3セグメントの構図、規模は基礎材料だが一時要因も混じる
事業は三つに分かれる。半導体材料セグメントは売上高521億円(+34.2%)、営業利益144億円。半導体用スパッタリングターゲットなどが柱で、AI関連の先端半導体需要を取り込んだ。情報通信材料は売上高931億円(+19.1%)、営業利益131億円で、AIサーバ向けの高機能銅合金などが伸びた。
最も規模が大きいのが基礎材料で、売上高1,237億円(+65.1%)、営業利益568億円と全体を押し上げた。ただし会社の説明によると、この中には銅価上昇に加え、チリの銅鉱山会社の株式を一部譲渡したことに伴う譲渡益が含まれている。稼ぐ力の実勢と、一度きりの譲渡益は分けて見ておきたい。
三つのセグメントのうち、半導体材料と情報通信材料が構造的な成長を担い、基礎材料が市況と資産売却で振れる、という役割分担が読み取れる。
銅市況とAI需要の二本柱、財務は上場後の再編途上
業績を動かす二本柱は、銅の国際相場とAI半導体需要だ。どちらも足元は追い風だが、性格は異なる。銅相場は循環的に上下し、AI関連需要は構造的に伸びる。前期(2026年3月期通期)も営業利益は1,750億円と前期比+55.5%の増益で、勢いは1Qでさらに加速した。
財務は動いている最中だ。会社によると、1Qには自己株式の公開買付けで約1,949億円分を取得し、転換社債型新株予約権付社債も発行した。この結果、自己資本比率は1Q末で38.5%と、非鉄金属の業種中央値である約53%を下回る水準になった。
前期のROE(自己資本利益率)は15.6%で業種中央値の9.0%を上回るが、大型の株主還元と資金調達を同時に進める、上場後の資本政策の途上にあると読み取れる。
筆者コメント
銅市況と半導体材料、二つの追い風を同時に見ると、この会社の立ち位置が見えてくる。1Qの大幅増益は、銅高という循環的な要因と、AI向け材料の増販という構造的な要因が重なった結果だ。両方が同時に効いた四半期だったと言える。
気をつけたいのは、その二つを混ぜて評価しないことだ。
銅相場は必ずどこかで反転するし、基礎材料の利益には鉱山株の譲渡益という一度きりの分も混じる。一方で、半導体材料と情報通信材料の伸びは、AI投資が続く限り腰の据わった成長になりうる。
好決算で株価が下げたのは、市場が循環部分の一巡を先に織り込んだためではないだろうか。見るべきは、銅が落ち着いたあとに半導体材料がどれだけ利益を残すかだ。
資源株として見るか、半導体関連として見るか。その物差しの置き方で、この銘柄の評価は変わってくると考えている。
参考資料
免責事項
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石津 大希