4. 貯蓄3000万円を月10万円ずつ取り崩すと資産寿命は25.0年
ここからは、年金と支出の差額が月10万円ある方を想定し、貯蓄3000万円がどこまで持つのかを確かめます。
年間120万円のペースになると、3000万円でも25年で使い切る計算です。
4.1 【試算】貯蓄3000万円を月10万円ずつ取り崩した場合の資産寿命
- 貯蓄額:3000万円
- 毎月の取り崩し額:10万円
- 年間の取り崩し額:120万円
- 資産寿命:25.0年
- 65歳から始めた場合:90歳頃まで
65歳から取り崩し始めると、90歳頃に底をつく計算になります。3000万円という残高でも、月10万円のペースなら90歳が一区切りです。
加えて、介護や医療、住宅の修繕といったまとまった支出はこの試算に入っていません。そうした費用が重なれば、時期はさらに早まります。
※3000万円÷(10万円×12)で求めた単純計算です。運用益や物価上昇、介護費用や住宅修繕といった突発的な支出は考慮していません。
取り崩し額を月1万円減らせば、資産寿命は2.8年延びて27.8年になります。90歳より先まで備えたい場合は、取り崩し額そのものの見直しが効いてきます。
4.2 運用しながら取り崩すと年率2%で34.7年に延びる
残った資産を年率2%で運用しながら取り崩す場合、資産寿命は25.0年から34.7年へと9.7年延びる計算です。65歳から始めたとして、90歳頃までだったものが99歳頃までになります。
ただし運用には値動きがあり、元本が保証されているわけではありません。取り崩しの初期に大きく下落すると、想定より早く資産が減ることもあります。
当面使う予定の資金は現金で確保し、下落した年は取り崩し額を抑える。こうした調整を前提に、生活費の半年分から1年分は現金で残しておきましょう。
5. 年金の不足額を1人あたりで捉え直して備えを考える
65歳以上の無職世帯の不足額は、夫婦のみの世帯で月約4万2000円、単身世帯で2万9980円です。1人あたりに直すと2万1000円と2万9980円で、単身世帯のほうが1.43倍重くなります。
年金受給世帯の41.3%は収入のすべてが公的年金・恩給で、不足分を働いて埋める選択肢がありません。厚生年金では月10万円未満の層が305万3974人、全体の19.0%を占めます。
世帯の形と年金額の組み合わせで、必要な備えの規模は変わります。まずはねんきん定期便で見込額を確かめ、将来の世帯構成も想定して収支を並べておきたいところです。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
齊藤 慧
