3. 通期上方修正も、コンセンサス未達で急落

決算翌営業日の7日、JX金属株は前日比▲6.18%の3,886円まで急落しました。情報ベンダーのアイフィスジャパンが集計するアナリストのコンセンサス予想(8月20日時点)では、通期の税引前利益2,439億8,600万円・純利益1,661億1,600万円と、いずれも会社予想(税引前利益2,210億円、純利益1,410億円)を上回っており、会社の上方修正はこの水準には届いていませんでした。決算発表当時はAI関連株全体も軟調な地合いにあり、利益確定売りが優勢になったとみられます。

その後も株価は10日から14日にかけて3,700〜3,900円の範囲で一進一退し、17日には+5.68%の4,000円まで戻す一方、19日には▲6.63%の3,561円まで急落するなど方向感を欠く展開が続きました。21日は前日比▲33円(▲0.91%)の3,591円と、小幅に反落しています。

4. バリュエーション評価:急伸後のJX金属株はどんな水準にあるのか

JX金属の株価は5月11日に上場来高値5,828円を記録した後、8月に入ってからは3,500〜4,300円台で荒い値動きを続けています。直近の株価水準をバリュエーション面から確認してみましょう。

4.1 JX金属(5016)の8月21日の株価

  • 3,591円(前日比:▲33円、▲0.91%)
  • 高値3,610円
  • 安値3,513円
  • 売買高1,229万2,100株
  • 時価総額3兆4,085億円

8月21日終値時点で、PER(会社予想、連結)は23.80倍、PBR(実績、連結)は5.32倍、配当利回り(会社予想)は0.56%でした。年初来高値5,828円(5月11日)と比べると、直近の終値3,591円はその6割強の水準です。

もっとも、PBRは5倍超と実績純資産に対してなお高い評価を受けており、急落後も市場がAIサーバー向け半導体材料事業への成長期待を織り込んでいる水準にあるとみられます。

信用取引の状況を見ると、8月14日時点の信用買残は2,124万7,000株(信用倍率29.89倍)と、売り残(71万800株)に比べて大幅に買いが積み上がっています。値上がりを見込んだ短期資金が多く入っていることも、決算後の値動きが荒くなりやすい一因と考えられます。

JX金属の年間チャート1/1

JX金属の年間チャート

出所:各データより筆者作成

5. 記者コメント

JX金属は2025年3月の新規上場以来、AIサーバー・先端半導体向け材料への構造的な需要拡大を背景に、増収増益を続けてきました。

今回の1Q決算・通期上方修正もその流れに沿った内容でしたが、市場の期待値がすでに高い水準にあったことで、好材料が出ても「期待通り」以上でなければ売られるという状況になっているように見えます。

信用買いが積み上がっている点も踏まえると、今後も決算や市況(銅価格・為替)のニュースに対して株価が大きく振れやすい局面が続くとみられます。

投資を検討する際は、直近の急落・急伸に振らされず、AIサーバー関連の需要動向という中長期の事業環境と、その時点でのバリュエーション水準を併せて確認することが必要でしょう。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。

参考資料

 

高原 祥子