5. 65歳以上、リタイア夫婦世帯の家計簿→標準世帯の年金生活は「ひと月4万円の赤字に」

月20万円以上の年金を受給している人が少数派である一方で、実際の高齢者世帯の生活には、一体いくらくらいのお金が必要なのでしょうか。

総務省統計局が公表した「家計調査報告(家計収支編)2025年」から、65歳以上で無職の二人以上世帯における平均的な家計収支の実態を見てみましょう。

65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の家計収支4/4

65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の家計収支

出所:総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」

  • 実収入(月平均): 25万4395円(その大半を年金などの社会保障給付が占める)
  • 実支出(月平均): 29万6829円(消費支出と税金などの非消費支出の合計)

月々の収入と支出を差し引くと、毎月およそ4万2000円が不足している計算になります。

年間に換算すると約50万円を貯蓄などから補填する必要があり、もしこの状況が30年続いた場合、単純計算で1500万円以上の資産を取り崩していくことになります。

シニア世帯の家計収支についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。

【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説

6. まとめにかえて

厳しい物価高が続くなか、かつての「老後の生活設計」は見直しを迫られています。

今回の統計データが示すように、公的年金だけで日々の暮らしをすべて賄うのは、大多数の受給者にとって決して容易ではありません。

だからこそ、まずは「ねんきん定期便」などを活用し、自分たちの年金水準と生活費の実態を正しく把握することから始めましょう。

そのうえで、預貯金やNISAなどの計画的な資産形成、あるいは無理のない範囲での就労継続など、自分に合った「家計防衛」を早めに考えていくことが、将来の安心を切り拓く確かな第一歩となります。

7. 監修者からのコメント

熊谷 良子

公的年金制度の仕組みや家計の現状を把握した上で重要となるのは、「知る」ことから「行動する」ことへのシフトです。

家計の赤字を補うためには、現役時代からの資産形成だけでなく、リタイア後も長く働き続ける選択肢や、保有資産を有効活用する視点が不可欠になります。

変化の激しい経済環境をしなやかに乗り切るために、早めの段階からライフプラン全体を見直し、柔軟な備えを整えていけたら良いですね。

参考資料

池上 翠