4. 放映権料「0円」でも、なぜ甲子園は運営できるのか

プロスポーツの世界では、放映権料がビジネスの中心になっています。

テレビ局や配信事業者が放映権を購入し、その収入がリーグやチームの運営を支える。サッカーの欧州主要リーグやメジャーリーグ、プロ野球などでは、こうしたビジネスモデルが定着しています。

しかし、夏の甲子園は異なります。

NHKは1927年から夏の甲子園をラジオ中継し、テレビでも長年にわたって全国中継を続けています。朝日放送テレビも関西地区を中心に中継を担っています。

主催者がテレビ局から受け取る放映権料は「0円」とされています。その一方で、大会運営を考えるうえで重要な収入源となるのが、現地観戦者から得られる「入場料」です。

2025年には一般料金を引き上げる一方で、子ども料金は据え置き、または一部値下げし、対象も従来の「4歳以上小学生まで」から「4歳から中学生」に拡大しました。

こうした料金改定を見ると、運営コストの増加に対応しながらも、子どもが現地で高校野球を観戦しやすい環境を維持しようとする運営の姿勢がうかがえます。

2026年大会では、さらに料金体系に変更が加えられ 、日程や時間帯に応じてカテゴリーA(8月7日~12日の「午後の部」、8月13日以降)とカテゴリーB(8月5日~6日、7日~12日の「朝の部」)で区分する新たな料金体系が導入されました。

2026年大会の入場料一覧3/3

2026年大会の入場料一覧

出所:日本高等学校野球連盟

大会後半や午後の部と、大会序盤や朝の部で料金が異なる仕組みになっており、例えば、カテゴリーAの中央指定席は4800円ですが、カテゴリーBでは1500円です。

甲子園大会は放映権料を大きな収入源とするプロスポーツとは異なり、テレビやインターネットを通じて幅広く試合を届けながら、入場料などを大会運営の重要な財源とする独自の仕組みが築かれています。

5. スポーツトレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

2026年の夏の甲子園では、ビデオ検証やDH制の導入、女性審判委員の登用、猛暑対策など、さまざまな改革が進みました。しかし、高校野球をめぐる議論は、ここで終わりではありません。

現在、大きなテーマとなっているのが、試合を現在の9イニング制から7イニング制へ変更することです。

日本高野連の検討会議は、2028年の第100回記念選抜高等学校野球大会などから全公式戦で7イニング制を採用することが望ましいとの報告をまとめています。

ただし、現時点で導入は決定しておらず、現場からは賛否両論が出ているため、日本高野連は引き続き説明と議論を進めています。

近年は猛暑が深刻化しており、夏の甲子園でも試合開始時刻の変更や「朝夕2部制」などの対策が進められてきました。7イニング制の議論も、こうした選手の健康や大会の持続可能性を考える流れの延長線上にあります。

次の100年にどのような高校野球を残していくのか。その答えを探す議論は、2026年大会が終わった後も続いていくことになりそうです。

参考資料

大蔵 大輔