2026年4月から、働きながら年金を受け取る人の減額基準が月収51万円から65万円へ緩和されました。受給開始年齢の選び方とあわせて、老後の受け取り方の選択肢は広がっています。

年金は60歳から75歳までの間で受け取り始める時期を選べます。前倒しなら1か月あたり0.4%減、後ろへずらすなら1か月あたり0.7%増です。

石津 大希
減額や増額の率は請求した月で固定されます。まずは自分の年金額が年代別の平均とどう違うのかを見比べ、開始時期を考えると判断しやすくなるでしょう。

本記事では、2026年度の年金額と60歳代から80歳代までの年金一覧表、そして2025年の年金制度改正のポイントを確認します。

なお、2026年度の年金額や公的年金の仕組み、平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
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【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金
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【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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ココがポイント
  • 年金の繰上げは1か月あたり0.4%減、繰下げは1か月あたり0.7%増で、決まった率は生涯変わりません
  • 60歳代から80歳代の平均年金月額は、厚生年金が14万~16万円台、国民年金が5万~6万円台です
  • 2026年4月から在職老齢年金の支給停止調整額が月収51万円から65万円へ引き上げられました

1. 年金の繰上げ・繰下げで金額はどう変わる?

老齢年金は原則65歳からの受け取りですが、開始時期を選べます。60歳から65歳になるまでに前倒しする繰上げ受給は1か月あたり0.4%減、66歳以後75歳までに遅らせる繰下げ受給は1か月あたり0.7%増です(※繰上げの減額率は昭和37年4月2日以後生まれの場合。同年4月1日以前生まれは1か月0.5%減)

率が掛かるのは、いまの年金額です。2026年度の年金額改定と、6月に届く通知書の見方については、LIMOの記事「【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?」から要点を引用して確認しておきましょう。

2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

1.1 6月に届く通知書で天引きの内訳を確かめる

繰上げ・繰下げの率は額面に掛かるため、手取りは同じ割合では動きません。通知書で確認したい天引き(特別徴収)の内訳についても、あわせて引用します。

6月に届く「年金額改定通知書」「年金振込通知書」では、今年度の年金額と実際の振込額を確認できます。「年金振込通知書」には、介護保険料、公的医療保険料、個人住民税・森林環境税、所得税・復興特別所得税といった年金からの天引き(特別徴収)の内訳が記載されています。なお、天引きには前年度の情報をもとに仮の金額を徴収する「仮徴収(4・6・8月)」と、確定額から仮徴収分を差し引いて調整する「本徴収(10・12・2月)」があり、10月以降に天引き額が増えて手取りが減るケースもあります。

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

2. 年金の繰上げ・繰下げを考える前に

ここからはいまのシニア世代が実際どの程度の老齢年金を受け取れているかを、年代別の年金一覧表とあわせて見ていきましょう。

厚生年金と国民年金の「各年齢(1歳刻み)」の平均年金月額を、年齢層の一覧表形式で確認します。

なお、記事内で紹介する厚生年金の月額には、国民年金の月額部分が含まれています。

2.1 60歳代の厚生年金の平均月額を1歳刻みで見る

60歳代の厚生年金額1/10

60歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

2.2 60歳代の国民年金の平均月額を1歳刻みで見る

60歳代の国民年金額2/10

60歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

65歳~69歳の平均年金月額は、厚生年金14~15万円台、国民年金6万円台です。

64歳までは、繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受給している人の年金額です。そのため、厚生年金・国民年金ともに平均年金月額は65歳以降よりも少なめです。

※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。

2.3 70歳代の厚生年金の平均月額を1歳刻みで見る

70歳代の厚生年金額3/10

70歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

2.4 70歳代の国民年金の平均月額を1歳刻みで見る

70歳代の国民年金額4/10

70歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

70歳代の平均年金月額は、厚生年金で14~15万円台、国民年金で5~6万円台でした。

2.5 80歳代の厚生年金の平均月額を1歳刻みで見る

80歳代の厚生年金額5/10

80歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

2.6 80歳代の国民年金の平均月額を1歳刻みで見る

80歳代の国民年金額6/10

80歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?

80歳代の平均受給額は、厚生年金が15万円~16万円台、国民年金が5万7000円~9000円台です。

ただし、ご紹介したデータはあくまでも「各年齢の平均」です。実際の年金額は、現役時代の働き方や年金保険料の納付状況により、一人ひとり異なります。

3. 年金の繰上げ・繰下げの判断材料

老後の公的年金受給額は、現役時代の年金加入状況を反映し、個人差・男女差が生じます。

ここからは、60歳以上のすべての受給権者における「平均」と「個人差」を見ていきましょう。

3.1 厚生年金は全体で月15万289円。男女で5万8554円の差がある

厚生年金の年金額(男女別)7/10

厚生年金の年金額(男女別)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

厚生年金の平均年金月額は、全体で15万289円でした。男女別は下記のとおりです。

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

※国民年金部分を含む

年金月額階級ごとの受給者数は、次のように分布しています。

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

厚生年金の平均年金月額は全体で15万円台ですが、男女間の差は大きく、男性が16万円台、女性が11万円台で5万8554円の開きがあります。

この差は、現役時代の働き方、とくに給与水準や厚生年金への加入期間の違いが影響していると考えられます。

さらに受給者数の分布を見ると、月額1万円未満の人から30万円を超える人まで、幅広い受給額ゾーンに散らばっています。一人ひとりのキャリアや収入が年金額に反映される点が、厚生年金の特徴です。

3.2 国民年金は全体で月5万9310円。ボリュームゾーンは6万円台

国民年金の年金額(男女別)8/10

国民年金の年金額(男女別)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

国民年金の平均年金月額は、全体で5万9310円でした。男女別は下記のとおりです。

  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

こちらも年金月額階級ごとの受給者数を見てみましょう。

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

国民年金は、男女ともに6万円台が中心となっています。受給額の分布を見ると、月額「6万円以上7万円未満」がボリュームゾーンです。

多くの人が、満額(2026年度月額は7万608円)に近い金額を受け取れている様子がうかがえます。国民年金は収入にかかわらず保険料が定額であるため、厚生年金に比べて個人差が小さい点も特徴です。

4. 2025年の年金制度改正と繰下げの関係

公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりがあります。

2025年6月13日、国会で年金制度改正法が成立しました。今回の改正の見直しポイントのうち、働く人々の「仕事と暮らし」に深く関わるものを紹介しましょう。働きながら繰下げを考えている方にとっては、在職老齢年金の見直しがとくに関係します。

2025年の年金制度改正の全体像9/10

年金制度改正の全体像

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

4.1 社会保険の加入対象の拡大。短時間労働者の加入要件の見直し

  • 賃金要件の撤廃:3年以内にいわゆる「年収106万円の壁」撤廃へ
  • 企業規模要件の撤廃:10年かけて段階的に対象の企業を拡大(※)

※2025年7月時点では「51人以上」

4.2 社会保険の加入対象の拡大。個人事業所の適用対象も広がる

  • 2029年10月から個人事業所の社会保険の適用対象(※)が、従業員5人以上の全業種に拡大(2029年10月時点における既存事業所は当面除外)

※2025年7月現在「常時5人以上の者を使用する法定17業種」は加入必須。(法定17業種とは:①物の製造、②土木・建設、③鉱物採掘、④電気、⑤運送、⑥貨物積卸、⑦焼却・清掃、⑧物の販売、⑨金融・保険、⑩保管・賃貸、⑪媒介周旋、⑫集金、⑬教育・研究、⑭医療、⑮通信・報道、⑯社会福祉、⑰弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業)

4.3 在職老齢年金の見直しで月収65万円まで年金が減らない

2026年4月から、年金が減額される基準額(※)が「月収51万円(2025年度の金額)→65万円」に緩和されました。働きながらでも年金を満額もらいやすくなります。

※支給停止調整額(年金が減額される基準額):年金を受給しながら働くシニアの「賃金+老齢厚生年金」の合計がこの金額を超えると、年金支給額が調整される。

繰下げ受給を選ぶ場合、在職老齢年金で支給停止となる部分は増額の対象になりません。基準額が上がったことで、働きながら繰下げを検討しやすくなった面もあります。

4.4 保険料や年金額の計算に使う賃金の上限が引き上げられる

厚生年金などの保険料や年金額の計算に使う賃金の上限(※1)を「月65万円→75万円」へ段階的に引き上げ(※2)。従来よりも現役時代の賃金に見合った年金を受給できるようになります。

※1 標準報酬月額:厚生年金や健康保険の保険料、年金額を計算するために、月々の報酬と賞与を一定の幅で区切った基準額のこと
※2 2027年9月から68万円、2028年9月から71万円、2029年9月から75万円に引き上げ

石津 大希
繰下げでは加給年金額や振替加算額が増額の対象とはならず、増えた分が医療・介護の自己負担や保険料、税金に影響する場合もあります。

繰上げ請求は取り消せないので、どちらを選ぶ場合も年金事務所で自分の条件の試算を取ってから判断してみましょう。