4. 年金からも税金・保険料が引かれる——「手取り」を意識した準備を
厚生年金の受給額を確認するとき、つい「その金額がそのまま使えるお金」と捉えてしまいがちですが、実際にはそうではありません。年金にも所得税や住民税がかかるほか、65歳以降は介護保険料や国民健康保険料(後期高齢者医療制度の対象になれば後期高齢者医療保険料)が、年金からあらかじめ差し引かれる「特別徴収」という仕組みが採用されています。
これらの合計額が年金額の一定割合を超えないよう調整される仕組みもありますが、「振り込まれる年金額=手取り額」ではない点は知っておきたいポイントです。なお、公的年金等の収入が年400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下などの条件を満たす場合は、所得税の確定申告が不要になる制度もあります(住民税は別途申告が必要になる場合があります)。
年金額の数字だけを見て一喜一憂するのではなく、そこから税金・保険料が引かれた「手取り」でどのくらい暮らせるのかを試算したうえで、老後の暮らしをシミュレーションしておくと、より現実的な準備につながります。
前段で触れた特別徴収の仕組みを踏まえると、実際に使える手取りは見込み額より1~2割程度少なくなることも珍しくありません。
老後の暮らしをシミュレーションする際は、年金額そのものだけでなく、住宅費や医療費といった支出面も含めて、手取りベースで一度整理してみることをおすすめします。少し保守的に見積もっておくくらいが、実際には丁度よい備えになるはずです。
5. まとめ
厚生年金の受給額は、現役時代の働き方や収入によって一人ひとり大きく異なります。「平均は月15万円程度」といっても、実際にそれを超えて受け取れる人は全体の半分に満たず、男女間の差も決して小さくありません。
さらに、受け取った年金からは税金や保険料が差し引かれるため、手元に残る金額は表面上の受給額よりも少なくなります。まずは自分の年金の受給見込みを確認し、そこから引かれるものまで踏まえて手取りベースで老後の暮らしをシミュレーションしてみることが、資金計画の第一歩になるはずです。
もし手取りだけでは不安が残るという場合は、資産運用やiDeCo(個人型確定拠出年金)、個人年金保険など、公的年金に上乗せできる手段を早めのうちから検討しておくと安心です。
参考資料
川勝 隆登
