6. 所得基準を少し超える人は「補足的老齢年金生活者支援給付金」の対象に
給付金の支給要件として、「前年の年金収入とその他の所得の合計額が80万9000円以下(昭和31年4月2日以降生まれの場合)」という基準があります。これを見ると、「少しでも超えてしまったら、1円ももらえないの?」と思うかもしれません。
実は、所得が基準額をわずかに超えたことで給付金が全く受け取れなくなり、結果的に基準額以下の人よりも手取り収入が少なくなってしまう「所得の逆転現象」を防ぐための仕組みが用意されています。
それが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。
昭和31年4月2日以降生まれの方であれば、所得合計が80万9000円を超え、90万9000円以下の場合に、この補足的な給付金が支給されます。給付額は所得に応じて段階的に調整され、上限に近づくほど少なくなります。
該当する方には同様に案内が届くため、書類が届いたら「自分は所得オーバーのはず」と決めつけず、必ず内容を確認して手続きを進めましょう。
7. 例年9月から届く案内と「さかのぼり支給」の厳しめルール
すでに年金を受給中で、前年の所得が下がったことなどにより新たに給付金の対象となる方には、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が郵送されます。
案内は例年9月頃から順次発送される予定ですが、今年度の詳細なスケジュールはまだ未定となっています。対象になるかもという方は、秋口以降の郵便物に特に注意を払っておきましょう。
ここで覚えておきたいのが「申請のタイミング」です。
公的な手当のなかには、申請が遅れても後からまとめて過去の分を受け取れるものもありますが、この給付金については原則として「請求した月の翌月分から」しか支給されません。
つまり、書類が届いていたのに机の引き出しにしまったまま数カ月放置してしまうと、その遅れた期間分の給付金は消滅してしまい、さかのぼって受け取ることはできないのです。
もし「そういえば、親の家にそれらしい色の封筒があった気がする」という場合や、書類を紛失してしまったという場合は、早急に給付金専用ダイヤルや近くの年金事務所へ問い合わせて再発行の手続きをしてください。
月額5620円でも、1年になれば約6万7000円。後回しにせず、気づいた時点で即座に行動することが、大切な資金を守る防衛策になります。
8. まとめ
2026年度から増額された「老齢年金生活者支援給付金」は、物価高に直面するシニア世代の生活を底上げしてくれる重要な公的支援です。
各種データが示す通り、年金収入だけで生活を維持するには多くの工夫が求められる厳しい時代となっています。
だからこそ、利用できる制度を正確に把握し、漏れなく活用することが家計防衛の第一歩です。日本年金機構から対象と思われる方に郵送される緑色やうす緑色の封筒は大切な書類です。
秋頃に発送される案内にはとくに注意しておきましょう。
制度の仕組みは複雑に感じるかもしれませんが、手続き自体ははがきに記入して投函するだけのシンプルなもの。
ご自身の状況はもちろん、離れて暮らす親御さんの郵便物などにも気を配り、確実にもらえるお金を受け取るための準備を進めていきましょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「個人の方の電子申請(年金生活者支援給付金請求書)」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明