【元銀行員の視点】「年金生活者支援給付金」の所得判定に入る収入・入らない収入

所得の合計額を計算するとき、何が含まれて何が含まれないのかは分かりにくいところです。ここからは「年金生活者支援給付金」の所得判定に入る収入・入らない収入を見ていきましょう。

遺族年金や障害年金は所得の判定に含まれない

厚生労働省の案内では、障害年金や遺族年金などの非課税収入は所得の判定に含まれないとされています。

遺族年金を受け取っているため対象外だと考えていた人が、計算し直すと要件を満たしていたという例もあります。まずは何が判定に入るのかを確かめるところから始めましょう。

上場株式の配当や譲渡益は、申告するかどうかで扱いが変わる

特定口座で源泉徴収されている上場株式の配当や譲渡益は、確定申告をしなければ合計所得金額には含まれません。一方で確定申告をすると合計所得金額に含まれ、住民税の課税・非課税の判定にも影響することがあります。

令和6年度の課税分から、上場株式等の配当所得等と譲渡所得等について、所得税と住民税で異なる課税方式を選べなくなりました。所得税で申告すれば、住民税でも申告したことになります。

NISA口座のなかで受け取る配当や売却益は非課税で、確定申告も不要です。そのため所得の判定には影響しません。

還付を受けるために確定申告をした結果、世帯の課税状況が変わって給付金の対象から外れることもあります。判断に迷う場合は、税務署や年金事務所に確かめてから手続きを進めてください。

【確認のしかた】「年金生活者支援給付金」の対象かどうかを確かめる3つの手順

請求書が届いていなくても、要件を満たしているかどうかは自分で確かめられます。順番に見ていきましょう。

世帯全員の市町村民税の課税状況を確かめる

老齢年金生活者支援給付金は、請求する人本人の所得だけでなく、その人の世帯全員の市町村民税が非課税であることも要件です。同居する子や配偶者に課税があれば、本人の年金額が少なくても対象になりません。

世帯の課税状況は、市区町村の窓口で確かめられます。

前年の年金収入とその他の所得を足してみる

前年の公的年金等の収入金額と、その他の所得を合計します。この金額を80万9000円と90万9000円の2つのラインと見比べてください。

ねんきん定期便やねんきんネットで納付済期間を確かめる

給付額は保険料納付済期間と保険料免除期間で決まります。自分の記録は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめられます。

480月に近いほど月額基準額に近づきますが、未納期間があるとその分だけ少なくなります。

【落とし穴】「年金生活者支援給付金」で知っておきたい注意点

受け取れるようになった後にも、気をつけておきたい点がいくつかあります。

世帯の状況が変わると対象から外れることがある

継続の手続きは原則不要ですが、要件を満たさなくなれば支給は止まります。子が同居を始めて、その子に課税がある場合などが当てはまります。

逆に、世帯の状況が変わって新たに要件を満たすこともあります。その場合は、あらためて請求書が届きます。

手続きが遅れると、その分だけ受け取りも遅くなる

給付金は原則として、請求した月の翌月分から支給されます。受給権を得た日から3か月以内に手続きをすれば、受給権を得た日に請求したものとみなされて遡って支給されます。

支払いは偶数月の中旬に、2か月分がまとめて振り込まれます。

年金生活者支援給付金の請求手続きの流れは、こちらの記事でくわしく解説しています。

「年金生活者支援給付金」の判断に迷ったら年金事務所へ

最新の月報では、年金生活者支援給付金の認定が772万2077件、給付金の総額が月344億400万円と公表されました。老齢年金生活者支援給付金の平均は月4249円で、所得の目安を超えた人向けの補足的老齢年金生活者支援給付金も103万4931件が認定されています。

金額そのものは大きくありませんが、2か月ごとに年金とは別に振り込まれる収入です。まずは自分と世帯の現状を正しく知ることが、家計を組み立てる出発点になります。

一方で、確定申告の仕方によっては世帯の課税状況が変わり、対象から外れることもあります。自分のケースでどうなるかは、年金事務所や市区町村の窓口、税務署に相談して確かめてください。

参考資料

中本 智恵