2026年8月、年金にまつわる大切な通知が、順番に各家庭へ届きはじめます。「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」です。ふだん見慣れない書類が届くと、「これは何だろう」「手続きが必要なの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。

今回は、まず公的年金の基本をおさらいしたうえで、この意向確認書の中身と手続き、そして公金受取口座に登録すると何が変わるのかまで解説します。

宮野 茉莉子
年金に関する書類は、内容が難しく感じられて、つい後回しにしてしまいがちな方もいます。ですが、こうした通知はご自身の年金やお金を知る、守るための大切な入り口でもあります。今回の意向確認書も、仕組みを知って、ご自身の意思で「登録する・しない」を選ぶことが大切です。

1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  •  公的年金は「2階建て」。平均受給額は月15万289円(男性16万9967円/女性11万1413円)
  •  2026年8月から「公金受取口座登録の意向確認書」が簡易書留で順次届く(対象=1961年4月16日以前生まれの年金受給者)
  •  登録を希望するなら手続き不要(自動登録)/希望しないなら45日以内に不同意の申出。詐欺にも注意

2. まずは公的年金のキホンをおさらい

意向確認書の話に入る前に、まずは公的年金の仕組みを簡単におさらいしておきましょう。日本の公的年金は「2階建て」にたとえられ、次のように整理できます。

2.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられているのが国民年金です。

自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として加入し、全員が一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。

2.2 【第2階部分:厚生年金】

厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入するのが厚生年金です(第2号被保険者)。国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!

では、実際に受け取れる年金は月いくらくらいなのでしょうか。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均受給額は月15万289円。男女別では、男性が16万9967円、女性が11万1413円と差があります。なお、国民年金の平均受給額は全体で5万9310円です。

この年金を受け取る口座をめぐって、いま新しい手続きの案内が始まっています。

3. 【茶色の封筒で届く】2026年8月~2029年2月まで「年金振込口座の公金受取口座登録」意向確認書の送付がはじまる

2026年(令和8年)8月ごろから2027年2月ごろにかけて、年金受給者のもとに「公金受取口座に関する大切なお知らせです」と書かれた茶色の封筒が、簡易書留で順に届きます。

中には、意向確認書・案内書・制度のお知らせ・目隠しシールが同封されています。

では、誰に届くのでしょうか。届く人・届かない人の条件は、次のように整理されています。

3.1 私は届く?送付の対象となる方・対象外となる方

送付の対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金を受給している方です。ただし、以下の要件に一つでも該当する場合は送付されません。

  • すでに公金受取口座を登録している方
  • 令和8年4月に年金が支払われなかった方(全額支給停止、振込不能など)
  • 国外に居住している方
  • 共済組合等から支給される年金のみを受給している方
  • 令和7年6月以降の年金請求手続きにおいて、公金受取口座への登録意思表示をした方 など

出所:【年金】8月から送付開始『意向確認書』の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説

「うちには来たけれど、あの人には来ない」といったことも起こり得るわけですね。すでに登録済みの方や、共済組合等の年金のみを受け取っている方などには届かない、と覚えておくとよいでしょう。

4. 手続きする場合・手続きしない場合の流れ

そもそも公金受取口座とは、年金の振込口座の情報を、国(デジタル庁)にあらかじめ登録しておく仕組みです。登録しておくと、年金だけでなく、所得税の還付金や高額療養費など、160種類以上の給付金等の受け取り手続きが簡単になります。

手続きの流れは、登録を希望するかどうかで分かれます。デジタル庁の案内をもとに整理すると、次のとおりです。

年金振込口座の公金受取口座登録の手続きの流れ3/3

年金振込口座の公金受取口座登録の手続きの流れ

出所:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録について【意向確認書に関するご案内】」

  • 登録を希望する場合:手続きは不要です。
    • 年金振込口座が自動的に登録され、約3〜4か月で完了通知が届きます。
  • 登録を希望しない場合:意向確認書内の「不同意申出書」に記入し、到着から45日以内に郵送で返送します。

ここで気をつけたいのが、「返送しなければ、同意したものとして自動で登録される」という点です。何もしないと登録される仕組みなので、登録したくない方は、期限内の返送を忘れないようにしたいところです。