筆者が住む和歌山市では、毎年9月に「レインボーフェスタ和歌山」というイベントが行われています。今年2019年で3回目。来場者は年々増加し、市民にも少しずつ定着しつつあるようです。
今年は9月14日・15日の2日間、開催されました。本稿では前後編の2回に分けて、レインボーフェスタ和歌山というイベントの様子と、その主題となるマイノリティについてのお話をします。
レインボーフェスタ和歌山ってどんなイベント?
「レインボー」の意味
レインボーフェスタの「レインボー」とは言わずもがな、空にかかる「虹」のことなのですが、日本では7色とされている虹は多様性、ことに「性の多様性」のシンボルとされています。
いくつもの色が同じ場所にありながら、混じり合うのではなくそれぞれが独立していて、けれどもきっぱり7つ色に分かれているわけではありません。虹は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色が並んでいますが各々の色と色との間に境界線はなく、赤色と橙色の中間の色や、黄色と緑色の中間の色も虹の中にはあって、そのさまはグラデーションです。それが虹の色のあり方であり、性のあり方に通じています。
たとえば、男性と女性。これら2つの性の間に「ここまでは男性、ここからは女性」と言ったはっきりとした境界線があるわけではありません。女性の要素を多く持つ男性もいれば、男性のような気質の女性もいます。男女どちらとは言いがたい性質の人もいます。2つの性の間もやはり、虹の色と同じくグラデーションのように少しずつ変化していくものです。
2つの性だけではありません。たとえば異性愛と同性愛というセクシュアリティも、「ここまでが異性愛、ここからは同性愛」という区切りはありません。異性が好きだけど同性が絶対だめでもないという人や、同性愛者だけど異性とのお付き合いも可能という人もいます。異性も同性も愛さない人もいれば、異性も同性も愛せるという人もいます。それらの間もやはりグラデーションです。
このように性・セクシュアリティとは、異質なものが隣り合って混じり合うことがなく、けれども喧嘩し合うこともない虹の色のようであり、虹・レインボーは多様性を表すものとして用いられています。
レインボーフェスタ和歌山はレインボーを掲げることで性の多様性はもちろんのこと、あらゆる立場の人が同時に存在するという多様性を尊重し、祝うお祭りとして開催されています。
「性的マイノリティ」はどんな人たち?
さて、ここではさまざまなマイノリティのうち、「レインボー」を掲げるイベントが概ね中心として捉えている「性的マイノリティ」についてのお話を、ごくごくかんたんにしてみます。細かい点で正確ではない部分もありますが、まずは概略、「だいたいのかたち」をおわかりいただければと思います。