4. 「手数料負けしませんか」とよく聞かれた

銀行員時代にiDeCoの相談を受けていた頃、金額の小ささとは裏腹に、手数料の質問はよく出ました。掛金が全額そのまま積み立てられると思っていた方にとって、毎月引かれるという事実は意外に映るようでした。

4.1 元本確保型だけで運用している人ほど気になる

定期預金などの元本確保型だけで運用している場合、いまの金利水準では手数料が運用益を上回ることもあります。「増えないのに引かれるのはどうなのか」という質問は、この状況から出てくるものでした。

ただ、iDeCoの利点は運用益だけではありません。掛金が全額所得控除の対象になるため、課税される所得がある方は、その分の税負担が軽くなります。手数料と運用益だけを比べると判断を誤ります。

4.2 課税される所得がない人は事情が変わる

逆に、課税される所得がない方の場合は所得控除の効果が働きません。専業主婦・主夫の方や、収入が少ない方がこれにあたります。この場合は手数料と運用成果を見比べる判断になりますので、加入の前に一度整理しておくことをおすすめします。

5. 拠出のしかたを変えても、もう手数料は下がらない

改定後にいちばん影響を受けるのは、手数料を抑える工夫として年単位の拠出を選んでいた方です。

5.1 年単位拠出は手数料以外の目的で選び直す

年単位で拠出する仕組みは、手数料を抑えるためだけのものではありません。賞与の時期に多めに納めたい、年間の資金繰りに合わせたいといった理由で選ぶこともできます。

改定後は手数料が同じになりますので、これからは資金の出し方に合っているかどうかで判断することになります。手数料のために毎月から年1回へ切り替えていた方は、元に戻す選択肢も出てきます。

5.2 掛金を止めている期間の扱いは別

なお、掛金の拠出を止めて運用だけを続けている方は、そもそも掛金を納めていないため国民年金基金連合会のこの手数料はかかりません。ただし事務委託先金融機関の66円は資産を持っている間かかり続けます。

6. 金融機関を選ぶときに見ておきたいところ

国民年金基金連合会と事務委託先金融機関の手数料は、どこで加入しても同じです。差がつくのは運営管理機関の手数料と、選べる運用商品です。

6.1 運営管理機関の手数料を確認する

運営管理機関の手数料は金融機関によって異なり、0円としているところもあります。iDeCo公式サイトでは運営管理機関ごとの手数料体系が公開されていますので、加入前に比べておくとよいでしょう。

6.2 運用商品のラインアップと信託報酬も見る

手数料が同じであれば、次に見るのは選べる商品です。投資信託を選ぶ場合は、保有している間ずっとかかる信託報酬の水準も確認します。長期で積み立てる制度なので、毎月の手数料より信託報酬の差のほうが最終的な金額に効いてくることもあります。

6.3 加入後の変更には手間がかかる

加入後に運営管理機関を変えることはできますが、資産をいったん現金化して移す必要があり、手続きにも時間がかかります。あとから変えられるとはいえ、最初に比べておくほうが負担は少なくて済みます。

7. まとめにかえて

iDeCoの加入者が負担する手数料は、2027年1月の納付分から1回105円が月120円に変わります。加入時の2829円と受け取り時の440円は据え置きです。

毎月拠出している方は年180円の増加にとどまりますが、年1回にまとめて拠出している方は年1335円の増加になります。手数料を抑える目的で年単位の拠出を選んでいた方は、切り替えの意味がなくなる点を押さえておきましょう。

まずは自分がどの拠出のしかたを選んでいるか、そして加入している金融機関の運営管理機関手数料がいくらかを確認するところから始めてみてください。判断に迷う場合は、加入している金融機関の窓口に個別の条件を伝えて相談することもできます。

参考資料

三石 由佳