9~10月は給料の手取りが変わる方もいるもの。毎年1回、4~6月の給与平均により標準報酬月額を決定し直す「定時決定」。新たな標準報酬月額は9月~翌年8月までに適用され、社会保険料が変わることで手取り額が変わることがあるのです。

役職が上がれば給与も上がります。ただ実際に手元に残る金額は、額面の増え方とは違う動き方をします。

厚生労働省が2026年3月に公表した「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、部長級の所定内給与額は月63万5800円、課長級は52万9200円、係長級は39万9200円でした。ここに賞与を加えた額面年収から税と社会保険料を引くと、昇進で増えた分のうち手元に残る割合は基本的に役職が上がるほど下がっていきます。

この記事では、役職別の賃金と賞与の実額、そして額面と手取りの差がどう開いていくのかを順に確認していきます。

ココがポイント
  • 部長級の所定内給与は月63万5800円、年間賞与は244万6600円
  • 係長級は月15時間の残業があり、課長級の4時間とは残業代の差が大きい
  • 昇進で増えた額面のうち手取りに残る割合は、課長から部長で57.7%まで下がる

1. 【役職別】平均賃金一覧。部長・課長・係長はいくらか。非役職者は?

まずは実額から確認していきます。ここで使うのは産業計・企業規模計(10人以上)で、雇用期間の定めのない労働者を対象とした数値です。

1.1 部長級は月63万5800円

役職別の所定内給与額は、部長級が63万5800円、課長級が52万9200円、係長級が39万9200円、非役職者が31万0500円でした。

年間賞与その他特別給与額は、部長級が244万6600円、課長級が219万1900円、係長級が151万2100円、非役職者が86万6400円です。

平均年齢は部長級53.1歳、課長級49.5歳、係長級45.4歳、非役職者41.8歳、平均勤続年数はそれぞれ22.6年、20.9年、17.5年、10.8年となっています。

役職別にみた所定内給与額と年間賞与その他特別給与額1/2

役職別にみた所定内給与額と年間賞与その他特別給与額

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにLIMO編集部作成

1.2 男女別では部長級で6万4100円の差がある

男女別に所定内給与額を見ると、部長級は男性64万2400円、女性57万8300円でした。課長級は男性54万1400円、女性47万0300円、係長級は男性41万0900円、女性36万5700円です。

非役職者は男性33万2100円、女性28万0100円でした。平均年齢はどの役職でも男女でほとんど差がありませんが、平均勤続年数は女性のほうが短くなっています。

2. 残業代に相当する額は平均いくらか

額面を考えるとき、所定内給与だけを見ていると実感とずれることがあります。残業代の扱いが役職で大きく変わるためです。

2.1 係長級は月15時間、課長級は4時間

超過実労働時間数は、係長級が月15時間、非役職者が12時間であるのに対し、課長級は4時間、部長級は2時間でした。

きまって支給する現金給与額から所定内給与額を引くと、残業代に相当する額が出ます。係長級は4万6200円、非役職者は3万2200円、課長級は1万4900円、部長級は1万0400円です。

平均にはなりますが、所定内給与だけで比べると係長級から課長級は月13万円の増加ですが、残業代を含めた「きまって支給する現金給与額」で見ると44万5400円から54万4100円で、月9万8700円の増加にとどまります。

宮野 茉莉子

昇進の話になると、増えた額面ばかりに目が向きがちです。ただ手元に残る金額で見ると、増え方は思っているより穏やかになります。

これは損をしているという話ではありません。社会保険料は将来の年金や給付につながる部分があるので、引かれた分がすべて消えるわけではないという見方もできます。