夏のボーナスを受け取った方も多いこの時期、少し落ち着いてご自身の家計や将来のお金について考えてみるのに良いタイミングではないでしょうか。
2026年度の公的年金額は、国民年金が前年度比1.9%、厚生年金が同2.0%引き上げられ、6月に支給された分から新しい金額となっています。
しかし、食料品や日用品、光熱費といった物価の上昇が家計を圧迫するなかで、「年金の額面が増えても、それだけで生活していけるのだろうか」という不安の声は少なくありません。
一方で、毎月の給与明細を見て「厚生年金保険料がこんなに引かれているのか」とため息をついた経験がある方もいるのではないでしょうか。
この記事では、「平均年収600万円で40年間」会社員として勤務したケースをモデルに、将来受け取れる年金額を具体的に試算します。
あわせて、税金などが天引きされた後の「手取り額」の実態や、老後の備えだけにとどまらない厚生年金の見落とされがちな機能――うつ病などで働けなくなったときや、万が一のときに家計を支える「障害厚生年金」「遺族厚生年金」――についても解説していきます。
年金額などのデータはこちらの記事から引用しています。
1. この記事の3つのポイント
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平均年収600万円で40年勤務した場合、受け取る年金額の目安は月額約18万円です。 -
実際の厚生年金受給額には大きな男女差があり、平均受給月額は男性が約17万円である一方、女性は約11万円にとどまります。 -
厚生年金には老齢給付だけでなく、うつ病などで働けなくなったときの「障害厚生年金」や、万が一のときに家族の生活を支える「遺族厚生年金」といった、現役世代を守る保障機能も備わっています。
2. 日本の公的年金制度とは?「2階建て構造」の基本を解説
はじめに、年金の基本的な仕組みについて確認しておきましょう。日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類で構成される「2階建て構造」になっています。
1階部分が国民年金(基礎年金)で、2階部分が厚生年金です。
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人が加入対象で、加入者は3つの区分に分けられます。
2.1 国民年金(1階部分)の概要
- 加入対象:原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人
- 保険料:国民年金保険料は所得にかかわらず一律ですが、年度ごとに見直されます(2026年度は月額1万7920円)
- 受給額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額を受け取ることができます(2026年度は月額7万608円)
- 国民年金の加入者は第1号から第3号までの被保険者に区分され、このうち第2号被保険者が次に説明する厚生年金にも加入します。
厚生年金の保険料を納めている場合、国民年金保険料を個別に支払う必要はありません。
同様に、第3号被保険者についても、個人で保険料を納める義務はありません。
引用:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
2.2 厚生年金(2階部分)の概要
- 加入対象:会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所(※1)に勤務し、一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入
- 保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変動します。ただし、保険料計算の基となる収入には上限が設けられています(※2)
- 受給額:加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます
※1 特定事業所:1年のうち6カ月以上、適用事業所における厚生年金保険の被保険者(短時間労働者を除く、共済組合員を含む)の総数が51人以上となる見込みの企業などを指します。
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)と標準賞与額(上限150万円)に保険料率を乗じて算出されます。
引用:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
3. 会社員の平均年収はいくら?国税庁の調査結果
国税庁が公表した「令和6年分 民間給与実態統計調査」によれば、1年間勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。
平均年収は400万円台の後半ですが、この数値だけでは年代や性別による収入差の実態はわかりません。
3.1 【年代・男女別】平均年収のリアルな実態
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」を基に、年代別の平均年収を確認していきましょう。
全体の傾向として、20歳代前半(20~24歳)の平均年収は約277万円で、年齢が上がるにつれて増加していきます。
男女別で比較すると収入には大きな開きがあり、特に40歳代から50歳代にかけてその差は拡大する傾向にあります。
年収のピークとなる55~59歳では、男性が約734万円、女性が約356万円と、その差は370万円以上に達します。
女性の場合、結婚や出産、育児、家族の介護などを機に働き方を見直すことがあり、非正規雇用へ切り替えるといった選択も、このような収入差の一因と考えられます。
一般的にいわれる平均年収478万円という金額は、こうした年代や性別の違いをすべて含んだ全体の平均値なのです。
4. 【年収600万円】40年勤務した場合の年金額をシミュレーション
将来受け取る年金の額は、現役時代の収入や厚生年金に加入していた期間によって変動します。
先ほどのデータを見ると、年収600万円は40歳代から50歳代男性の平均年収(約629万円~約708万円)に近い水準で、多くの方がイメージしやすい金額といえそうです。
ここでは、生涯の平均年収が600万円で、第2号被保険者(会社員)として民間企業に40年間勤めたと仮定し、国民年金と厚生年金の受給額の目安を計算します。
※ご注意:ここでの「年収600万円」は現在の年収ではなく、新入社員から退職までの40年間の「生涯平均」です。20代の頃の比較的低い給与も含めて生涯平均600万円(月額50万円)を維持するには、40歳代〜50歳代の収入ピーク時には年収800万円〜1000万円近く稼いでいるような、かなりの高水準な収入モデルとなります。
4.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額シミュレーション
国民年金(老齢基礎年金)は、以下の計算式で算出できます。
84万7296円 ×(保険料納付済み月数 ÷ 加入可能月数)
※2026年度の金額。昭和31年4月2日以降に生まれた方が対象です。
40年間(480カ月)にわたって保険料を全額納付した場合、老齢基礎年金は満額である年額84万7296円を受け取れます。
次に、厚生年金の金額を計算します。
4.2 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額シミュレーション
厚生年金(老齢厚生年金)は、以下の計算式で算出されます。
- 年金額 = 報酬比例部分(※) + 経過的加算 + 加給年金額
※報酬比例部分が中心となります。
今回のシミュレーションでは、厚生年金額の基本となる報酬比例部分のみを計算対象とし、経過的加算と加給年金額は含んでいません。
経過的加算とは制度改正による差額を調整するもので、加給年金額は条件を満たす配偶者や子がいる場合に加算される年金です。
報酬比例部分は、以下の2つの式で構成されます。
報酬比例部分 = A + B
- A(2003年3月までの加入期間):平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 同期間の加入月数
- B(2003年4月以降の加入期間):平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 同期間の加入月数
今回は2003年4月以降に40年間加入したと仮定するため、Bの計算式を用います。
平均年収600万円のケースでは、平均標準報酬額は月額50万円となります。
この条件で「50万円 × 5.481/1000 × 480カ月」と計算すると、報酬比例部分は年額131万5440円です。
これに、先ほど計算した国民年金の年額84万7296円を足すと、年間の総受給額は216万2736円になります。
この金額を12カ月で割ると月額18万228円となり、このモデルケースにおける会社員1人あたりの年金受給額は、およそ月18万円と試算できます。
5. 厚生年金の平均受給額はいくら?男女差も確認
先ほどはモデルケースで年金額を試算しましたが、実際のシニア世代はどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の平均受給月額は次のようになっています(国民年金部分を含む)。
5.1 厚生年金保険(第1号)の平均受給月額(国民年金を含む)
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
男性の平均が約17万円である一方、女性は約11万円となっており、男女間で約6万円の差があることがわかります。
先ほど試算した「年収600万円で40年勤務」のモデルケース(月額約18万円)は、男性の平均値と近いですが、全体の平均よりはやや高い水準です。





