営業利益率の底上げが続いた5期

単年の増益率だけでなく、利益率の推移で同社を見ると、稼ぐ力の質がより鮮明になる。

営業利益率は2022年3月期の36%台から、2024年3月期39%台、2025年3月期および2026年3月期は42%台へと切り上がってきた。会社によれば、通期の出荷額・売上高は6期連続で過去最高を更新している。装置需要には循環があるにもかかわらず、利益率のレンジそのものが一段高い場所へ移ってきた。

その底流にあるのが、消耗品ツールの存在だ。装置が現場で稼働し続ける限り、切削や研削に使うツールは減っていく。この買い替え需要が、装置単体の受注変動を和らげる緩衝材として働く。高付加価値の先端半導体向けほど加工難度が高く、ツールの採算にも寄与しやすい。利益率の底上げは、この構造の反映と読み取れる。

投資拡大局面のキャッシュと財務

好調な利益の裏で、キャッシュの使い方は攻めに転じている。2026年3月期の営業キャッシュフローは1,335億円だったが、投資キャッシュフローは1,357億円の支出となり、営業で稼いだ現金をほぼ使い切る規模の投資に踏み込んだ。生産能力の増強局面にあることがうかがえる。

財務は厚い。自己資本比率は78.9%と、実質無借金に近い構えだ。安全性という点では申し分ない。もっとも、負債をほとんど使わない財務が資本効率の観点で最適かどうかは、また別の論点だ。潤沢な自己資本を投資と還元にどう配分していくかが、ROEの高さを保つうえでの鍵になる。連続増配の実績もあるが、配当性向は利益連動で動くため、還元の一貫性は利益の水準そのものに支えられている。

筆者コメント

ディスコを見るとき、多くの目は装置の受注動向に向かう。生成AI向けの投資が続くのか、次の谷はいつ来るのか、という問いだ。もちろんそれは重要だが、それだけを追うと同社の本質を半分しか捉えられない。

過去5期の利益率の切り上がりと、6期連続の過去最高という並びを重ねると、見えてくるのは「波はあるが、波打つ水面そのものが上がってきた」という姿だ。装置の循環に消耗品の底堅さが加わることで、谷の深さが以前より浅くなっている可能性がある。

一方で、株価はPBR12倍という高い期待を織り込んでいる。良い決算でも急落しうるのは、その期待の重さの裏返しだ。足元の数字が期待に追いつくのか、それとも期待が先行しすぎているのか。四半期ごとの利益率と、投資が生む将来の稼ぐ力を突き合わせて見ていく姿勢をおすすめしたい。装置の受注ニュースだけでなく、消耗品を含めた利益の質に目を向けることが、この銘柄では特に有効だと考える。

参考資料

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石津 大希