老後の家計の不足額は、夫婦世帯で月約4万2000円、単身世帯で2万9980円です。金額だけを見れば夫婦世帯のほうが大きくなります。
ところが1人あたりに直すと関係は逆転します。夫婦世帯は2万1000円、単身世帯は2万9980円で、単身世帯のほうが1.43倍重い負担になります。
本記事では、65歳以上世帯の家計収支を世帯構成ごとに比べたうえで、高齢者世帯の収入構成と厚生年金・国民年金の受給額の分布について解説します。
なお、65歳以上世帯の家計収支や年金の受給額の分布に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 1人あたりの不足額は単身世帯2万9980円が夫婦世帯2万1000円の1.43倍
- 年金受給世帯のうち41.3%は収入のすべてが公的年金・恩給
- 厚生年金で月10万円未満を受け取るのは305万3974人で19.0%
1. 年金の不足額は1人あたりで単身世帯が夫婦世帯の1.43倍
まずは世帯構成ごとの収支を確かめます。夫婦のみの無職世帯について、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から引用します。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入の合計が25万4395円(うち公的年金などの社会保障給付が22万8614円)、支出は消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円を合わせて29万6829円。単純計算で毎月約4万2000円が不足し、この収支差が続くと1年間で約50万円、10年間で約500万円の不足となります。
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
次に単身世帯を、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から確かめます。
65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
夫婦世帯の不足額約4万2000円を2人で割ると、1人あたりは2万1000円です。単身世帯の2万9980円はその1.43倍で、1人が負う金額としては単身世帯のほうが重くなります。
住居費や光熱費のように、世帯人数が減っても比例して下がらない支出があるためです。夫婦世帯の数字を半分にした目安では、単身世帯の家計を見誤りやすくなります。
2. 年金以外の収入を持たない世帯が4割を超える
不足分を働いて埋められるかは、収入の構成によって変わります。厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」を見ていきましょう。
高齢者世帯の総所得のうち「公的年金・恩給」は61.3%、「稼働所得」は25.9%、「財産所得」は5.8%です。全体では働いて得る収入も一定の割合を占めています。
2.1 公的年金・恩給の割合別に世帯構成を確かめる
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
- 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%
ただし年金受給世帯に絞ると、収入のすべてが公的年金・恩給という世帯が41.3%を占めます。この層では不足分を働いて埋める選択肢がなく、貯蓄の取り崩しに頼ることになります。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
3. 年金の平均月額と分布では厚生年金の10万円未満が19.0%を占める
その年金がどのくらいの水準なのかを確かめます。平均月額を、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から引用します。
厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。また、厚生年金の月額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
3.1 厚生年金の受給権者を1万円刻みで確かめる
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
各帯を合計すると受給権者は1608万5696人です。このうち10万円未満の帯に入るのは305万3974人で、全体の19.0%にあたります。
単身世帯の支出16万1435円と並べると、この19.0%の層は年金だけでは生活費の6割程度までしか賄えない計算になります。
3.2 国民年金は4万円未満が約301万人にのぼる
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
国民年金は6万円以上7万円未満に受給権者が集中する一方、4万円未満の層も約301万人います。単身世帯でこの水準だと、生活費との差はさらに大きくなります。





