50代女性シングル世帯の老後に大きな不安

婚姻関係と夫婦の資産管理のあり方

前回の記事では、フィデリティ退職・投資教育研究所のサラリーマン1万人アンケートの結果から、投資に対する考え方に変化が出始めていることを紹介しました。その詳細を紹介する前に「世帯と資産管理のあり方」に関して、特徴をまとめておきます。

これまでのアンケート結果から、積立投資のすそ野が広がっていることが窺われますが、その背景に婚姻関係の変化や夫婦の資産管理のあり方などが、影響している可能性があります。またNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった個人名義の非課税口座が、夫婦別管理を進めるといった流れも起きている可能性もありそうです。

続きを読む

夫婦の資産管理のあり方に関して今回、初めて設問に加えたことから、まだ変化をみることはできませんが、現状で推測できる点を列挙してみます。

アンケート回答者の過半がシングル世帯

総回答者数1万1,812人のうち「既婚・配偶者あり」と回答した人は5,974人で50.6%でした。年代別にみると、20代から年代が上がるにつれて、「既婚・配偶者あり」の方の比率は高まる傾向にあります。

ただ、50代でもその比率は64.8%にとどまり、3分の1がシングル世帯という結果になっていることにも注意を払う必要があります。特に回答者のなかでは50代の男性のシングル世帯比率は23.8%ですが、女性は55.8%と過半数に達しています。

50代の男女でそのシングル世帯の内訳を分析すると、男性の場合は未婚が86.2%、既婚・離死別が13.8%、女性の場合には未婚が73.8%と既婚・離死別が26.2%と特徴が出ています。

50代女性のシングル世帯の資産管理に懸念材料

一方で、「既婚・配偶者あり」の人の勤労状況と資産管理のあり方をみると、男性回答者の場合、年代に関係なく配偶者も働いている人が6割前後にとどまり、資産を別管理している人は3分の1にとどまっています。女性の回答者では年代に関係なく95%程度と高い比率で共働きをしているのですが、過半数が資産の夫婦一体管理をしている点が特徴となっています。

すなわち、既婚で資産を自分で管理している女性が少ないことが窺われ、その状況で50代になって、離死別によるシングル世帯が多くなっていることは、十分な退職後の生活準備ができていない懸念が残ります。

女性シングル世帯の退職準備不足の懸念が大きな課題のひとつになるなか、NISAやiDeCoといった個人口座は、こうした課題への取り組みにも重要なテーマになりそうです。

サラリーマン1万人アンケートにおける回答者の婚姻、勤労、資産管理のあり方 (単位:人、%)

拡大する

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート、2019年

<<これまでの記事はこちらから>>

フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所 所長 野尻 哲史

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。
野尻 哲史
  • 野尻 哲史
  • フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所
  • 所長

国内外の証券会社調査部を経て、2007年より現職。アンケート調査をもとに個人投資家の資産運用に関するアドバイスや、投資教育に関する行動経済学の観点からの意見を多く発表している。
日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。
著書には、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』、『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書)や『貯蓄ゼロから始める安心投資で安定生活』(明治書院)などがある。
調査分析などは専用のHP、資産運用NAVIを参照