3. 年金「月15万円」で暮らしはどう感じている?高齢者世帯の生活意識と所得の内訳
受給額の分布を見ると、「思ったより少ない」と感じた方もいるかもしれません。では、実際に年金を受け取っている高齢者世帯は、暮らしをどう感じているのでしょうか。厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査の概況」から確認します。
3.1 「生活が苦しい」高齢者世帯は55.8%
同調査によると、高齢者世帯で生活が「苦しい」(「大変苦しい」+「やや苦しい」)と答えた割合は55.8%にのぼります。半数を超える世帯が、家計に余裕のなさを感じているということです。年金額の「平均」や「分布」だけでは見えてこない、暮らしの実感がうかがえます。
3.2 所得の6割超は公的年金・恩給。年金だけの世帯も4割超
高齢者世帯の所得の内訳を見ると、総所得に占める公的年金・恩給の割合は63.5%で、稼働所得(働いて得る収入)は25.3%です。年金が家計の柱になっていることが分かります。
さらに、公的年金・恩給が総所得の100%、つまり「収入は年金だけ」という高齢者世帯は43.4%にのぼります。4割を超える世帯が、年金だけで暮らしを支えているのが実態です。
だからこそ、年金がどれくらい受け取れるのかを早めに把握し、必要に応じて年金以外の収入や取り崩せる資産を用意しておくことが、暮らしの安心につながります。まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で、ご自身の見込み額を確認しておきましょう。
4. 編集部からのアドバイス|「年金だけ」に頼りきらない家計のつくり方
今回のデータで印象的なのは、高齢者世帯の4割超が「収入は年金だけ」という点です。年金は暮らしの土台ですが、それ一本に頼ると、物価上昇や急な出費に弱くなります。
特に女性は、厚生年金で月15万円以上を受け取る人が12.3%と少なく、単身になったときの備えがより重要になります。
現役世代の方は、iDeCoや新NISAで「自分年金」を育てておくこと。すでに受給世代の方は、年金生活者支援給付金など受け取れる支援がないかを確認しておくことが、家計の安心につながります。
5. まとめにかえて
厚生年金で月15万円以上を受け取る人は男女全体で約半分、女性は12.3%。そして高齢者世帯の半数超が「生活が苦しい」と感じています。最後に、今日からできるアクションを3つ整理します。
- ①自分の年金見込み額を確認する:ねんきんネットやねんきん定期便で、分布のどこにいるかをチェック。平均ではなく「自分の数字」で考えましょう。
- ②「年金+α」を育てる:高齢者世帯の4割超が年金だけの収入。iDeCoや新NISAで上乗せを準備し、年金一本に頼らない家計をつくります。
- ③使える支援制度を確認する:年金が少なめの世帯は、年金生活者支援給付金や住民税非課税世帯向けの軽減など、受け取れる制度がないかを確認しておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
和田 直子
