4. 2026年度から「子ども・子育て支援金」で保険料に上乗せ 家計への影響は

後期高齢者の医療制度を取り巻く環境は、今後も変化が見込まれます。

2026年度(令和8年度)からは、少子化対策を社会全体で支える「子ども・子育て支援金制度」がスタートし、医療保険料と合わせて徴収される見通しです。

こども家庭庁の試算によると、後期高齢者医療制度の加入者1人当たりの支援金額は、2026年度が月額200円程度、2027年度が250円程度、2028年度が350円程度と、段階的に引き上げられる見込みです。

月200円程度と聞くとわずかな額に思えますが、年間では数千円規模の負担増になります。

物価高が続くなかで、こうした制度変更による微増が重なる分、中長期的な家計管理の意識がより一層求められます。

5. マイナ保険証と「資格確認書」―医療費の書類はどう整理する?

こうした制度変化に備えるためにも、日頃から医療費や保険に関する書類を整理しておくことが役立ちます。

75歳になると、それまで加入していた健康保険から後期高齢者医療制度へ移行しますが、これに伴い、医療機関を受診する際に使う「マイナ保険証」や「資格確認書」についても、改めて確認しておきたいところです。

5.1 自分は「マイナ保険証」と「資格確認書」のどちらを使っている?

マイナ保険証とは、健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカードのことです。一方、資格確認書は、マイナ保険証を保有していない方などに、申請によらず交付されるものです。

「保険証がなくなったから資格確認書を使っている」と思っていても、実際にはマイナ保険証を利用しているケースもあります。まずは自分が普段、医療機関の受付で何を提示しているのかを確認しておきましょう。

5.2 医療費や保険の書類は捨てる前にまとめて保管

医療機関の領収書や医療費のお知らせ、後期高齢者医療制度に関する通知なども、届いたらすぐに捨てず、一度まとめておくと安心です。

高額な医療費がかかった場合には高額療養費制度を利用できる可能性があり、確定申告で医療費控除を検討する際にも領収書の確認が必要になることがあります。「もう病院には行かないから」と処分せず、少なくともその年の医療関係の書類はまとめて保管しておきましょう。

5.3 家族にも「どこにある?」を伝えておく

医療費に関する手続きは、本人が体調を崩したときに家族が代わりに確認する場面もあります。

マイナ保険証と資格確認書のどちらを使っているか、医療関係の書類をどこに保管しているか。元気なうちに家族にも伝えておけば、突然の入院などの際にも慌てずに済みます。

6. まとめにかえて|「割合」と「金額」の両方を知ることが家計防衛の第一歩

後期高齢者の医療費は、窓口負担の割合(1割・2割・3割)と、実際にかかる金額(年間約95万円、うち通院・薬代が半分以上)の両方を押さえておくことで、はじめて家計への影響が見えてきます。

自身や親の負担割合が何割に判定されているかを確認し、通院や薬代を毎月の固定費として家計計画に組み込んでおくこと。医療関係の書類を一か所にまとめ、家族とも共有しておくこと。

社会保障制度の変化にアンテナを張りつつ、健康なうちに書類や家計を整理しておくことが、将来の安心した暮らしを守る備えになります。

7. 監修者からのコメント

熊谷 良子

世帯合算で負担割合が上がってしまう夫婦世帯から、「住民票上の世帯を分ければ1割負担に戻せるのでは」というご相談を受けることがあります。

制度上、世帯分離によって後期高齢者医療の負担割合が下がるケースは確かにありますが、国民健康保険や介護保険の保険料の算定、高額療養費の世帯合算の対象範囲など、他の給付や負担にも影響が及ぶ場合があります。

負担割合だけを見て安易に手続きを進めるのではなく、市区町村の窓口や広域連合に相談し、世帯全体の医療費・保険料への影響を確認したうえで判断することをおすすめします。

医療費控除の確定申告についても、窓口負担が増えた年こそ、家族分も含めた1年分の領収書を早めに整理し、対象になりそうな金額感をつかんでおくと、申告時期になって慌てずに済むはずです。

参考資料

池上 翠