お盆の帰省で顔を合わせた際に、実家の親や配偶者と「老後の年金」について話題になったという方もいるのではないでしょうか。

厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円と、男女で5万8554円もの開きがあります。

この差の背景には、専業主婦(夫)等を指す「第3号被保険者」という仕組みや、共働き世帯における家事・育児分担の偏りが関わっています。

本記事では、厚生年金の実際の受給額と第3号被保険者を取り巻く最新の動向を確認したうえで、自分自身の年金を増やすためにできることを整理していきます。

※本記事は一部「【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説」を引用のもと執筆しています。

※本記事は一部「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」を引用のもと執筆しています。

【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説
【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
ココがポイント
  • 厚生年金の平均月額は男性16万9967円、女性11万1413円で、男女の差は5万8554円にのぼる。

  • 第3号被保険者は約641万人。うち女性は628万人で5年連続の減少、背景に共働き世帯の増加がある。

  • 育児・家事の負担は妻が夫の4倍。パート勤務でも週20時間などの基準を満たせば社会保険に加入できる。

1. 厚生年金の平均月額は15万289円、男女差5万8554円―月30万円超はわずか0.1%

厚生年金のリアルな受給額については、LIMOの記事「【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説」から要点を引用して確認しておきましょう。

夫婦2人分の標準的な年金額は月額23万7279円となりますが、実際には1人で月30万円以上を受け取る人もいます。厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円。受給額ごとの受給権者数をみると、月30万円以上を受け取っている人はごく一部にとどまります。

出所:【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?遺族・離婚時のルールも解説

2. 岐路に立つ「第3号被保険者」は約641万人、女性は5年連続減少

国民年金にはいくつかの加入区分があります。その一つである「第3号被保険者」は、厚生年金(公務員などが加入していた旧共済年金を含む)に加入している第2号被保険者の配偶者で、一定の収入条件を満たす人が対象です。

令和6年度末時点では約641万人が該当しています。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をみると、女性の第3号被保険者の人数は5年連続で減少していることがわかります。

第3号被保険者の総数:約641万人

  • 男性:約13万人(+3.1%)
  • 女性:約628万人(▲6.7%)

大きな特徴は、本人が保険料を負担しなくても国民年金に加入扱いとなる点です。これは、厚生年金制度全体でその費用を負担する仕組みになっているため、配偶者個人の保険料が増えるわけではありません。加入手続きは本人ではなく、配偶者の勤務先を通じて行われます。

また、第3号被保険者の多くが女性である背景には、日本の就業構造が影響しています。厚生年金・国民年金の平均受給額にも、その差がはっきりと表れています。

2.1 第1子出産後も53.8%が就業継続、「出産退職」から「継続就業」へ

厚生労働省が公表する「令和7年版厚生労働白書」をみると、第1子出産をめぐる女性の就業変化が見えてきます。

かつては第1子出産を機に離職する「出産退職」が一般的でしたが、2015〜19年のデータでは53.8%が仕事を継続しており、過半数を超えました。

しかし、仕事を辞めずに済んでも、育児との両立のために「パート・派遣」といった非正規雇用を選択するケースが依然として多いのが実情です。これが結果として、将来受け取る厚生年金額の低迷や、第3号被保険者にとどまる要因の一つとなっています。

3. 筆者からのコメント

熊谷 良子

配偶者控除や第3号被保険者制度を背景に、女性の厚生年金受給額が伸びにくい構造は、本文で見た通りです。

このギャップを事後的に是正する仕組みとして知っておきたいのが、離婚時の年金分割です。日本年金機構によると、平成19年4月以降の離婚では、婚姻期間中の厚生年金記録全体を対象に、夫婦の合意または裁判所の決定で按分割合を定める「合意分割」が利用できます。

さらに平成20年4月以降の第3号被保険者期間については、相手の合意なしに2分の1ずつ分割できる「3号分割」という制度もあります。

いずれも請求期限は、離婚等をした日の翌日から原則5年以内(令和8年4月1日より前の離婚は2年以内)です。「専業主婦(夫)だから将来の年金は増やせない」と決めつける前に、婚姻期間中の年金記録がどう扱われるか、年金事務所やねんきんネットで確認しておくとよいでしょう。