2026年(令和8年)度の年金額改定について、厚生労働省より新たな発表がありました。物価変動等の影響を受け、2026年度の年金生活者支援給付金の給付基準額は、前年度から3.2パーセントの引き上げとなる見込みです。
物価の上昇が長く続く中、日々の家計相談を伺っていると、「生活費がギリギリで少しでも支援を受けたいけれど、行政の制度が複雑で自分が対象になるのかよくわからない」というお悩みを頻繁に耳にします。特に、年金生活を送るシニア世代の方にとって、ご自身がどのような支援の対象になるのかを正しく把握することは、安心した生活を送るための第一歩となります。
本記事では、さまざまな支援の対象となる「住民税非課税世帯」の判定基準についてわかりやすく整理し、条件を満たした際に年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」の制度詳細まで、詳しく解説します。
なお、住民税非課税世帯の優遇措置と収入の境界線に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. そもそも住民税非課税世帯とは?均等割と所得割の仕組み
さまざまな給付金などのニュースでよく耳にする「住民税非課税世帯」とは、そもそもどのような世帯を指すのでしょうか。
住民税は、お住まいの都道府県や市区町村へ納める地方税の一種で、地域の行政サービスや公共インフラを維持するための費用にあてられています。個人が負担する住民税は、大きく分けて2つの層で計算されます。
ひとつは、所得に関係なく一定の額以上の所得がある人に一律にかかる「均等割(きんとうわり)」です。もうひとつは、前年の所得に応じて税額が決まる「所得割(しょとくわり)」です。
個人住民税を構成する「均等割」と「所得割」の関係

出所:総務省「個人住民税」
住民税は、住んでいる都道府県と市区町村に納める地方税です。地域の公共サービスを支える財源にあてられます。個人にかかる部分は、次の2つに分かれます。
- 均等割:所得の金額にかかわらず、一定以上の所得がある方に一律で課される税金
- 所得割:前年の所得金額に応じて課される税金
この2つがどちらも課されない状態が住民税非課税で、世帯にいる人の全員がその状態にあるときに、住民税非課税世帯として扱われ、各種の給付金や支援策の対象となるケースが多くなります。
2. 住民税が非課税になる「3つの条件」と年収の目安
住民税が課税されないためには、主に以下の3つの条件のいずれかに当てはまる必要があります。
- 生活保護法による生活扶助を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦またはひとり親のいずれかに該当し、前年の合計所得金額が135万円以下である
- 前年の合計所得金額が、居住する市区町村の定める基準額以下である
1つめと2つめの条件は、全国どこに住んでいても共通のルールです。しかし、3つめの「所得の基準額」については、お住まいの市区町村によって設定されている金額が異なります。
ここでは、兵庫県神戸市の基準を例に挙げて、所得を実際の「収入額(額面)」に置き換えた場合の目安を見てみましょう。ここでいう所得とは、収入から経費や各種の控除(税金の計算上、差し引くことが認められている金額)を差し引いたあとの金額を指します。
神戸市で住民税(市県民税)がかからない人の範囲

【単身世帯の場合の目安】
神戸市において、単身世帯で合計所得金額が45万円以下となり、住民税非課税世帯に該当する目安は以下の通りです。
- 給与収入のみの方:年収110万円以下
- 年金収入のみの方(65歳以上):年収155万円以下
- 年金収入のみの方(65歳未満):年収105万円以下
【同一生計配偶者や扶養親族が1人いる世帯の場合の目安】
配偶者や扶養するご家族がいる場合、基準となる合計所得金額は101万円以下に引き上げられます。
- 給与収入のみの方:年収166万円以下
- 年金収入のみの方(65歳以上):年収211万円以下
- 年金収入のみの方(65歳未満):年収171万3334円以下
同じ所得額であっても、給与のみなのか、年金のみなのか、さらには年齢が65歳以上か未満かによって、非課税となるボーダーラインは大きく変わります。
ここでひとつ、非常に重要なポイントがあります。「遺族年金」と「障害年金」は、所得税法などで「非課税所得」と定められているという点です。つまり、遺族年金や障害年金をいくら受け取っていても、判定のための所得を計算する段階では「0円」として扱われます。「年金をもらっているからうちの世帯は対象外だろう」と諦めてしまわず、ご自身が受け取っている年金の種類をしっかりと確認することが大切です。
