厳しい残暑が続く今日このごろ、食料品や光熱費など、身の回りのあらゆるものの値上げが家計に重くのしかかっています。
来る8月14日(15日が土曜日のため前倒し)は年金の支給日ですが、物価高騰の影響で「支給された年金もすぐに消えてしまう」と感じているシニア世代の方も多いのではないでしょうか。
老後生活の安心の一つの目安として「年金だけで月20万円」という話をしばしば聞きますが、実際にそれだけの金額を受け取っている人はどのくらいいるのでしょうか。
この記事では、厚生労働省の公表データを基に、公的年金のリアルな受給額を明らかにするとともに、これからの時代に求められる家計防衛のヒントを探ります。
この記事の年金額データなどの数値は、以下の記事を引用しています。
1. この記事の3つのポイント
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厚生年金の平均受給額の実態:厚生年金の平均は月約15万円であり、月20万円以上を受け取っている人は約1.8割にとどまる。 -
年金額に差が生まれる「2階建て」の仕組み:1階の国民年金と2階の厚生年金の構造や、現役時代の収入・加入期間がもたらす影響を解説。 -
シニア世帯のリアルな家計収支:総務省のデータから、無職の二人以上世帯では毎月約4万2000円の赤字が発生している現実を確認。
2. 厚生年金「月20万円超の人」は少数派?
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、現在の高齢者世代が受け取っている公的年金の平均額を見ていきましょう。
2.1 国民年金の平均月額は約5万9000円
- 全体の平均月額:5万9310円
- 男性の平均月額:6万1595円
- 女性の平均月額:5万7582円
2026年度における老齢基礎年金の満額は月額7万608円と定められていますが、実際の平均受給額はこれを下回っているのが現状です。
このことから、国民年金のみの受給で月20万円(年額240万円)の収入を確保するのは、きわめて困難であるといえます。
2.2 厚生年金の平均月額は約15万円(国民年金部分を含む)
- 全体の平均月額:15万289円
- 男性の平均月額:16万9967円
- 女性の平均月額:11万1413円
※この金額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。データは会社員などが対象の第1号厚生年金被保険者のものです。
【受給額ごとの受給権者数】
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金は、現役で働いていた頃の収入額や制度への加入期間に応じて年金額が変動しますが、平均すると約15万円という結果になっています。
受給額別の分布データに目を向けると、月額9万円から13万円未満の範囲に受給者が集中している傾向が見られます。
その一方で、厚生年金の受給者のうち月額20万円以上の年金を受け取っているのは、全体の18.8%に過ぎません。
これは、裏を返せば約8割の方が月20万円未満の受給額であることを意味します。国民年金のみを受給している人を含めると、この割合はさらに高くなると考えられます。
3. みんなの年金額に差がつくのはなぜ【年金制度の基本】
受給者ごとに年金額が大きく異なる背景には、日本の公的年金が持つ特有の構造が関係しています。
日本の公的年金制度は、しばしば「2階建て」に例えられ、「国民年金」を1階部分、「厚生年金」を2階部分として構成されています。
3.1 1階部分:国民年金(基礎年金)の概要
- 加入対象:原則として日本に居住する20歳以上60歳未満のすべての方
- 保険料:収入にかかわらず一律(2026年度は月額1万7920円)
- 特徴:保険料が一定のため、受給額に大きな差は生まれにくい
3.2 2階部分:厚生年金の概要
- 加入対象:主に会社員や公務員
- 保険料:収入(標準報酬月額)に応じて決まり、給与から天引きされる
- 特徴:加入していた期間の長さや納めた保険料の総額によって、将来の受給額が変動する
この仕組みにより、厚生年金に加入していた期間や現役時代の収入が、老後に受け取る年金の額に直接的に影響を与えることになります。
老後の年金額は「世帯単位」で把握しておくことも大切です。こちらの記事では、標準的な夫婦の年金額や遺族年金、離婚時の年金ルールなどについて詳しく解説しています。
4. 監修者からのコメント
「年金だけで月20万円」という金額は、多くの人にとって一つの安心の目安とされていますが、実際のデータを見ると、そのハードルがいかに高いかがわかります。
平均受給額は厚生年金であっても約15万円であり、物価高が続く現代においては、年金収入だけでゆとりのある生活を実現することは決して簡単なことではないでしょう。
現役時代からの計画的な資産形成や、受給開始年齢の繰り下げなど、多角的な対策が求められる時代になっています。





