働き方で変わる年金額|5つのライフコース別シミュレーション
厚生労働省は、今回の年金額改定の発表にあわせて、「多様なライフコースに応じた年金額の例」も示しています。年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類し、「2026年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算です。
ケース①:男性・厚生年金期間中心
《年金月額》17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
ケース②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
《年金月額》6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
ケース③:女性・厚生年金期間中心
《年金月額》13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
ケース④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
《年金月額》6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
ケース⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
《年金月額》7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
このように、現役時代に厚生年金と国民年金のどちらを中心に加入していたかによって、年金月額には10万円以上の差が生まれます。特に、厚生年金への加入期間が短い場合、老後の年金だけで生活費をまかなうことは難しくなりやすい傾向があります。
年金月額の個人差|階級別の受給者数から見る実態
全体の平均額だけでは見えない個人差も確認しておきましょう。厚生年金(国民年金を含む)は、月額1万円未満から30万円以上まで幅広い層に受給者が分布しています。
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
最も人数が多いのは「10万円以上~11万円未満」の層ですが、その前後の層にも同程度の人数が分布しており、ボリュームゾーンは幅広いことが分かります。
国民年金は、「6万円以上~7万円未満」に1715万人超が集中しており、満額に近い受給額を受け取る人が多数派です。一方、3万円未満の低年金となる人も一定数存在します。
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
物価高はいつまで続く?食品の値上げ動向
老後資金の準備を考えるうえで、現在進行中の物価高も無視できません。
帝国データバンクの調査によると、食品主要195社による2026年7月の値上げは2566品目、2026年の累計(1~11月の判明分)は1万4902品目にのぼります。これは調査を開始した2022年以降5年連続で年間1万品目を超え、2022年以降で最少だった2024年(1万2520品目)をすでに上回る水準です。
中東情勢の悪化を背景とした原材料・物流費・包装資材のコスト増が要因とされており、今後も値上げが続く可能性があるとされています。
老後資金とNISA、どう向き合う?
「公的年金だけで老後の生活をすべてカバーするのは難しいから、老後資金を準備しなくてはいけない」ということは、以前からずっと言われてきました。多くの方が漠然とそれを理解しているものの、具体的に動き出すのは腰が重いという方も少なくないのではないでしょうか。
NISAという制度ができたことで、資産運用を始める人が増えたのは良い変化だと思います。ただ、「NISAをやっていないと取り残される」という空気に押されて、生活資金を削ってまで投資に回してしまうと、本末転倒になりかねません。
老後資金の準備は、一度にまとめて完成させるものではなく、今の暮らしを保ちながら少しずつ積み上げていくものです。まずは目先の生活を安定させることを優先し、そのうえで無理のない範囲でNISAを活用する、という順番を意識してみてください。
参考資料
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 株式会社帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年7月」
和田 直子

