2026年8月10日の東京株式市場は3日ぶりに反発しました。7日の米国市場は、7月の雇用統計が市場予想を下回ったことをきっかけに利上げ観測が後退し、ハイテク株や半導体関連株を中心に買われる展開となりました。この流れを引き継ぎ、10日の国内市場でもAIや半導体関連株を中心に幅広い銘柄が物色されました。

NTT(9432)にも買いが入り、前日比+1.4円(+0.88%)高の159.9円で高値引けとなりました。8月5日の151.0円から6日154.5円、7日158.5円、10日159.9円と4営業日続けて値を上げており、心理的な節目である160円台の回復をうかがう展開です。8月10日時点でPER(会社予想、連結)は13.28倍、PBR(実績、連結)は1.34倍、配当利回り(会社予想)は3.38%です。年初来高値は161円(2026年1月6日)。

株価がこのタイミングで底堅く推移している一因とみられるのが、6日の後場(13時30分)に発表された2026年度第1四半期決算です。

それでは、決算の内容から見ていきましょう。

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 2026年8月10日のNTT株は4日続伸、終値159.9円で節目の160円手前に
  • 8月6日発表の2026年度1Q決算は増収増益、ただし通期の最終利益は減益予想
  • 自社株買いは上限2,000億円のうち300億円超まで進捗、株主優待「dポイント」の受け取り条件

2. 6日発表の2026年度1Q決算は増収増益に

NTTが8月6日に発表した2026年度第1四半期(2026年4月〜6月)の連結決算(IFRS)は、次のとおりです(カッコ内は前年同期比)。

  • 営業収益:3兆6,177億円(+10.9%)
  • 営業利益:4,251億円(+4.9%)
  • 税引前四半期利益:4,214億円(+7.6%)
  • 最終利益期(同社に帰属する四半期利益):2,748億円(+5.8%)
  • 基本的1株当たり四半期利益:3.38円(前年同期3.14円)

事業セグメント別の外部顧客向け営業収益で見ると、法人向けITソリューションやデータセンター事業などを手がけるグローバル・ソリューション事業が1兆2,269億円(前年同期比+16.4%)、セグメント利益634億円(同+9.9%)と大きく伸び、全体の増収増益をけん引しました。祖業である総合ICT事業も1兆5,422億円(+8.3%)、セグメント利益2,462億円(+2.7%)と底堅く推移。地域通信事業は6,036億円(+1.9%)とほぼ横ばいながらセグメント利益985億円(+0.6%)を確保し、不動産・エネルギー等の「その他」事業は2,449億円(+27.6%)、セグメント利益233億円(+29.3%)と大きく伸びています。

一方、通期(2026年度、2026年4月〜2027年3月)の連結業績予想は、修正なく次のとおりとなっています(カッコ内は対前期増減率)。

  • 営業収益:15兆600億円(+4.5%)
  • 営業利益:1兆7,100億円(+0.2%)
  • 税引前当期利益:1兆5,000億円(△5.2%)
  • 最終利益:9,800億円(△5.5%)

営業収益・営業利益は増収増益を計画する一方、税引前利益・最終利益は前期実績からの減益予想となっている点には注意が必要です。1Qの進捗率は営業収益で約24.0%、営業利益で約24.9%、税引前利益・最終利益はいずれも約28%と、通期計画に対して比較的順調な滑り出しといえます。なお、2026年度の年間配当予想は1株当たり5.40円(第2四半期末2.70円、期末2.70円)で、直近に公表されている配当予想からの修正はありません。

3. 四つの事業を組み合わせた分散経営が支える増収増益

NTTグループは、携帯・光回線などの「総合ICT事業」、法人向けIT・コンサルティングやデータセンター事業を担う「グローバル・ソリューション事業」、固定電話や地域の光・法人回線を担う「地域通信事業」、不動産・エネルギーなどの「その他」事業という、性格の異なる4つの事業を組み合わせた経営を行っています。今回の1Qでも、成熟した通信領域である地域通信事業の伸びが緩やかだった一方、成長領域であるグローバル・ソリューション事業やその他事業の伸びが全体を押し上げる形になっており、一つの事業の勢いが鈍っても他の事業でカバーできる分散経営の強みが表れた決算だったといえそうです。

なお、NTTグループは光を中心とした次世代のネットワーク・情報処理基盤「IOWN(アイオン)」の実装を中長期の技術戦略として進めています。消費電力や伝送容量、遅延の面で従来技術を上回る性能を目指すもので、今回のグローバル・ソリューション事業の伸びを支えるデータセンター需要の取り込みとあわせて、今後の成長ドライバーとして位置付けられています。

ここまでの内容をまとめると、NTTの2026年度1Qは営業収益・営業利益ともに前年同期比で増加する増収増益決算となり、なかでもグローバル・ソリューション事業の伸びが目立ちました。通期の最終利益は減益予想である点には留意が必要ですが、1Qの進捗率は各利益項目とも計画の4分の1を上回るペースです。株価もこうした内容を織り込みながら4日続伸となっています。