5. 【試算】年金を繰上げて62歳から受け取ると月4万2800円
繰上げは1か月あたり0.4%減、繰下げは1か月あたり0.7%増で、1か月単位の調整ができます。ここでは65歳時点の年金月額が5万円の方が、62歳から受給を始めたケースを計算します。
65歳より36か月早い請求になるため、減額率は0.4%×36か月で14.4%です。
5.1 14.4%減の水準が生涯続く。65歳受給との差は月7200円
- 65歳時点の年金月額:5万円
- 受給開始年齢:62歳
- 増減率:14.4%減
- 受け取る月額:4万2800円
- 年額:51万3600円
- 65歳受給との月額差:-7200円
受け取る額は月4万2800円、年額では51万3600円です。3年前倒しする代わりに、毎月7200円ずつ目減りした金額が生涯続きます。
※14.4%減は減額率1か月0.4%(昭和37年4月2日以後生まれ)で算出しました。生年月日が昭和37年4月1日以前の場合、減額率は1か月0.5%に上がります。
請求後の制約も見ておきましょう。繰上げ請求をした日以後は、事後重症などによる障害基礎年金を請求できず、国民年金の寡婦年金も支給されません。国民年金への任意加入や保険料の追納もできなくなります。
5.2 82歳10か月で累計が逆転する。60歳繰上げより分岐点は後ろへ
65歳受給と累計額を比べると、逆転するのは82歳10か月です。60歳まで繰り上げた場合の80歳10か月と比べると、分岐点は2年ほど後ろにずれます。
80歳までの累計は、62歳受給で924万4800円、65歳受給で900万円です。90歳まで受け取ると62歳受給が1438万800円、65歳受給が1500万円で、61万9200円の差になります。
3年の前倒しと引き換えに毎月7200円を手放す取引と考えると、判断の軸は寿命の見通しと当面の生活費です。繰上げ請求は取り消せませんので、年金事務所で自分の条件の試算を取ってから決めたいところです。
6. 年金の繰上げ・繰下げは年代別の平均と見比べて決める
年金の受給開始年齢は60歳から75歳までの間で選べます。繰上げは1か月あたり0.4%減、繰下げは1か月あたり0.7%増で、決まった率は生涯変わりません。
2026年度の年金額は国民年金が1.9%増、厚生年金の報酬比例部分が2.0%増に改定されました。60歳代から80歳代の平均月額は厚生年金が14万~16万円台、国民年金が5万~6万円台で、厚生年金は男女で5万8554円の差があります。
2026年4月からは在職老齢年金の基準額が月収65万円へ引き上げられ、働きながら年金を受け取りやすくなりました。自分の年金額を年代別の平均と見比べたうえで、判断に迷うときは年金事務所へ相談してみてください。
参考資料
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
石津 大希