偶数月に振り込まれる公的年金。2026年度は4年連続のプラス改定となりましたが、「年金だけで暮らせるのか」という不安は続いています。

厚生年金を月15万円以上受け取る人は、男女全体でおよそ半分。ただし男女差が大きく、女性は12.3%にとどまります。この記事では、厚生年金で月15万円以上を受け取る人の割合を男女別に確認し、あわせて「年金でどのくらい暮らせているのか」という高齢者世帯のリアルも見ていきます。

なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
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【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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ココがポイント
  • 厚生年金(国民年金含む)で月15万円以上は男女全体で49.8%。男性68.8%に対し女性は12.3%
  • 平均は月15万289円。受給額は現役時代の報酬と加入期間で決まり、男女差が大きい
  • 高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」。所得の6割超を公的年金・恩給が占める

1. 国民年金と厚生年金はどこが違う|保険料は会社と半分ずつ

金額の話に入る前に、年金の土台になるしくみを確かめておきます。

日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。1階部分の国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられ、自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。2階部分の厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入し(第2号被保険者)、国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

押さえておきたいのは、国民年金が全員共通の「土台」、厚生年金が会社員などの「上乗せ」という構造です。

厚生年金の保険料は会社と本人が半分ずつ負担する「労使折半」で、加入期間と報酬に応じて受給額が決まります。

一方、会社員に扶養される配偶者(第3号被保険者)は保険料の個別負担がありません。この立場の違いが、老後の年金額の差につながります。つまり、同じ「年金」でも、現役時代にどの制度へ・どれだけ加入していたかで、受け取れる額は大きく変わるということです。では、その厚生年金で月15万円以上を受け取る人は、実際どのくらいいるのでしょうか。

2. 厚生年金「月15万円以上」は49.8%|2カ月分の振込は平均約30万円

厚生年金は現役時代の報酬と加入期間で決まるため、同じ厚生年金でも金額の幅は大きくなります。全体の平均は月15万289円。公的年金は2カ月分がまとめて振り込まれるので、平均どおりなら1回の振込は約30万円です。

では、その平均に届いている人はどのくらいいるのでしょうか。以下の年金月額には、国民年金(老齢基礎年金)部分を含みます。

2.1 男女全体では49.8%が月15万円以上

【男女全体】厚生年金の平均年金月額:15万289円
~1万円:4万3399人
1万円以上~2万円未満:1万4137人
2万円以上~3万円未満:3万5397人
3万円以上~4万円未満:6万8210人
4万円以上~5万円未満:7万6692人
5万円以上~6万円未満:10万8447人
6万円以上~7万円未満:31万5106人
7万円以上~8万円未満:57万8950人
8万円以上~9万円未満:80万2179人
9万円以上~10万円未満:101万1457人
10万円以上~11万円未満:111万2828人
11万円以上~12万円未満:107万1485人
12万円以上~13万円未満:97万9155人
13万円以上~14万円未満:92万3506人
14万円以上~15万円未満:92万9264人
15万円以上~16万円未満:96万5035人
16万円以上~17万円未満:100万1322人
17万円以上~18万円未満:103万1951人
18万円以上~19万円未満:102万6888人
19万円以上~20万円未満:96万2615人
20万円以上~21万円未満:85万3591人
21万円以上~22万円未満:70万4633人
22万円以上~23万円未満:52万3958人
23万円以上~24万円未満:35万4人
24万円以上~25万円未満:23万211人
25万円以上~26万円未満:15万796人
26万円以上~27万円未満:9万4667人
27万円以上~28万円未満:5万5083人
28万円以上~29万円未満:3万289人
29万円以上~30万円未満:1万5158人
30万円以上~:1万9283人

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

階級ごとの人数を追うと、10万円台前半に山があり、そこから上下に広がっています。月15万円以上に届いているのは男女全体で49.8%。ちょうど半分に少し足りない水準です。平均が15万289円なのに、平均以上の人が半分に届かないのは、高額の受給者が平均を押し上げているためです。さらにこの割合は、厚生年金を受け取っている人のなかでの数字です。国民年金だけの人まで含めれば、月15万円に届く割合はもっと低くなります。「平均」を自分の目安にしすぎない、という視点が必要です。分布を見るときは、自分がどの階級に入りそうかを先に確かめるのがおすすめです。ねんきんネットや毎年の「ねんきん定期便」には、これまでの加入記録にもとづく見込み額が示されています。そこに記された金額を、いま見た階級表に重ねてみてください。上の階級に届いていなくても、加入期間を延ばす、繰下げ受給を選ぶ、といった手立ては残っています。数字を知ることは、落ち込むためではなく打ち手を選ぶための作業です。

2.2 男性68.8%に対し女性は12.3%|5倍以上の開き

同じ月15万円というラインを、男女別に見ると景色が変わります。分布そのものを並べて確かめてみましょう。

厚生年金保険年金月額階級ごとの受給権者数2/2

厚生年金保険年金月額階級ごとの受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【男性】厚生年金の平均年金月額:16万9967円
~1万円:3万446人
1万円以上~2万円未満:1万257人
2万円以上~3万円未満:5404人
3万円以上~4万円未満:5185人
4万円以上~5万円未満:1万4747人
5万円以上~6万円未満:3万9134人
6万円以上~7万円未満:13万4214人
7万円以上~8万円未満:23万186人
8万円以上~9万円未満:26万278人
9万円以上~10万円未満:26万99人
10万円以上~11万円未満:29万8838人
11万円以上~12万円未満:37万6357人
12万円以上~13万円未満:45万6689人
13万円以上~14万円未満:54万9337人
14万円以上~15万円未満:65万7775人
15万円以上~16万円未満:76万4713人
16万円以上~17万円未満:85万3718人
17万円以上~18万円未満:92万6462人
18万円以上~19万円未満:95万5327人
19万円以上~20万円未満:91万3998人
20万円以上~21万円未満:82万204人
21万円以上~22万円未満:68万2702人
22万円以上~23万円未満:50万9842人
23万円以上~24万円未満:34万1191人
24万円以上~25万円未満:22万4720人
25万円以上~26万円未満:14万7563人
26万円以上~27万円未満:9万2856人
27万円以上~28万円未満:5万4156人
28万円以上~29万円未満:2万9810人
29万円以上~30万円未満:1万4935人
30万円以上~:1万8801人

【女性】厚生年金の平均年金月額:11万1413円
~1万円:1万2953人
1万円以上~2万円未満:3880人
2万円以上~3万円未満:2万9993人
3万円以上~4万円未満:6万3025人
4万円以上~5万円未満:6万1945人
5万円以上~6万円未満:6万9313人
6万円以上~7万円未満:18万892人
7万円以上~8万円未満:34万8764人
8万円以上~9万円未満:54万1901人
9万円以上~10万円未満:75万1358人
10万円以上~11万円未満:81万3990人
11万円以上~12万円未満:69万5128人
12万円以上~13万円未満:52万2466人
13万円以上~14万円未満:37万4169人
14万円以上~15万円未満:27万1489人
15万円以上~16万円未満:20万322人
16万円以上~17万円未満:14万7604人
17万円以上~18万円未満:10万5489人
18万円以上~19万円未満:7万1561人
19万円以上~20万円未満:4万8617人
20万円以上~21万円未満:3万3387人
21万円以上~22万円未満:2万1931人
22万円以上~23万円未満:1万4116人
23万円以上~24万円未満:8813人
24万円以上~25万円未満:5491人
25万円以上~26万円未満:3233人
26万円以上~27万円未満:1811人
27万円以上~28万円未満:927人
28万円以上~29万円未満:479人
29万円以上~30万円未満:223人
30万円以上~:482人

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

山の位置がまるで違います。男性は18万円台に、女性は10万円台前半に人数が集まっています。

月15万円以上を受け取っている割合は、男性68.8%に対して女性は12.3%。5倍以上の開きです。これは個人の努力の差ではなく、結婚・出産・育児などに伴う働き方の変化や構造的な背景によるものです。厚生年金の加入期間が短くなったり、報酬が上がりにくかったりした年月が、年金の数字に反映されています。

世帯としては夫の年金で成り立っていても、どちらかが先に亡くなれば単身の家計に切り替わります。夫婦の合計だけでなく、ひとりになったときの金額も一度確かめておきたいところです。

世帯単位で見ているうちは足りているように見えても、単身になった瞬間に家計の前提が変わります。夫婦それぞれの見込み額を並べ、どちらが先に亡くなった場合に収入が細るのかを話し合っておくと、備え方は具体的になります。いまから加入期間を延ばせるか、受け取り開始を遅らせる選択があるか、生活費のどこを見直せるか。数字が並んでいれば、その相談も落ち着いてできます。

和田 直子

ここまで、厚生年金で月15万円以上を受け取る人の割合を見てきました。男女全体で約半分、女性は12.3%と、男女差の大きさが際立ちましたね。

では、この年金額で高齢者世帯は実際にどのくらい暮らせているのでしょうか。

次の章で、生活意識と所得の内訳から、年金への依存度と家計のリアルを確認しておきましょう。