2026年度の年金は、前年度から1.9%(厚生年金は2.0%)の増加となっています。8月14日には今年4回目の年金支給が実施されたばかりです。物価高の影響から、増額を実感できている人は少ないのではないでしょうか。

年金受給額とあわせて、所得の少ない世帯に支給される「年金生活者支援給付金」も増額されています。新たに対象となる人には、毎年9月ごろに日本年金機構から請求書が送付されます。

年金生活者支援給付金はどういった人が対象で、いくら受け取れるのでしょうか。この記事では、年金生活者支援給付金の概要や受給額などを解説します。

石上ユウキ
市役所の税務部署で市民税の証明書発行や国民健康保険の窓口業務を担当していた経験から言えるのは、「住民税が課税か非課税か」という一点が、受け取れる支援の範囲を大きく分けるということです。年金生活者支援給付金もその代表例で、世帯の課税状況と前年の収入額という2つの条件で対象かどうかが決まります。そして請求書が届いても手続きをしなければ支給は始まりません。まずは、自分や家族が対象になりうるかを判断できる知識を押さえておきましょう。

なお、年金生活者支援給付金の給付基準額と老齢年金生活者支援給付金の支給要件に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【増額が決定!】2026年4月分からの「年金生活者支援給付金」給付基準額はいくらに?《支給対象になる人》や手続き方法を解説
【増額が決定!】2026年4月分からの「年金生活者支援給付金」給付基準額はいくらに?《支給対象になる人》や手続き方法を解説 《老齢・障害・遺族》年金受給者がプラスでもらえる給付金とは?
年金に上乗せでもらえる「年金生活者支援給付金」とは?対象者・給付額・申請方法を解説
年金に上乗せでもらえる「年金生活者支援給付金」とは?対象者・給付額・申請方法を解説 緑色・薄緑色・薄橙色の封筒が届いたら確認
ココがポイント
  • 2026年度の年金生活者支援給付金は前年度比+3.2%の引き上げで、老齢は月5620円が基準額
  • 対象は「65歳以上で老齢基礎年金を受給」「世帯全員が市町村民税非課税」「前年の年金収入等が80万9000円以下」の3条件を満たす人
  • 給付額は保険料納付済期間に比例し、20年納付なら月2810円、40年納付でようやく基準額の月5620円

1. 年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金とは、公的年金などの収入やその他所得が一定額を下回る年金受給者に対して支給される給付金です。給付金には、以下の3種類があります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

老齢年金生活者支援給付金のみ、低所得ながら対象とならない人のために「補足的老齢年金生活者支援給付金」が用意されています。

給付額は、物価の変動に応じて毎年度改定されます。2026年度は、前年の物価変動率が3.2%だったことから、給付基準額も同じ幅で引き上げられました。

2026年度の「年金生活者支援給付金」は、前年度比で+3.2%の引き上げが決定しました。

  • 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級 7025円・2級 5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

基本的に基準額がそのまま給付額となりますが、老齢年金生活者支援給付金については、月5620円を基準に、国民年金保険料の納付済期間や免除期間などを踏まえて受給額を計算します。

次章では、老齢年金生活者支援給付金の受給要件を確かめます。

2. 老齢年金生活者支援給付金を受け取れるのはどんな人?

年金生活者支援給付金のなかでも、多くの人が受給する可能性があるのが「老齢年金生活者支援給付金」です。老齢年金生活者支援給付金の受給要件を確かめてみましょう。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件1/4

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとに筆者作成

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金は、次の3つの条件をすべて満たす場合に対象となります。このうち1つ目と2つ目については、年金生活者支援給付金の対象者・給付額・申請方法をまとめた記事で次のように整理されています。

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税である

3つ目は前年の収入に関する条件です。日本年金機構によると、前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以後生まれの人は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下(※2)であることが要件となっています。

※1 障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く。
※2 昭和31年4月2日以後生まれで80万9000円を超え90万9000円以下の人、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される。

老齢基礎年金を受給している住民税非課税世帯で、年金収入等が80万9000円または80万6700円以下の場合に、支給対象となります。老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金を受給している人でも、上記の要件を満たせば給付金を受け取れます。

石上ユウキ
3つの要件のうち、いちばんつまずきやすいのが2つ目の「同じ世帯の全員が市町村民税非課税」だと考えています。判定されるのは本人の課税状況ではなく、住民票上の世帯全員の課税状況です。市民税の証明書発行を担当していた立場から見ても、ご本人の年金収入は要件内でも、同居している子や配偶者に課税があるために対象外となるケースは十分にあり得ます。まずはご自身の世帯構成と、世帯員それぞれの課税・非課税を確認してみてください。非課税世帯に該当する収入の目安を知りたい方は、住民税非課税世帯の給与・年金の収入基準をまとめた記事もあわせて参考になります。

次章では、年金生活者支援給付金の給付額を保険料の納付期間ごとに計算します。

3. 【給付額】保険料納付期間ごとに試算

2026年度の老齢年金生活者支援給付金の支給額は、基準額である月5620円に、国民年金保険料の納付済期間の割合を掛けて算出します。

  • 5620円×保険料納付済期間÷480月

では、保険料の納付期間で給付額はどれくらい変わるのでしょうか。免除期間がない場合を例に、保険料納付済期間ごとの給付額を見てみましょう。

保険料納付済期間ごとの給付額2/4

保険料納付済期間ごとの給付額

出所:筆者作成

10年(120月)

  • 月額:1405円
  • 年額:1万6860円

20年(240月)

  • 月額:2810円
  • 年額:3万3720円

30年(360月)

  • 月額:4215円
  • 年額:5万580円

40年(480月)

  • 月額:5620円
  • 年額:6万7440円

40年間すべて国民年金保険料を納付して、ようやく基準額の金額を受け取れます。納付済期間が20年の場合、給付額は基準額の半分である2810円です。

なお、実際の給付額は、保険料免除期間も考慮して計算します。免除期間分については「基準額×保険料免除期間÷480月」で算出した金額が上乗せされますが、この基準額は生年月日や免除の種類によって異なります。

  • 昭和31年4月2日以後生まれ:全額免除・4分の3免除・半額免除の期間は月1万1768円、4分の1免除の期間は月5884円
  • 昭和31年4月1日以前生まれ:全額免除・4分の3免除・半額免除の期間は月1万1734円、4分の1免除の期間は月5867円

正確な給付額を知りたい場合は、日本年金機構から届く請求書などを確かめましょう。

石上ユウキ
この計算式で押さえておきたいのは、免除期間分の基準額(月1万1768円)が納付済期間分の基準額(月5620円)より大きく設定されている点です。保険料を納められなかった時期があっても、免除の手続きをきちんと踏んでいれば給付金の計算に反映されます。逆に、手続きをせず未納のまま放置した期間は、この式のどちらにも入りません。市役所で国民健康保険の窓口業務に携わっていた経験からも、保険料を払えない時期に「とりあえず放置」を選んでしまう方は少なくないと感じています。払えないときこそ、免除や納付猶予の申請をしておくことが後々の差になります。

次章では、年金生活者支援給付金の申請方法を解説します。