「年金は月数万円程度」など、公的年金だけでは心もとないと感じている方もいるでしょう。

一報、退職金などまとまったお金を手にしたものの、将来のためにどう活用したらよいのか、また「自分に合った資産運用がわからない」と悩んでいる人も多いかといます。

今回は数多くいただいたご相談内容にあった課題を整理してまとめ、ファイナンシャルアドバイザーが退職金や年金、資産運用などのリアルなお金の悩みに対して、どのようなアドバイスをしたのかをご紹介します。

1. 年金だけだと不安で退職金の運用方法がよくわからない60代への現役FAの3つのアドバイス

退職金というまとまった資金を手にして「お金持ち」「富裕層」と見られがちな立場であっても、実態は商品を言われるままに積み上げてきただけで、年金の水準に対してどのくらいの運用が必要なのか、具体的な見通しを持てていないケースが多いです。

1.1 60歳代に多いお悩み相談は「年金だけだと不安」「退職金の運用方法がよくわからない」

60代のお客様
年金と個人年金の収入だけでは、老後の暮らしに不安があります。

退職金などで得た数千万円規模の資産をどう活かしたらよいのか、「自分にあった資産運用の方法」がわかりません。

リタイヤ前後の60歳代に多いのが、年金と個人年金の収入だけでは老後の暮らしに不安があり、退職金などで得た数千万円規模の資産をどう活かすかが老後の課題という方も多いです。

また、証券会社に勧められるままに、ファンドラップなどを保有している人もいらっしゃるでしょうし、個別株式をはじめとした複数の商品を保有していたものの、それぞれの中身をよく理解しておらず、自分の資産状況の全体像も把握していない方も多い印象です。

こうした方に多いのは、預貯金の一部は普通預金に置かれたままで、「お金に働いてもらえていない」という自覚はありつつも、何から手をつければよいのか分からない状態になっています。数千万円という金額の大きさに反比例するように、判断のよりどころは何もない、というのが実際でした。

1.2 【現役FAからアドバイス】退職金を運用するために必要な3つの考え方

ご相談の内容を最初の一歩は、保有している商品の中身を一つずつ洗い出すことでした。
ライフスタイルや市場環境は変化します。
保有している金融商品が「今の自分に合っているのか」見直すことが大切です。
立野 力

【その1】自分に合った「運用先の選択」

たとえば、ファンドラップのコストや仕組みについて改めて説明を受けてみて、「自身の保有商品が必ずしも最適ではない」と気づかれることが多いです。

まとまった資産を持っているからこそ、内容の分からない商品を漫然と持ち続けるのではなく、定期的にご自身の資産の棚卸しをする姿勢が欠かせません。まずは、こうした資産の整理からスタートします。そのうえで、年金という限られた収入を前提に、資産をシンプルな形に組み替えていきました。

ポートフォリオを考える際に大きな軸になるのは、株式なのか、債券なのかという点です。たとえば、債券に投資をするにあたっても、ドル建ての終身保険のように長期一括で運用する商品と、毎年利息を受け取れる単利型の債券とでは、配当の有無もありますし、為替リスクの取り方が異なります。

例として、「ドル建ての保険は10年後の一発勝負だが、債券の種類によっては毎年為替を考える機会があり、リスクを分散できる」など、金融商品によって異なる特徴を理解しておくことも大切です。

退職金や預貯金など、保有している資産全体のバランスと、受給できる年金額を踏まえたうえで、「年金収入だけでは心もとない部分を、値動きの異なる資産の組み合わせで補う」ことを目標に資産運用を見直しましょうと常日頃お伝えしています。

【その2】運用コストである「手数料にも目を向ける」

また、ファンドラップのような手数料の見えにくい商品から、内容が分かりやすい債券やNISA中心の構成へ切り替えることで、資産の全体像も把握しやすくなります。

手数料や経過利子といった見えにくいコストほど、数字で確認することが欠かせません。手数料の高い商品と手数料の安い商品を並べて比較するだけでも、判断の精度は大きく変わってきます。

【その3】資産運用の基本「分散投資」

また、まとまった資産があるからといって、一つの商品に全額を投資することもお勧めしません。

複数の金融機関で保有する資産を横断的に把握して、資産全体のバランスを常に確認できる状態を保つようにしましょう。

「お金持ち」の老後資金準備の実態は、まとまった資産を持っていることそのものよりも、商品の中身を理解し、年金だけでは足りない分を値動きの異なる資産で補い、情報を鵜呑みにせず数字で確認するという、地道な姿勢の積み重ねにあります。

2. 【元証券会社の監修者による解説】「年金」と「退職金」の平均相場はいくらなのか?

今回ご紹介した「60歳代の方のお金の悩み」や「現役FAからのアドバイス」のように、資産運用を活用して、年金のみだと生活費が不足しまうことをカバーしたいと考える方は多い傾向にあります。
「どんな資産運用を選択したらよいのか?」ということに着目しがちですが、大切なのは「今の自分の現状を知っておくこと」です。
また、将来のための資金計画を立てる際「年金」や「退職金」の相場を確認しておくことも大切です。
安達 さやか

2.1 老後の収入の柱「厚生年金・国民年金」平均はどれくらいなのか

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金を両方受給する人の「平均年金月額は15万289円」です。

60歳~89歳までのシニアは厚生年金や国民年金をどれくらい受給しているのか「平均年金月額一覧表」で確認できます。

2.2 「退職金」平均相場はどれくらいなのか

公的機関が公表している直近の統計データ(厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」、中央労働委員会「令和7年賃金事情等総合調査」)をもとに、定年退職(勤続35年以上等)におけるおおよその相場感を整理します。

大企業(資本金5億円以上・従業員1000人以上等)

  • 大学卒:約1900万〜2100万円前後
  • 高校卒:約1600万〜2000万円前後 ※金額は主に管理・事務・技術職を想定した目安です

上記の退職金の平均相場はあくまでも額面です。

老後資金の計画を立てる際は「手取りがどれくらいになるか」確認しておくことも大切です。

退職金にかかる税金はどれくらいなのか「退職金にかかる税金・手厚い3つの優遇の仕組み」で確認できます。

参考資料

立野 力