連日の猛暑による電気代の高騰や夏休みのイベントなどで出費がかさむ8月は、改めて「わが家の蓄えは十分なのだろうか」と将来のお金に目が向きやすい時期です。

貯蓄はどれくらいあれば安心なのか、はっきりした答えを出しにくいと感じる方は多いのではないでしょうか。他の世帯がいくら持っているのかは、なかなか聞けない話でもあります。

総務省統計局が2026年5月19日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」によると、二人以上の世帯の1世帯当たり貯蓄現在高は「2059万円」で、7年連続の増加となりました。一方で、貯蓄保有世帯の中央値は「1264万円」にとどまっています。

銀行員だった頃、窓口で預金や資産運用のご相談を受けていると、他の世帯の平均額を気にされる方に出会うことがありました。

この記事では、二人以上の世帯の貯蓄現在高について、平均値と中央値の違い、世帯主の年代別の金額、貯蓄額のばらつき、そして負債を差し引いた純貯蓄額までを公的データで整理します。

ココがポイント
  • 二人以上の世帯の貯蓄現在高は平均2059万円で7年連続の増加。貯蓄保有世帯の中央値は1264万円
  • 平均値の2059万円を下回る世帯は66.1%で、およそ3分の2を占める
  • 世帯主が40歳未満の世帯は994万円で最も少なく、60歳代は2843万円で最も多い

1. 貯蓄現在高の平均は2059万円、貯蓄保有世帯の中央値は1264万円

まずは二人以上の世帯全体の数字から確認します。

2025年平均の1世帯当たり貯蓄現在高は2059万円で、前年に比べ75万円、3.8%の増加となりました。7年連続の増加であり、比較可能な2002年以降で最も多い水準です。

年間収入は681万円で、こちらも前年に比べ25万円、3.8%の増加となっています。貯蓄現在高の年間収入に対する比率である貯蓄年収比は302.3%です。

1.1 平均値と中央値の差は約800万円

2059万円という金額は平均値です。貯蓄保有世帯の中央値は1264万円で、平均値との差は800万円近くあります。

平均値は貯蓄の多い一部の世帯に引き上げられます。これに対して中央値は、貯蓄額の少ない世帯から順に並べたときにちょうど中央に位置する世帯の金額を示すため、実感に近い水準になりやすいと言われます。

なお、この中央値は貯蓄現在高が「0」の世帯を除いて算出したものです。貯蓄が0の世帯を含めた中央値の参考値は1167万円と公表されています。

1.2 10年前と比べると239万円の増加

次に、10年の動きを追ってみます。二人以上の世帯の貯蓄現在高は、2016年が1820万円でした。

2025年の2059万円と比べると、239万円増えたことになります。

ただし、この10年は一本調子ではありません。2018年は1752万円、2019年は1755万円と、いったん1800万円を割り込む時期がありました。

増加が続いているのは2021年以降です。1880万円、1901万円、1904万円、1984万円、そして2059万円と積み上がってきました。

貯蓄保有世帯の中央値も、2016年の1064万円から2025年の1264万円へ200万円増えています。平均値だけが伸びているわけではない点は押さえておきたいところです。

1.3 勤労者世帯は平均1717万円、中央値1015万円

働いて収入を得ている世帯に限ると、金額はこれより低くなります。

二人以上の世帯のうち勤労者世帯(二人以上の世帯に占める割合56.2%)の貯蓄現在高は平均1717万円で、貯蓄保有世帯の中央値は1015万円です。

前年からは平均が138万円、8.7%増えました。年間収入は824万円で、貯蓄年収比は208.4%となっています。

2. 貯蓄現在高は60歳代の2843万円が最も多く、40歳未満は994万円

ここからは世帯主の年齢階級別に貯蓄現在高を見ていきます。

世帯主が60歳以上の年齢階級では、いずれも貯蓄現在高が2000万円を超えている1/2

世帯主の年齢階級別の貯蓄現在高。二人以上の世帯、2025年平均。40歳未満994万円、40歳代1381万円、50歳代1756万円、60歳代2843万円、70歳以上2471万円

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」をもとにLIMO編集部作成

最も少ないのは世帯主が40歳未満の世帯で994万円です。前年に比べ14.6%の増加となり、年齢階級のなかで最も伸びています。

40歳代は1381万円、50歳代は1756万円です。50歳代だけは前年に比べ2.3%の減少となりました。

60歳代になると2843万円まで増え、年齢階級のなかで最も多くなります。前年からは6.9%増えました。

70歳以上は2471万円で、前年に比べ1.2%の増加です。60歳以上の各年齢階級では、いずれも貯蓄現在高が2000万円を超えています。

年間収入と並べると、貯蓄の重みがさらにはっきりします。60歳代は年間収入646万円に対して貯蓄年収比が440.1%、70歳以上は年間収入442万円に対して559.0%です。

また、世帯数の分布を見ると、70歳以上の世帯が32.8%を占めています。二人以上の世帯の約3割は、世帯主が70歳以上の世帯という構成です。

3. 貯蓄の平均を下回る世帯は66.1%、300万円未満は20.4%

平均値だけを見ていると見落としやすいのが、世帯ごとのばらつきです。

貯蓄現在高階級別に世帯の分布を見ると、平均値の2059万円を下回る世帯は66.1%でした。前年の67.0%からわずかに下がったものの、依然としておよそ3分の2を占めています。

階級別の内訳では、300万円未満の世帯が20.4%、300万円以上2500万円未満が51.9%、2500万円以上が27.8%です。貯蓄額の少ない階級に偏った分布になっています。

世帯主の年齢で分けると、この形は大きく変わります。二人以上の世帯のうち世帯主が65歳以上の世帯(二人以上の世帯に占める割合42.9%)では、2500万円以上が36.3%とおよそ3分の1を占めます。

一方で、同じ65歳以上の世帯でも300万円未満が14.9%あります。年齢が上がるほど貯蓄額の差が開いていく形です。

世帯主が65歳未満の世帯では、300万円未満が24.5%、300万円以上2500万円未満が54.1%、2500万円以上が21.4%となっています。

4. 貯蓄から負債を引いた純貯蓄額は1384万円、負債現在高は675万円

貯蓄の話を進めるうえで、負債も合わせて見ておく必要があります。

二人以上の世帯の1世帯当たり負債現在高は675万円で、前年に比べ12万円、1.8%の増加となりました。4年連続の増加であり、こちらも2002年以降で最も多い水準です。

このうち住宅・土地のための負債が620万円を占めます。前年に比べ1.3%の増加で、負債の大半が住宅ローンという構成になっています。

負債を抱えている世帯は全体の一部です。負債保有世帯の割合は37.5%で、前年より1.3ポイント下がりました。

負債保有世帯だけを取り出すと、負債現在高は平均1802万円、負債保有世帯の中央値は1511万円です。持っている世帯に限れば、金額はかなり大きくなります。

そして、貯蓄現在高2059万円から負債現在高675万円を引いた純貯蓄額は「1384万円」となります。2059万円という数字だけを見た印象とは、かなり違ってきます。

4.1 住宅ローン返済世帯の貯蓄は1300万円、負債は2076万円

住宅ローンの有無で分けると、貯蓄と負債の関係がより具体的に見えてきます。ここでは二人以上の世帯のうち勤労者世帯の持家世帯について確認します。

持家世帯(勤労者世帯に占める割合81.9%、世帯主の平均年齢52.0歳)の貯蓄現在高は1813万円、負債現在高は1233万円です。

このうち住宅ローンを返済中の世帯(同41.4%、世帯主の平均年齢47.0歳)は、貯蓄現在高が1300万円に対して負債現在高が2076万円となっています。負債が貯蓄を大きく上回る状態です。

一方、住宅ローンの返済がない世帯(同40.5%、世帯主の平均年齢57.1歳)は、貯蓄現在高が2338万円、負債現在高が371万円です。同じ持家世帯でも、返済中かどうかで姿がまったく異なります。

中本 智恵
銀行員だった頃、預金は預金、投資信託は投資信託、保険は保険と別々にご相談される方が多く、ご自身の資産の全体像をひとまとめで把握している方は少ないという印象がありました。家計調査の貯蓄現在高は、預貯金だけを集めた数字ではありません。平均額と比べる前に、まずご自身の内訳をそろえておくと、同じ数字でも読み方が変わってきます。