現在は身体のかたち、法律上の性、日常生活上の性、いずれも男性です。手術の後遺症のため排尿障害など多少の不便はありますが、表面上、女性でいた頃よりはのんびりと生活できています。

女性として成長して、男性として生活して。筆者はその両方を経験しています。また同時に同性愛者であり、精神障害者福祉手帳を持つ者であり、実父からの虐待を生き延びた者でもあります。

その上に、オタクだったりスキンヘッドだったりガラケーユーザーだったり、社会においてマイノリティ(少数派)とされる要素をいくつも重ね持っている、いわばマイノリティ中のマイノリティです。

和歌山市で生まれ育ったマイノリティ中のマイノリティですので、和歌山市のマイノリティが自分たちの存在をアピールし、「あらゆる人」を尊重し、多様性を祝うというイベントには強い興味がありますし、マイノリティのことを多くの人に知ってほしいという気持ちが常にあります。

レインボーフェスタ和歌山のことやイベントの様子をお伝えすることで、みなさんにマイノリティについて考えてみるきっかけとしていただきたく思い、本稿に着手しました。

マイノリティは特別な人ですか?

「性的マイノリティは特殊な人たちで、テレビの中の人。実際には会ったことがないし、身近にはいない」。このように考えている人が意外に大勢おられるようです。結論から申し上げますと、そんなことはありません。みなさんはおそらく地元の街でも性的マイノリティとされる人とすれ違ったりしています。