「公的年金は2階建て」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
会社員や公務員として働いてきた人は、1階部分の国民年金に加えて2階部分の厚生年金も受け取れるため、年金額には個人ごとに大きな差が生まれます。
実際、厚生年金の平均受給額は月15万289円ですが、この「平均」をクリアしている人は全体のどれくらいいるのでしょうか。
さらに、年金からは税金や保険料が差し引かれる仕組みもあり、受け取った金額がそのまま手取りになるわけではありません。今回は厚生労働省の最新データから、厚生年金の受給額の実態と、見落とされがちな税・保険料の仕組みを確認していきます。
本記事では、以下の記事を一部引用しています。
1. この記事の3つのポイント
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厚生年金(国民年金含む)の平均月額は15万289円 -
月15万円以上を受給する人は男女全体で49.8% -
年金からも税金・保険料が引かれ、手取りは目減りする
2. 公的年金は「2階建て」——1階・2階でどう違う?
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」という2つの制度が土台となっており、よく「2階建て構造」にたとえられます。
2.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
- 加入対象:原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人
- 保険料:全員一律(年度により見直し)(※1)
- 年金額:480カ月(40年)すべて納付すると、65歳から満額の基礎年金(※2)を受け取れる(未納期間があれば減額)
※1 国民年金保険料:月額1万7920円(2026年度)
※2 老齢基礎年金の満額:月額7万608円(2026年度)
2.2 2階部分:厚生年金
- 加入対象:会社員・公務員など、勤め先で加入する人
- 保険料:給与・賞与に応じて決まる報酬比例制(上限あり)
- 年金額:加入期間の長さや納めた保険料の総額によって変動(国民年金に上乗せされる)
国民年金は「みな同じ保険料・同じ満額」が原則ですが、厚生年金は現役時代の収入がそのまま反映される仕組みです。そのため、会社員・公務員としての勤続年数や収入の水準によって、老後に受け取る年金額には人によって大きな差が生まれることになります。
3. 厚生年金「ひと月15万円以上」は何割いる?受給額の実態を見る
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額は、男女合わせて15万289円となっています。
公的年金は基本的に2カ月に1回のペースで支払われるため、平均額どおりに受け取れた場合、1回の受給で振り込まれる金額はおよそ30万円というイメージになります。
では、この「平均」ラインである月15万円を超えて受け取っている人は、実際どのくらいの割合いるのでしょうか。以下のデータには、国民年金(老齢基礎年金)部分も含まれています。
3.1 男女全体でみる年金月額の分布
【男女全体】厚生年金の平均年金月額:15万289円
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
集計すると、月15万円以上を受け取っている人は、男女全体の受給権者のうち49.8%です。半数をわずかに下回る水準であり、「平均額を超えているのは全体の半分に届かない」という実感に近い結果と言えます。
3.2 男女で大きく異なる受給額
【男性】厚生年金の平均年金月額:16万9967円
- ~1万円:3万446人
- 1万円以上~2万円未満:1万257人
- 2万円以上~3万円未満:5404人
- 3万円以上~4万円未満:5185人
- 4万円以上~5万円未満:1万4747人
- 5万円以上~6万円未満:3万9134人
- 6万円以上~7万円未満:13万4214人
- 7万円以上~8万円未満:23万186人
- 8万円以上~9万円未満:26万278人
- 9万円以上~10万円未満:26万99人
- 10万円以上~11万円未満:29万8838人
- 11万円以上~12万円未満:37万6357人
- 12万円以上~13万円未満:45万6689人
- 13万円以上~14万円未満:54万9337人
- 14万円以上~15万円未満:65万7775人
- 15万円以上~16万円未満:76万4713人
- 16万円以上~17万円未満:85万3718人
- 17万円以上~18万円未満:92万6462人
- 18万円以上~19万円未満:95万5327人
- 19万円以上~20万円未満:91万3998人
- 20万円以上~21万円未満:82万204人
- 21万円以上~22万円未満:68万2702人
- 22万円以上~23万円未満:50万9842人
- 23万円以上~24万円未満:34万1191人
- 24万円以上~25万円未満:22万4720人
- 25万円以上~26万円未満:14万7563人
- 26万円以上~27万円未満:9万2856人
- 27万円以上~28万円未満:5万4156人
- 28万円以上~29万円未満:2万9810人
- 29万円以上~30万円未満:1万4935人
- 30万円以上~:1万8801人
【女性】厚生年金の平均年金月額:11万1413円
- ~1万円:1万2953人
- 1万円以上~2万円未満:3880人
- 2万円以上~3万円未満:2万9993人
- 3万円以上~4万円未満:6万3025人
- 4万円以上~5万円未満:6万1945人
- 5万円以上~6万円未満:6万9313人
- 6万円以上~7万円未満:18万892人
- 7万円以上~8万円未満:34万8764人
- 8万円以上~9万円未満:54万1901人
- 9万円以上~10万円未満:75万1358人
- 10万円以上~11万円未満:81万3990人
- 11万円以上~12万円未満:69万5128人
- 12万円以上~13万円未満:52万2466人
- 13万円以上~14万円未満:37万4169人
- 14万円以上~15万円未満:27万1489人
- 15万円以上~16万円未満:20万322人
- 16万円以上~17万円未満:14万7604人
- 17万円以上~18万円未満:10万5489人
- 18万円以上~19万円未満:7万1561人
- 19万円以上~20万円未満:4万8617人
- 20万円以上~21万円未満:3万3387人
- 21万円以上~22万円未満:2万1931人
- 22万円以上~23万円未満:1万4116人
- 23万円以上~24万円未満:8813人
- 24万円以上~25万円未満:5491人
- 25万円以上~26万円未満:3233人
- 26万円以上~27万円未満:1811人
- 27万円以上~28万円未満:927人
- 28万円以上~29万円未満:479人
- 29万円以上~30万円未満:223人
- 30万円以上~:482人
男女別に見ると、月15万円以上を受け取っている割合は男性が68.8%、女性は12.3%と大きな差があります。現役時代の勤続年数や収入、正社員・非正規雇用の違いなどが、そのまま老後の年金額の差につながっている実態がうかがえます。
公的年金は老後の生活を支える柱ですが、これだけで暮らしの全てをカバーできるとは限りません。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で自分の将来の受給見込み額を確認し、早めに資金計画を考えておくことが大切です。




