非鉄金属と聞くと、銅の相場で浮き沈みする資源会社を思い浮かべる人が多いだろう。だがJX金属(5016)の顔は、それだけではない。もう一つの主力は、先端半導体の製造に欠かせない材料だ。2027年3月期1Qは営業利益が前年同期の2.7倍に膨らみ、通期予想も引き上げられた。好決算にもかかわらず、当日の株価は下げている。この二つの顔と、数字と株価のずれを追ってみたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
8月5日の高値から反落、1Qを挟んで荒く動いた株価
まず直近1カ月の株価を確認する。JX金属の株価は8月7日、3,886円で引けた。前日から6%を超える下落である。
この1カ月は値動きが荒い。7月末には3,300円台まで沈んだが、8月上旬には4,350円まで駆け上がり、その後にきょうの反落を迎えた。1Q決算は8月上旬に開示されており、大幅増益と上方修正という内容にもかかわらず、株価はむしろ売られた。高値まで買われたあとの材料出尽くしが意識された可能性はあるが、当日の値動きは需給や地合いにも左右される。理由を一つに決めつけるのは避けたい。
直近時点のPER(株価収益率)は約26倍、PBR(株価純資産倍率)は5.7倍となっている。1株利益の急拡大を受けてPERはやや低下したが、水準としてはなお高い評価が続いている。
営業利益+176%で通期上方修正、銅高と半導体材料が牽引
2027年3月期1Qは、売上収益(IFRS)が前年同期比+36.2%の2,606億円、営業利益は+175.5%の814億円となった。税引前四半期利益は796億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は531億円である。
なぜここまで伸びたのか。会社の説明によると、円安と銅価の上昇による増収効果に加え、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔といった主力製品の増販が寄与した。銅の国際価格は5月に史上最高値をつけ、AIデータセンターや電力インフラ関連の需要が相場を押し上げたという。会社はこの勢いを受け、通期の営業利益予想を2,320億円へ引き上げた。
非鉄金属という区分から連想されるのは、銅相場に業績が揺さぶられる資源会社の姿だ。だがJX金属の増益をよく見ると、資源だけでなく、AI向け半導体材料の増販がもう一方の柱になっている。銅というシクリカルな顔と、半導体成長という顔が同居している。その二面性こそ、この会社を読むうえでの起点になる。
