要件を満たす老齢基礎年金受給者には「年金生活者支援給付金」が支給される
ここまで見てきたように、公的年金の受給額には大きな個人差があります。特に国民年金のみを受給している方や、厚生年金の受給額が少ない方の中には、年金だけでは生活費に届かないと感じる方も少なくありません。
そうした方のための制度が「年金生活者支援給付金」です。要件を満たす老齢基礎年金の受給者には、年金に上乗せして給付金が支給されます。
支給要件
老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、次の要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
一方、すでに老齢基礎年金を受給している方が、退職や収入の変化などによって新たに要件を満たすようになった場合は、毎年9月頃に日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が送られてきます。届いたら記入して返送するだけで手続きが完了するので、対象になったタイミングによって届くルートが違うという点を覚えておくとよいでしょう。
給付額(基準額)
年金生活者支援給付金の給付額は毎年度見直され、2026年度(令和8年度)は前年度から3.2%引き上げられています。
- 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
老齢年金生活者支援給付金は、この基準額をもとに、保険料の納付済期間などを反映して実際の給付額が決まります。
参考:老齢年金生活者支援給付金 保険料納付状況別の給付額目安表
老後の年金は雑所得、年間いくらから所得税がかかるのか
公的年金は、国民年金と厚生年金からなる「2階建て」の仕組みで成り立っており、加入する制度や現役時代の働き方によって、将来受け取る金額には大きな差が生まれます。
実際の受給額を見ても、厚生年金は月1万円未満から30万円以上まで幅広く分布しており、「平均」だけでは自分の将来像をつかみにくいのが実情です。
年金だけで生活費が心もとないと感じる方には、要件を満たせば老齢基礎年金に上乗せして「年金生活者支援給付金」を受け取れる仕組みも用意されています。ご自身が対象になり得るか、まずは基準額や要件を確認してみましょう。
なお、年金にも税金がかかることも忘れてはいけません。
公的年金は雑所得として所得税・住民税の対象になりますが、65歳以上で年間の年金収入が205万円未満(65歳未満は155万円未満)であれば所得税はかかりません。また、年金収入が400万円以下かつ他の所得が20万円以下であれば、確定申告が不要になる「確定申告不要制度」もあります(源泉徴収された税金の還付を受けたい場合は、確定申告をすることも可能です)。
公的年金の仕組みと受給額の実態、そして関連する制度や税金の知識まで押さえておくことが、老後の安心につながります。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
和田 直子


