取り崩すか。買うときの話に比べて、語られる機会は多くありません。
金融庁によると、新しいNISAは非課税保有期間が無期限で、口座開設期間も恒久化されています。いつまでに売らなければならないという期限がなくなりました。
この記事では、取り崩し方の違いと、制度上おさえておきたい点を見ていきましょう。
1. 売る時期を急がなくてよい制度になっている
まず、制度の前提を確認します。
1.1 非課税保有期間は無期限
金融庁が挙げるNISAのポイントには、非課税保有期間が無期限であること、制度そのものが恒久化されていることが含まれています。2023年までのつみたてNISAや一般NISAには非課税期間の上限がありましたが、いまはありません。
値下がりしている時期に期限が来て売らざるを得ない、ということが起きない設計になっています。取り崩しを始める年齢も、自分で決められます。
1.2 枠が戻るのは翌年以降
一方で、売却したあとの枠の扱いには決まりがあります。金融庁は、非課税保有限度額は買付け残高(簿価残高)で管理されるとしています。売却した場合には、その商品の簿価分の非課税枠を翌年以降に再利用できます。
戻るのは買ったときの金額の分だけで、値上がり分は戻りません。また、その年のうちに戻るわけでもありません。取り崩しながら買い直すことを考えている場合は、この時間差を織り込むことになります。
2. 定額と定率で減り方が変わる
取り崩し方には、大きく2つの考え方があります。
2.1 定額は分かりやすいが、いつか尽きる
毎年決まった金額を取り崩すのが定額です。生活費の不足分を補うという使い方には合っていて、いくら受け取れるかがはっきりします。
ただし、運用の成果を考えない前提で単純に計算すると、1000万円から毎年60万円を取り崩す場合、16年で960万円を使い、17年目に残りが尽きます。資産が減っても受け取る額が変わらないため、終わりが来ます。
2.2 定率は尽きにくいが、受け取る額が減る
残高に対して決まった割合を取り崩すのが定率です。同じく運用の成果を考えない前提で計算すると、1000万円から毎年6%を取り崩す場合、初年度は60万円ですが、10年目には約34万円まで下がります。
残高が減れば取り崩す額も減るため、計算上は尽きにくくなります。その代わり、受け取る額が年々小さくなっていきます。どちらが良いという話ではなく、公的年金でどこまで賄えるかによって選び方が変わります。
新NISAの開始により「資産を増やす」フェーズから「計画的に使う」フェーズへの移行を考える方が増えています。特に長年積み立ててきた資産を取り崩す際、減っていく残高を見て心理的な抵抗を感じるケースは少なくありません。
今回の改定で非課税期間が無期限化されたことで、市場の暴落時に慌てて売却する必要はなくなりました。取り崩し計画の第一歩は、ご自身の公的年金の支給額と開始時期を「ねんきん定期便」などで正しく把握することです。不足分を補う「定額」と、長持ちさせる「定率」の特性を理解し、年金の受け取り方に合わせた自分なりの「出口戦略」を整えていきましょう。
