次の年金支給日は10月15日。2026年の年金支給日は残り2回です。年金は2カ月に一度ですから、値上げも続く今、年金をどう使うかは重要になります。
ただし、老後の年金受給額は個人差が大きいもの。たとえば厚生年金の平均月額は、男性が16万9967円で女性が11万1413円。その差は月5万8000円ほどで、1年に直すと70万円を超えます。同じ制度に加入してきたはずなのに、なぜここまで開くのでしょうか。
この記事では厚生年金と国民年金それぞれの男女差を確かめたうえで、その差がどこから生まれるのかを働き方別の金額でたどります。あわせて、老後資金を貯める方がよく悩まれる内容や老後資金との向き合い方についても解説します。
なお、年金の1階と2階のしくみ、働き方ごとの受取額と男女の差については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
- 厚生年金の平均月額は男性16万9967円・女性11万1413円で、差は月5万8000円ほど
- 国民年金は男性6万1595円・女性5万7582円で、差は約4000円。開きは2階部分に集まっている
- 誕生月に現況届が届く人がいる。期限までに出さないと年金の支払いが一時止まる
1. 公的年金の基本構造。差がつくのは2階部分
金額の話に入る前に、どこで差がつく制度なのかを押さえておきます。
公的年金制度は、しばしば「2階建て構造」に例えられます。これは、日本の年金制度が「1階」の国民年金(基礎年金)と、「2階」の厚生年金という2つの制度で構成されているためです。1階部分の国民年金は、原則として日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が加入対象で、保険料は所得にかかわらず一律(2026年度は月額1万7920円)。保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、満額(2026年度は月額7万608円)を受け取ることができます。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員のほか、パートタイマーなどで特定適用事業所に勤務し一定の要件を満たす人が国民年金に上乗せして加入します。保険料は収入に応じて変動し、受給額は加入していた期間や納付した保険料額によって個人差が生じます。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
1階の国民年金は、保険料が所得にかかわらず一律で、40年すべて納めれば満額。つまり納めた月数だけで決まり、収入の多い少ないは関係しません。これに対して2階の厚生年金は、保険料も受給額も収入と加入期間で動きます。ここが分かれ目です。大きな差がつくのは2階部分。この構造を頭に入れておくと、このあとの数字の見え方が変わります。
2. 国民年金は1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引き上げに
いま受け取っている人の平均的な金額の基準も確認しておきましょう。
2026年度の年金額は、国民年金が前年度比1.9%増、厚生年金(報酬比例部分)が同2.0%増の増額改定となりました。国民年金(満額・1人分)は月額7万608円、厚生年金(モデル夫婦世帯・2人分)は月額23万7279円です。ただし「ねんきん定期便」などに記載された金額は税金や社会保険料が引かれる前の「額面」であるため、実際の手取り額はこれより少なくなります。
出所:【2026年最新】60歳~89歳の年金一覧表!年代別の平均受給額と「手取り・非課税世帯」のリアル!年金口座の「凍結リスク」とは?
国民年金は満額で月7万608円。40年間きちんと納めた人でこの金額です。厚生年金のモデル世帯は夫婦2人分で23万7279円ですが、これは男性が平均的な収入で40年働いた場合を前提にした例で、誰にでも当てはまるものではありません。
3. 厚生年金の男女差は月5万8554円、年間では70万円を超える
では具体的な金額も見ていきましょう。まず2階部分の厚生年金です。全年齢の受給権者の平均を男女別に見ます。
〈男性〉平均年金月額:16万9967円
〈女性〉平均年金月額:11万1413円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
男性16万9967円に対して女性11万1413円。差は月5万8554円で、12カ月分では70万2648円になります。老後が20年続くとすれば、総額で1400万円ほどの開きです。
ここで誤解したくないのは、厚生年金は現役時代の報酬と加入期間で決まる仕組みなので、出産や育児で働き方を変えた期間、扶養に入っていた期間が、そのまま金額の差として残るということです。制度の計算式が、働き方の歴史をそのまま映しているだけです。
4. 国民年金の男女差は約4000円にとどまる
では1階部分はどうでしょうか。同じように男女で比べます。
〈男性〉平均年金月額:6万1595円
〈女性〉平均年金月額:5万7582円
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
男性6万1595円、女性5万7582円で、差は4013円。厚生年金の5万8554円と並べると差が少ないです。1階は納めた月数等だけで決まるので、収入の差が入り込む余地がないからです。この2つを並べると、老後の男女差がどこから生まれているかがはっきりします。差は2階、つまり厚生年金にいた期間と、そのときに収めた保険料に集まっている。ではその期間の違いが、実際にどれくらいの金額差になるのかを見てみます。
5. 厚生年金に39.8年加入した人と6.7年の人で、月10万円近く変わる
厚生労働省は年金額の改定にあわせて、65歳を迎える人の加入履歴を5つの類型に分け、それぞれの年金額の例を示しています。そのうち厚生年金に39.8年加入した人と6.7年の人の2つの例を見比べてみましょう。
1つ目は、厚生年金の期間が中心だった男性のケースです。月額は17万6793円になります。
平均厚生年金期間:39.8年
平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
基礎年金:6万9951円
厚生年金:10万6842円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
厚生年金期間が39.8年、平均収入は月50万9000円。基礎年金6万9951円に厚生年金10万6842円が上乗せされて、この金額になります。次に、扶養に入っていた期間が中心だった女性のケースです。月額は7万8249円です。
平均厚生年金期間:6.7年
平均収入:26万3000円
基礎年金:6万9016円
厚生年金:9234円
出所:【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
厚生年金期間は6.7年、平均収入は26万3000円。基礎年金6万9016円に対して、上乗せの厚生年金は9234円です。1階部分はどちらもほぼ7万円で並んでいるが、2階が10万6842円と9234円。ここに9万7608円の差がついています。先ほどの男女差5万8554円の正体は、この2階の積み上がり方の違いです。つまり、いま働き方を選ぶということは、将来の2階部分の厚さを選んでいるということでもあります。
ここまで、厚生年金と国民年金それぞれの男女差と、その差がどこから生まれるのかを見てきました。1階はほぼ横並びで、2階だけが大きく開いている。数字を並べると、原因のありかがはっきりします。
ここまでは、これから受け取る金額の話でした。すでに受け取っている方には、毎年決まった時期にやることがあります。
次の章で、誕生月に届く書類と、出さなかったときに何が起きるのかを確認しておきましょう。

