毎年9月1日から、すでに年金を受給している方に向けて「年金生活者支援給付金請求書」の発送が始まります。8月のうちに、ご自身が対象になりうるかどうかを確認しておきたい時期です。
老後の生活設計を考えるとき、公的年金だけでは少し心もとないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
とくに物価の上昇が続くなかでは、日々の暮らしへの影響も気になるところです。
実は、年金の収入や所得が一定の基準に満たない場合に、年金へ上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」という制度があります。
この記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどう進めればよいのかを、順を追って解説していきます。
なお、年金生活者支援給付金の支給要件および請求書の郵送時期に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. この記事を読むとわかる3つのポイント
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年金生活者支援給付金は老齢・障害・遺族の3種類。要件を満たせば2カ月に1度、年金に上乗せして支給される -
2025年3月時点の平均給付月額は老齢4146円・障害5727円・遺族5228円で、年齢層によっても差がある -
手続きは年金の受給状況によって3パターンに分かれ、届く書類の種類とタイミングが異なる
2. 年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」とは
公的年金等の収入やその他の所得額が基準を下回る年金受給者の暮らしを支えるために設けられているのが、年金生活者支援給付金です。
一度きりの給付金ではなく、年金に上乗せするかたちで継続的に支給される点が特徴といえます。
受給している基礎年金の種類に応じて、次の3つに分かれます。
- 老齢年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
最初に一度だけ申請が必要ですが、その後は要件を満たしている限り、2カ月に1度のペースで受け取れます。
3. どんな人が対象になる?3種類それぞれの支給要件を確認
基礎年金を受給している人のうち、年金等の収入や所得の合計額が一定の基準以下であれば、年金生活者支援給付金を受け取れる可能性があります。
ここからは、3種類それぞれの具体的な支給要件を確認していきましょう。
3.1 老齢年金生活者支援給付金を受け取るための3つの条件
老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、次の要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
3.2 障害年金生活者支援給付金の対象となる方
次の要件をすべて満たす場合、障害年金生活者支援給付金の対象となります。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
3.3 遺族年金生活者支援給付金の対象となる方
次の要件をすべて満たす場合、遺族年金生活者支援給付金の対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
4. 実際にいくら受け取れる?最新データで見る平均給付月額
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を確認していきましょう。
2025年3月時点の平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円でした。
※2025年3月において認定されている平均給付金額です。
年齢層ごとの平均額も、あわせて見ていきます。
4.1 老齢年金生活者支援給付金:年齢層別の平均額と件数
- 70歳未満:4905円(43万9628件)
- 70~74歳:4374円(56万1362件)
- 75~79歳:4092円(85万9446件)
- 80~84歳:3936円(95万453件)
- 85~89歳:3989円(82万8270件)
- 90歳以上:4045円(86万5282件)
4.2 【シミュレーション】年齢層によって、年額ではどれだけ差がつく?
上記のデータを見ると、老齢年金生活者支援給付金の平均額がもっとも高いのは70歳未満の4905円、もっとも低いのは80〜84歳の3936円です。この差を年額に換算してみましょう。
- 月額の差:4905円-3936円=969円
- 年額に換算すると:969円×12カ月=約1万1628円
- 5年間の累計では:約1万1628円×5年=約5万8140円
同じ老齢年金生活者支援給付金でも、年齢層によって年間1万円以上の開きが生じている計算になります。この給付金の額は保険料の納付済期間や免除期間をもとに個別に計算されるため、世代ごとの働き方や保険料の納付状況の違いが平均額に表れていると考えられます。あくまで平均値どうしの比較であり、個々の受給額を示すものではない点にはご注意ください。
4.3 障害年金生活者支援給付金:年齢層別の平均額と件数
- 30歳未満:5692円(26万6276件)
- 30~39歳:5668円(31万6202件)
- 40~49歳:5655円(37万1772件)
- 50~59歳:5671円(46万8876件)
- 60~69歳:5749円(38万4626件)
- 70~79歳:5880円(26万4423件)
- 80歳以上:6033円(10万4991件)
4.4 遺族年金生活者支援給付金:年齢層別の平均額と件数
- 20歳未満:4190円(5687件)
- 20~29歳:5310円(529件)
- 30~39歳:5310円(7881件)
- 40~49歳:5310円(3万4072件)
- 50~59歳:5310円(2万7828件)
- 60歳以上:5310円(1710件)
5. 受け取るには手続きが必要——ケース別の進め方
それでは、給付金を受け取るにはどのような手続きが必要なのでしょうか。
「手続きが漏れそうで不安」という方もいらっしゃると思いますが、支給対象と判定された方には、日本年金機構から請求書が届く仕組みになっています。
基本的には、届いた書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了します。
ただし、年金の受給状況によって、届く書類の形式も手続きのタイミングも異なります。ここからは3つのケースに分けて確認していきましょう。
5.1 ケース1:これから老齢年金を受け取り始める方
まだ年金を受給していない方には、受給開始の3カ月前に「年金請求書(事前送付用)」が送られてきます。
この封筒に「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。
必要事項を記入し、年金の請求書とあわせて提出しましょう。なお、請求書は年金の受給開始年齢に到達する誕生日の前日からしか提出できない点に注意が必要です。
5.2 ケース2:すでに年金を受け取っている方
すでに基礎年金を受給している方でも、所得の変動によって新たに対象となることがあります。
このような人を対象に、毎年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
必要事項を記入したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載したうえで、切手を貼ってポストに投函します。
※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。
5.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方
最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースです。
受給権が発生すると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。
書類が届いたら、必要事項を記入したうえで同封の目隠しシールを貼り、切手を貼ってポストに投函しましょう。
※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。
手続きが必要なのは最初の一度だけで、その後は支給要件を満たす限り継続して受け取れます。
要件を満たさなくなった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、支給は停止されます。
なお、2025年1月以降に65歳へ到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた方は、電子申請による提出も選べるようになりました。
電子申請で提出した場合、郵送による提出は不要です。
6. 年金の受給額には大きな個人差がある
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)が5万9310円、厚生年金(国民年金部分を含む)が15万289円です。
ただし、年金の受給額には大きな個人差があるという点を押さえておく必要があります。
とくに厚生年金では、その差が顕著に表れます。
「厚生年金に加入していれば年金は多くもらえる」と考えている方もいますが、実際には月額30万円以上を受け取っている方から月額1万円未満の方まで、受給額は幅広い層に分かれています。
年金とその他の所得を合わせても一定の基準を下回る場合には、年金生活者支援給付金の対象となる可能性があるでしょう。














