3事業の明暗、テストが稼ぎ開発は先行投資で沈む
事業別に見ると、利益の出方に濃淡がある。主力のソフトウェアテスト関連サービスは売上高745億円(+20.5%)で、営業利益は157億円と全体の稼ぎ頭だ。ただ採用費の増加で前年からは3.1%の小幅減益となった。
ソフトウェア開発関連サービスは売上高360億円(+20.7%)と伸びた一方、営業利益は18億円で▲19.4%と落ち込んだ。採用の先行投資が最も重くのしかかった事業といえる。その他近接サービスは売上高99億円(+29.4%)、営業利益8億円(+94.7%)と、規模は小さいが利益を伸ばした。
三つの事業がそろって増収でも、利益の方向はそろっていない。
5期で売上ほぼ3倍、M&Aと財務レバレッジで拡げる成長
時間軸を広げると、この会社の成長速度が際立つ。売上高は2021年8月期の460億円から2025年8月期の1,298億円へ、5期でほぼ3倍になった。営業利益も同じ期間に40億円から156億円へ伸び、前期のROE(自己資本利益率)は24.1%と、情報・通信業の業種中央値である11.1%を大きく上回る。
その成長を支えるのがM&Aだ。買収を重ねてのれんを積み上げ、直近も新たな連結子会社を取り込んでいる。もっとも、その裏で自己資本比率は3Q末で36.1%と、業種中央値の約67%を大きく下回る。身軽なイメージのグロース企業とは異なり、借入も使って拡大を急ぐ財務構造だ。売上高3,000億円を掲げる成長戦略と生成AIサービスの立ち上げが、この先行投資に見合う果実を生むかが問われる局面にある。
筆者コメント
成長の踊り場として位置づけられる局面と読み取れる。SHIFTの5期の売上と利益を並べると、そう見えてくる。売上はほぼ一本調子で3倍になったが、利益率はここへ来て足踏みしている。採用と営業への先行投資が、いったん利益を吸っている姿だ。
見るべきは、この先行投資が数期先にどれだけの利益となって返ってくるかだろう。採用した人員の稼働が上がり、大型案件が動き出せば、利益は再び売上に追いつく余地がある。逆に、AI活用でテスト工程そのものが効率化されれば、単価と稼ぐ力の関係も変わりうる。
株価が高いPBRを保つのは、市場がその再加速を織り込んでいるためではないだろうか。目先の減益率に驚くより、稼働率と顧客単価が次の四半期でどう戻るか。成長投資の成否を、KPIの推移で確かめていく姿勢を持ちたい。
参考資料
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石津 大希