年金を受け取りながらの暮らしでは、毎月の収支がぎりぎりで、預貯金を少しずつ取り崩す月が続くこともあります。
厚生労働省が2026年7月に公表した「2025年 国民生活基礎調査の概況」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち41.3%は、総所得のすべてが公的年金・恩給でした。
この記事では、そうした世帯が対象になる可能性のある「年金生活者支援給付金」について、令和8年度の給付額と支給要件、そして請求の手続きを確認していきます。
- 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち41.3%は、総所得のすべてが公的年金・恩給だった
- 老齢年金生活者支援給付金の令和8年度の基準額は月額5620円。年金と同じ口座に、年金とは別に振り込まれる
- 支給要件は「65歳以上で老齢基礎年金を受けている」「世帯全員の市町村民税が非課税」「前年の年金収入とその他の所得の合計が80万9000円以下」の3つ
なお、年金生活者支援給付金の制度内容や年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 所得のすべてが公的年金・恩給という高齢者世帯は41.3%
まず、いまの高齢者世帯が何を頼りに暮らしているのかを見ておきましょう。年金以外の収入がどのくらいあるかによって、家計の余裕はかなり変わってきます。
1.1 公的年金・恩給が総所得に占める割合
厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況」の図11では、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯を、公的年金・恩給が総所得に占める割合ごとに分けています。
- 20%未満:4.2%
- 20〜40%未満:9.7%
- 40〜60%未満:13.6%
- 60〜80%未満:14.1%
- 80〜100%未満:17.1%
- 100%(すべてが公的年金・恩給):41.3%
もっとも多いのは「100%」の41.3%でした。総所得の8割以上を公的年金・恩給に頼っている世帯を合わせると58.4%になります。
1.2 高齢者世帯の平均所得は336万1000円
同じ調査によると、高齢者世帯の1世帯当たり平均所得金額は336万1000円でした。全世帯の平均である575万2000円とは、200万円以上の開きがあります。
また、高齢者世帯の所得構成を見ると、公的年金・恩給が61.3%を占めていました。稼働所得は25.9%で、残りは財産所得や企業年金、仕送りなどです。
頼りにしている年金そのものにも、受給額の個人差があります。平均額については、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
2. 令和8年度の年金生活者支援給付金は月額5620円
ここからは制度の中身に入ります。年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定の基準を下回る年金受給者を支援するしくみで、2019年10月にはじまりました。
2.1 給付金は3種類に分かれる
受け取っている年金の種類に応じて、次の3つが用意されています。それぞれに支給要件と基準額が設けられています。
- 老齢年金生活者支援給付金:月額5620円(基準額)
- 障害年金生活者支援給付金:月額 1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円
いずれも月額なので、2か月分がまとめて振り込まれます。基準額どおりに受け取れる場合、1回の支給で1万1240円、年額では6万7440円です。
2.2 老齢の給付金は納付済期間と免除期間で計算される
老齢年金生活者支援給付金だけは、基準額をそのまま受け取るわけではありません。国民年金の保険料を納めた期間と、免除を受けた期間に応じて計算されます。
納付済期間の分は「5620円×保険料納付済期間÷480」、免除期間の分は「1万1768円×保険料免除期間÷480」です。480は40年を月数に直した数字です。
免除期間の単価は、納付済期間の単価の約2倍に設定されています。免除を受けた期間があると給付額は下がるように思われがちですが、実際には押し上げる方向に働きます。
3. 老齢年金生活者支援給付金の3つの支給要件
対象になるかどうかは、次の3つをすべて満たすかで決まります。ひとつでも外れると支給されないため、順番に確認していきましょう。
3.1 3つの要件
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている
- 請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税となっている
- 前年の年金収入金額とその他の所得の合計が80万9000円以下(昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下)
3つめの所得には、障害年金や遺族年金などの非課税の収入は含まれません。判定に使うのは前年の実績です。
この要件の書き方については、LIMOの記事「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」から引用して確認しておきましょう。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得(給与所得や利子所得など)との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下
出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
3.2 基準額を少し超えた場合の「補足的老齢年金生活者支援給付金」
所得がわずかに基準を超えた方との差が大きくなりすぎないよう、別の給付が用意されています。それが補足的老齢年金生活者支援給付金です。
昭和31年4月2日以後生まれの方であれば、前年の所得の合計が80万9000円を超えて90万9000円以下の範囲が対象になります。所得が増えるにつれて、給付額は段階的に少なくなります。
4. 請求の手続きと、2年目以降の扱い
年金生活者支援給付金は、請求の手続きをすることで受け取れるしくみです。要件を満たすと自動的に年金へ上乗せされるものではありません。
4.1 請求書が届くタイミング
すでに年金を受給中の方で、新たに要件を満たした場合は、毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。はがき型の請求書は封筒に入って届き、必要事項を書いて返送する流れです。
これから65歳を迎えて老齢年金を新たに請求する方には、事前送付用の年金請求書に給付金の請求書が同封されます。この場合は、年金の請求とあわせて1回の手続きで済みます。
4.2 2年目以降は原則として手続き不要
一度認定されれば、支給要件を満たすかぎり翌年以降の手続きは原則として必要ありません。所得の情報は市区町村から日本年金機構へ毎年連携されるためです。
支給の対象から外れた場合は「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。毎年度の給付額は、6月上旬に送付される支給金額の通知書で確認できます。
自治体で国民健康保険や後期高齢者医療の保険料を計算していた頃、住民税の課税情報を毎日のように参照していました。この給付金も「世帯全員が非課税か」を見るため、同じ情報が判定のもとになります。世帯の状況が変わった年は対象かどうかも変わることがあるので、思い当たる方は一度確認してみてください。




