6. 年金を増やすには?今から検討したい3つの選択肢

公的年金だけでは心もとないと感じる場合、受給額を増やすための選択肢がいくつかあります。

ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。

6.1 繰下げ受給を利用する

繰下げ受給の増額イメージ3/4

繰下げ受給の増額イメージ

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」をもとに筆者作成

年金の受給開始は原則65歳ですが、66歳から75歳までの間に遅らせる「繰下げ受給」を選択できます。

1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額され、75歳まで繰下げると最大で84%も増やすことが可能です。

長生きするほど有利になりますが、受給開始が遅れる点や、税金・社会保険料の負担が増える可能性も考慮する必要があります。

6.2 できるだけ長く働く

厚生年金は70歳まで加入できます(※)。

60歳以降も働き続けることで厚生年金の加入期間が延び、将来受け取る年金額を増やすことができます。

ただし、給与と年金の合計額が一定額を超えると年金の一部または全部が支給停止される「在職老齢年金」の仕組みには注意が必要です。

※例外的に、老齢年金の加入期間が不足している場合「高齢任意加入」の制度があります。

6.3 私的年金(iDeCo・NISA)を活用する

公的年金を補う手段として、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった私的年金の活用も有効です。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象になるなど、税制上のメリットが大きいのが特徴です。

NISAも非課税で投資ができるため、計画的な資産形成に役立ちます。どちらも早く始めるほど、長期的な運用の効果が期待できます。

7. 夫婦2人の年金はいくら?知っておきたい「加給年金」と「振替加算」

今回の記事では単身者の年金をモデルにしましたが、夫婦世帯の場合はさらに知っておきたい制度があります。

それが「加給年金」と「振替加算」です。

7.1 年金の家族手当「加給年金」

加給年金とは、厚生年金の加入期間が20年以上ある人が65歳になった時点で、その人に扶養されている65歳未満の配偶者や18歳未満の子どもがいる場合に、年金に上乗せして支給されるものです。

「年金の家族手当」とも呼ばれ、配偶者の場合、特別加算(※)を含めると年間で最大42万3700円が加算されます(2026年度の金額)。

※特別加算額は受給権者の生年月日により異なります。

7.2 加給年金終了後に支給される「振替加算」

加給年金の対象だった配偶者が65歳になると、自身の老齢基礎年金を受け取り始めるため、加給年金は支給停止となります。

その代わりに、配偶者の老齢基礎年金に一定額が上乗せされるのが「振替加算」です。

これは、かつて国民年金への加入が任意だった世代の年金額を補うための制度で、生年月日によって加算額が異なります。

これらの制度を知っているかどうかで、世帯全体の生涯受給額が大きく変わることもあります。ご自身の家庭が対象になるか、一度確認してみることをおすすめします。

8. まとめ:自分の年金見込額を把握し、早めの対策を

今回は「平均年収600万円で40年勤務」というモデルケースで年金額を試算しましたが、実際の受給額は一人ひとりの働き方や収入の履歴によって大きく異なります。

また、最新の家計調査が示すように、年金の手取り額だけでは毎月の生活費をまかなうのが難しく、貯蓄を取り崩しながら生活するケースも少なくありません。

豊かな老後を送るためには、まずご自身のリアルな年金見込額を把握することが不可欠です。

「ねんきん定期便」や日本年金機構の「ねんきんネット」を活用して、現状を確認してみてはいかがでしょうか。

その上で、不足すると考えられる金額をどのように補うか(長く働く、NISAやiDeCoで計画的に資産形成をするなど)、今のうちから具体的な計画を立てておくことが大切です。

参考資料