増収が続いている会社は、利益も伸びている。そう考えたくなる。だがSHIFT(3697)の直近決算は、その思い込みをやんわり裏切る。売上は2割を超えて伸びたのに、利益は減った。株価も直近1カ月は荒く振れている。ソフトウェアの品質保証を主力とするこの成長企業に、いま何が起きているのか。株価と決算を重ねて追ってみたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
8月7日は大きく反発、直近1カ月は700円台から950円台へ振れた株価
まず直近1カ月の株価を確認する。SHIFTの株価は8月7日、896円で引けた。前日から8%を超える上昇である。
この1カ月の値動きは荒い。7月中旬には700円を割る場面があった一方、7月下旬には950円台まで駆け上がり、その後は800円台まで押し戻された。8月7日の反発は、その調整からの戻りにあたる。ただ、当日の急伸は相場全体の地合いや需給にも左右される。理由を一つに決めつけるのは避けたい。
直近時点のPBR(株価純資産倍率)は6倍台と高い。利益の絶対額に対して株価が高く評価されている状態で、市場が織り込むのは目先の利益より先々の成長だと読み取れる。
増収でも減益、成長投資が利益を一服させた3Q累計
2026年8月期3Q累計は、売上高が前年同期比+21.4%の1,158億円となった。会社の説明によると、営業活動の強化に加え、ニッセイコムを連結の範囲に含めたことが増収を支えた。ソフトウェアの品質保証という事業への需要は、DXと生成AIの普及で底堅い。
ところが利益は逆を向いた。営業利益は114億円で▲4.3%、経常利益は73億円で▲37.1%、純利益は40億円で▲36.6%の減益である。増収なのに、なぜ利益が減るのか。
会社は要因を明示している。前期に戦略的に抑えていた採用を正常化したことによる採用費の増加、大型案件の獲得へ営業リソースを集中させたことによる稼働率の一時的な悪化、そして営業外での持分法投資損失39億円の計上だ。いずれも足元の利益を削るが、先々の成長を取りにいくための先行負担という色合いが濃い。通期の売上高予想1,600億円(+23.2%)に対する進捗率は72.4%で、売上の勢いそのものは崩れていない。
高成長のグロース株には、増収増益が続くイメージがつきまとう。だがSHIFTの3Q累計は、増収と減益が同居している。成長の途上で利益が一服する局面は珍しくない。数字の見出しだけでなく、減益の中身を分けて読む価値がここにある。
